- 2019年09月30日 10:14
大田区の財産の交換で事業者に莫大な開発利益 大田区と大田区議会は、区の土地にマンション建設許してよかったか?
2/2【大田区の土地の上に建築確認申請・確認おりる】
何より問題なのが、もうすでに、この土地に建築確認が下りていることです。
日鉄興和不動産が、今年4月12日に建築確認申請を出し、確認は5月31日におりていて、大田区の建築審査課が6月10日に建築概要書を受領しています。
お知らせ看板は、財産価格審議会が、京蒲土地建物交換価格を評定した2月16日の3か月近く前の11月26日に設置されています。もうこの時には、設計も決まっていたのです。
建築概要書には、着工予定日は2019年11月1日と記されています。
仮契約の存在は、議会にも報告されませんでしたが、委員会で確認したところ、今回の財産の交換の議決が否決されたら、契約は失効し損害賠償は発生しないそうです。
設計を委託し、建築確認が既におりていますから、莫大なコスト負担を日鉄興和不動産はすでに行っています。
それだけの負担が損にならない確証を日鉄興和不動産は、どこから得たのでしょうか。
仮に、どこかで情報が漏れていたり、確約していたとなると、事前審査というべき重大な問題ですし、そうでないとするなら、議会軽視も甚だしいと思います。
大田区は中高層紛争予防条例で、近隣関係住民に建築の計画を周知させるためお知らせ看板の設置を義務付けています。
すでに、高さ43.67mの二倍の区域への説明もすませ1月18日に大田区に報告しています。
【共同化で得られる利益は一体いくら?だれのものに?】
それだけ、事業者にとっては大きなビジネスチャンスで利益供与にあたるかもしれないからです。
戸別の建て替えだと容積率は360%ですが、共同化すると500%まで緩和され、高さも80mまで緩和されます。
少なくとも、大田区の土地の評価は現在の価格なので、共同化による容積率や高さのメリットを含めた評価にはなっていません。
共同化すると、この増えた床面積の恩恵を受けるのは、事業者ということになります。
駅に近い都心の一等地で、しかも数々の規制緩和を受けられる土地を、手に入れられることはなかなかないことだと思います。
それを大田区は、入札もせずに提供するのです。
共同化を再開発と同列に考える方がいらっしゃいますが、再開発は、都市計画の法律に基づく仕組みで、各段階で、細かく合意形成の手続きが制度で定めてられています。そのため、地権者の合意をとるための書面を大田区に提出したり、都市計画審議会にかけ意見聴取したり、公告縦覧したり、議決を経たりして、はじめて、土地と建物の変換が認められます。ここでも、返還比率の考え方が定められていて、私たちは知ることができます。
一方、今回の共同化は、事業者と個々の地権者との関係の中で決まることで、交換比率はブラックボックスです。
議会に事業者や共同化の動きが報告されてきましたが、あとから、調べて時系列で並べると、報告が極めて遅かったり、報告していないこともあり、恣意的です。
私たちの財産なのに、一部の人たちだけで使い方を決めることが公共性にかなうでしょうか。
大田区が事業協力者に土地を売却しても共同化は可能ですから、売却し、どうしてもできたビルの二階部分が欲しいなら、使途を決めてから購入すべきです。
いまも、地域に、この使い道だったらどうですかと聞いたり、使いそうな団体に、この床を使いませんかといった打診を大田区がしているという話を耳にします。とりあえず、かっているように見えます。
【試算から考える、財産交換で誰がメリットを受けるのか】
そこで、コストは大田区の実績である、六郷図書館の建築コストを参考に、売上価格は、今回の京蒲共同化ビルの大田区の購入価格が時価なので、それぞれの㎡あたりの単価で建築コストと売り上げ総額から、事業者の利益を試算してみました。
大田区の建設費が適正な価格だということになっていますから、マンションだとこれに、キッチンやおふろなど水回りが含まれるので、少し高くなるかも知れませんが、売り上げも建築費も双方ともに、水回りが含まれていませんので、あくまで試算ということでご理解ください。
もし、大幅に違っていれば、考え方や、違っている部分についてご指摘いただけますと、より、事業者利益の目安を思い描きやすくなると思います。
【大田区の実績から、建築コストと売り上げで計算すると約40億円の利益(売値はスケルトン)】
最近改築した約1200㎡の六郷図書館の建築費総額が約8億4,000万円。㎡あたりの建築単価は70万円/㎡としました。
今回のビル床面積が約9522㎡ですから総コストの目安は66億5千万円になります。
大田区が時価でしかもスケルトンで取得した床と区分所有の土地が、10億3817万7千円、922.73㎡なので、㎡単価で約112万円。
ビル総面積で計算すると、売値の総額は、112×9522=106億6000万円になり、106億6千万―66億5千万円で、利益は、約40億円にもなります。ここから、165㎡の土地購入費用や、様々な協議に関わるコストなどを引くのだと思いますが、それでも大きな利益をうむのがわかります。
でも、大田区はスケルトンで買っていますから、売値はもっと高いはずです。
【大田区の実績から、建築コストと売り上げで計算すると約90億円の利益(売値に大田区の内装工事単価を入れて計算)】
内装工事費用に、先日の池上図書館の内装工事費用(5億1454万円で1026㎡ですから㎡あたりは50万円)を加算すると、㎡あたりの単価は、約162万円です。そうすると売り上げは、154億2000万円になります。
みずまわりという付加価値をつけてない売り上げとコストで差額を計算しても、154億2000万円―66億5千万で90億円ちかくの儲けになります。ここから諸経費を差し引いても、今回のプロジェクトで事業者が見込もうとしている利益の大きさが想像できると思います。
【99戸のマンション販売利益から計算すると約16億円の利益】
共同化して建設するビルの住宅部分の面積から、1戸当たりの共有部分含めた面積が約70㎡を超えることがわかりました。一戸当たりの売却価格を約4000万円で計算して、土地代の負担がありませんので、利益率を40%と見積もると、利益は、約16億円になります。
民間が自己資金を投資して利益を得る経済活動であれば、素晴らしいビジネスモデルだと思いますが、大田区民の財産を使い、競争入札もなく、合意形成もなく、事業の透明性さえありません。
それどころか、議決の前に建築確認申請を出し、確認まで下りていて、中高層の説明さえすませているのです。
それで、これだけの莫大な利益を大田区長は、土地と建物の例外的交換で、この事業者に供与しようとしている構図です。
土地を売却したほうがいいのではないでしょうか。
土地を売却しても、共同化で求める街区の更新は果たせます。
【交換して取得するビルの床は、使途さえ未定】
しかも、交換する床の使用目的さえ決まっていないのです。目的が決まれば、内装工事も大田区が負担することになります。最近の池上駅ビルの内装工事で、㎡あたり50万円かかっていますから、使途はわかりませんが、4億円を超える費用がかかるということです。
ラズの土地交換でも羽田空港の跡地でも、交換しても、買っても、公共目的に使うのはほんのわずかで、民間に貸しだしていますから、同じように公共目的さえなくなるかもしれません。
【将来建て替えで困難を抱える区分所有】
仮にこの建物の二階部分他を大田区が所有したら、将来建て替えが困難であること、そして、大田区という行政に過大な期待が寄せられることが想像され、さらに、建て替えが難しくなることの心配も指摘しておきます。
特定の事業者への法令の原則を守らない議会軽視が、結果として事業者に莫大な利益をもたらす事業です。
地元や地権者の立場から賛成しようとする意見も聞こえてきますが、この議案において判断すべきは、個々の問題では無く、公有財産を床と交換することが適正かどうかが問われています。
公の土地を使ってこの事業を行うべき、妥当性に欠き、取得した財産の公共性さえ現時点で確認できず反対です。
- 大田区議会議員奈須りえ
- フェアな民主主義を大田区から



