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学問的に中国史を見ると、香港vs中国的問題への解決法も見えてくるかも?

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●距離が近いからこそ、”違い”をちゃんと理解しないとうまく付き合えないのは人間の普遍のルール

別に「中韓を下」に見るとかそういう話ではなくて、感性において「違う」部分が存在することを理解することは、お互いのコミュニケーションを円滑にするために重要な時がありますよね?

もちろん地理的には今後も未来永劫近くにいますし相互関係も緊密ですから、仲良く出来たほうがいいには違いない。けれども、これは夫婦関係でもそうなんですが、

「距離的に近いところにいるからこそ、”夫婦なんだから仲良くして当然だろ?わかりあって当然だろ?”と押し切るのではなく、近くにいるからこそ、その”違い”をお互いちゃんと理解して付き合うようにしないといけないね」

という言い方もできるんじゃないかと思います。

●アカデミックなモノの見方が問題を解きほぐしてくれる時がある

最近、中国史に関するアカデミックな本(といっても本式の学術書でなく学者が書いた一般向けの本)を読むことがあって、いろいろと「なるほどなあ」と思うことがあったんですね。

世界史とつなげて学ぶ中国全史 岡本隆司

王岐山という中国の高官がいい本だったと紹介したことがあるという岡田英弘という日本の中国史(モンゴル史)学者の人がいるんですが、たぶんその人がいる立ち位置に近いような、「中国史を単体で見るのではなく、シルクロードを経由した東西文明のインタラクションの中から中国史を見ていくという趣旨の本」だと思います。

表紙に「驚くほど仕事に効く知識が満載!」って書いてあるんですが、確かに現代中国に対する見通しが、学者さんが一気にまとめた大きな視点から見直すことで深まる、みたいなことがかなりある本でした。

これは、現代中国と深く関係して生きている人でも、というかひょっとすると現代中国人にとっても、「古代からずっと不変的に中央集権的国家がすべてを統治してきた歴史観」って、もちろん歴史なんてぜーんぜん興味がない人にはあまりないかもしれないけど、「ちょっと」は歴史的観点をもって色々見る人にとっては当然視されてしまってるところがあるじゃないですか。

だから、例えば香港と中国という「お互い絶対に負けられない戦い」みたいなことになった時に、中国側としても「妥協」することができない。中国国内の事情にうとい日本人からすると、別に一国二制度的な構造があったって中国は中国なんだから問題ないんじゃないの?と思うようなラインでも妥協することができないでいる。

中国っていうのは「ひとつ」であるべきだから、というか、「ひとつでなくてはならない」から・・・と自他ともに思い込んでしまっている

ところがあるんじゃないかと思うんですよね。

●中国は「ひとつ」でなくてはならない・・・という思い込みが、東アジア人全体を自縄自縛にしている?

だから、別にほんの数歩引いて妥協点を見つけたらいいんじゃないの?と関係ない人から見れば思うことでも、まず中国側が「その数歩でも引くこと自体が”中国の代表としてありえない”と思ってしまうし、まわりの人も、そのほんの数歩の妥協で”ついに中国の代表としての譲れない線が崩壊したぞ!”と過剰に大騒ぎしてしまいがちになるので余計に引くことができなくなる・・・、みたいな構造になってしまっている。

しかし、この本のような視点から見ると、中国がいわゆる「華夷秩序」「すべての外交は朝貢関係で上と下の関係にしてしまう」みたいなのは明代に特有の現象で、もともとアイデア自体はあったものの、そこまで常に徹底されていた視点ではない・・・ということも見えてくる。

まわりの国と平等的な関係を築いていた「China among equals」という時代もあったし、国内制度に関しても多元的に色んな制度が共存している状態がむしろ普通だったことも見えてくる。

まがりなりにも「中国」を名乗る以上は徹底的に東アジアの中心を一点化しなくてはならないという思い込み自体が、中国政府としてもちょっと重荷になっている構造はあるのかもしれない。ある程度多元性を認めても、果てしなくバラバラになってしまわないような文脈を東アジア人全体で用意していければ、中国政府が香港人とかに「適切な程度の妥協」をできるような仕切りになっていくことは、むしろ中国人のためにもなるんじゃないか?というようなことを思いました。

この「中華思想自体をアカデミックな視点から相対化して、あたらしい”東アジア人の本能的な中心”を、東アジア人みんなの協力関係で作っていく」みたいな視点から問題解決を図る話については、来年5月に出る私の新刊から分量の問題でカットされた話を公開しているので、ぜひお読みいただきたいと思います。

もう「この着地点」以外には戻れなくなってきた東アジア平和のメタ正義的解決方法について

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