記事

【ラグビーW杯】 BBC記者が伝えた日本の歴史的勝利、アイルランドの崩壊

Inpho 日本は8度目の対戦で強豪アイルランドを初めて破った

マイケル・モロウ、BBCスポーツ北アイルランド、静岡で

開催国・日本は静岡で、世界ランク2位のアイルランドを19-12で破り、ラグビーワールドカップ(W杯)史上最大級の番狂わせを演じた。

アイルランドは前半、ギャリー・リングロウズとロブ・カーニーのトライでリードを奪った。しかし、田村優の3つのペナルティゴールで、点差は1回の得点で追いつく範囲に抑えた。

59分(後半19分)、交代出場した福岡堅樹がゴール角に飛び込み、ブレイヴ・ブロッサムズ(日本代表の愛称)が逆転した。

田村の72分(後半32分)のペナルティゴールで、歴史的勝利が確実になった。

日本が4年前に英ブライトンで南アフリカに勝って以来、これほど世界中に響き渡るラグビーの勝利はなかった。

この結果は、アイルランドの規律のなさや緊張ではなく、日本の衝撃的なほど素晴らしいパフォーマンスが生んだものだ。それを目の当たりにした観衆は、日本が1メートル進むごとに、タックルを1つ成功させるごとに、ターンオーバーを獲得するごとに、信じがたいほど大きな声援を送ってチームを鼓舞し続けた。

今後6週間続くラグビーの戦いの中で何が起きたとしても、今夜の結果は、何世代にもわたって語り継がれる大きな遺産となる。そして日本のラグビー人気は、別次元の高みに達するだろう。

攻撃の哲学を忠実に守った日本

ラグビー界最高レベルを誇るディフェンスを相手に、日本は試合開始直後から全力で、素早いペースで自由に動き回るゲームプランを実行した。

前半4分、日本がアイルランドのディフェンスを左から右へと引っ張り、松島幸太朗が先制トライを狙って駆け込んだが、ボールのバウンドが合わずこれを逃した。直後、田村の距離のあるペナルティキックもわずかに外れた。

アイルランドは序盤の嵐を抜け切ったかに思えた。リングロウズとカーニーが8分の間を置いて立て続けにトライを決めたことで、優勝候補は一息つき、エコパスタジアムの多数を占める日本サポーターを消沈させていくかにみえた。

しかしファンも、そしてチームも弱気になどならず、日本はもとの作戦を貫いた。

再び左から右へと電光石火の速攻をみせ、ラファエレ ティモシーが巧妙な片手のオフロードパス(タックルを受けながらのパス)を出す。キックでディフェンスの間から裏に転がすと、またも松島がバウンドするボールを取りに行ったが、ジョシュ・ヴァンダーフリアーがこれを抑え、自陣ゴールのピンチから抜け出すのに成功した。

前半31分、キャプテンのリーチ マイケルが交代出場すると、スタジアムの興奮度はそれまでにないレベルに達した。彼は日本ですでに伝説的存在で、この日の控え選手としてのスタートは、試合前に論議を呼んでいた。

リーチはすぐ、日本の攻撃でカーニーを強烈に押しのけた。このプレーがハーフタイムに向かって、日本に勢いをもたらした。

その勢いは、ブレイクダウン(密集でのボールの奪い合い)であせったヴァンダーフリアーの反則を呼び込む。田村は点差を3点に縮め、ハーフタイムを迎えた。

後半は、前半が終わったときの状態のまま続いた。日本が攻め、アイルランドが押し返す。

アイルランドはプレッシャーが増すなか、機能していないときに表れる見慣れた兆候――ラインアウトの失敗、キャッチミス、ノックオン――が、自陣22メートル内で日本ボールのスクラムを組んで以降、出始めた。

そのスクラムでは、日本は左に展開。福岡がゴール角に飛び込んだ。

崩れたアイルランドの筋書き

アイルランドにすれば、1週間前にスコットランドを身体的に圧倒するパフォーマンスを見せていて、不安はほとんどなかった。

高みを目指して苦しんだ2018年を経て、ジョウ・シュミット監督のチームには、最高のタイミングで頂点に近づいている感覚があった。

実際、長年チームに勝利をもたらしてきたジョニー・セクストンのけがも、チームの高揚感を抑えることにはつながらなかった。

国際試合の先発は2回目でしかないジャック・カーティは、見事な滑り出しを見せた。手元のボールをキックするときも緊張をほとんどうかがわせず、アイルランドの2つのトライに結びつけた。

試合開始20分までにあった6つのラインアウトで、ローリー・ベストは的を外さずにボールを投げ入れた。

すべてが計画通りに進んでいた。しかし、その後に起きたことは、ほとんどの人にとって予測不能だった。

2回の得点機を除いて、アイルランドの時間の大部分は、体力を消耗する午後の暑さのなか、ディフェンスに費やされた。

開始直後の典型的な効率のいいパフォーマンスは、ミスが目立ち始めるにつれ崩壊していった。

カーティは試合再開のキックで、簡単に相手にボールを渡してしまった。その後のマイボールのスクラムで、6日前には完璧に圧倒的だったアイルランドは、つけ入るように攻め出した日本にターンオーバーを許した。

1次リーグ前半に試合が集中しているアイルランドは、最初の2戦に勝利することで、進出が見込まれる準々決勝に向けて、ベテラン選手に休息時間を与えるはずだった。

しかし、5日後の木曜日のロシア戦はいまや、想定よりずっと重大な試合となった。この日の試合後半は、セクストンの冷静さと堅守が欠けていたことが、チームにとって大きな痛手となった。静岡で勝利を逃したいま、セクストンの体調は、はるかに大きな注目を集めるだろう。

(英語記事 Ireland suffer surprise defeat by Japan

あわせて読みたい

「ラグビー」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    グレタさんを中年男性が嫌うワケ

    木村正人

  2. 2

    ネットを楽しむバカと勝ち組たち

    BLOGOS編集部

  3. 3

    元SMAP干されるテレビ業界の実態

    笹川陽平

  4. 4

    八ッ場ダムが氾濫防いだは本当か

    NEWSポストセブン

  5. 5

    災害に弱いタワマン なぜ建てる?

    かさこ

  6. 6

    消えた日本人観光客 箱根の現在

    BLOGOS しらべる部

  7. 7

    「札幌も十分暑い」地元民が回答

    常見陽平

  8. 8

    違和感? ユニクロ社長の日本喝破

    文春オンライン

  9. 9

    スーパーの犬小屋 日本は5年後?

    後藤文俊

  10. 10

    いじめ教師の謝罪文に非難相次ぐ

    女性自身

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。