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表現の不自由展出品作家「海外から“日本は先進国ではない”と言われた」…大村知事は「萩生田大臣は事実誤認をされておられる」

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■元官僚が分析…政治家の判断?文化庁の本音は違った?


これに対し、元経産官僚の宇佐美典也氏が「結論からいうと、私は手続き上の瑕疵はあったと思っている」と異論を挟んだ。

 「補助金の交付までには、採択することが決まる、つまり"内定"のようなフェーズと、交付が決まるというフェーズがある。今回は元々交付の決定までは至っておらず、その交付の決定はしないという判断だ。愛知県は補助金交付の申請を5月30日に出していて、本当はそれを30日以内に審査して交付を決定しなければならなかったが、それをしないで延ばしていたので、この点は文化庁側にも問題がある。ただ、展示が始まって炎上し、事業の中身が変わったということがある。一部の開催を中止したということは、金額の変更も出てくるだろうし、津田芸術監督が重要な展示だったと言っている以上、全体のコンセプトが変わる可能性もあったわけで、少なくとも文化庁に説明があるべきだ。役人の感覚からすると、事業内容が変わる時は文化庁に対して相談が必要だし、当然、申請書類の出し直しも必要だ。文化庁はそれが一切なかったと言っている。もちろん金額を変えるのが正しいと文化庁も思っていると思うが、一部出すという時に、いくらが適正かという判断が難しいので、現実の選択肢としてあがらなかったのだと思う。なかなか難しい決断だったと思うが、ここで一度全額なしにして争うという判断を文化庁はしたのだろう」。


 その上で、「おそらく今回は文化庁としては全額出す、一部出す、全額出さないという3パターンを上げて、政治家が決めたんだと思う。また、前例が無いことなので、起案してから判断を下すまでには1週間程度はかかったはずだ。そのタイミングで再開すべきだという報告書が出たというのは、検閲だと言われてしまう文化庁としては痛恨だったと思う。あまり言いたくはないが、クビが飛ぶ人も増えているし、官邸が人事権を握っているので、霞が関がものすごく保身に走らざるを得なくなっている。昔のような裁量もないし、役人が国全体のことを思って、自分の判断でちょっと融通を効かせるというようなことをする時代では無くなっていることは確かだ」とも指摘した。

 これに対し、大村市長は「文化庁の様式、要項に基づいて申請をしていきたし、記載した事業内容の通りにやってきている。中身についても、我々は3月に出そうとしたが、文化庁は外形的に要項に示したものだけでいいということだったので、その通りにやってきている。不自由展を安全上の理由から3日で中止にしたということも、翌日には文化庁に報告している。また、表現の不自由展は、106ある企画のうちの1で、全体12億円の予算のうち400万円、0.3%分という小さな企画で、あいちトリエンナーレ2019そのものの内容は変わっていないし、非常に高い評価を頂いている。前回よりも2割増の40万人を超える方に来て頂いてもいる。文化庁は芸術祭について一旦採択決定したものを全額取り消した例はないと言っている。この整合性を質していきたい」と反論した。

■中垣氏、萩生田大臣は「"この目は信じられないな"、という方だ」


 ここまでの議論を受けて、中垣氏は「こういうことを新しい自民党の政権がやっていることにびっくりした。政府のやり方は暴挙だ。人間性を逸脱してしまっている。我々の税金を勝手に私物化するなと言いたくなるほど、やり方が非常識だ。検閲ではないと言ってるんだから、"もう1回、手続きをやってよ"と言えば済むことだ。106のうちの一つで、若干のアレンジなんていいではないか。官僚には、やさしさというか、文化に対するリスペクトがない。逆に言えば、文化庁長官がどういう人は分からないが、文化庁の中に芸術の分かるやつがいない。文化を知っているやつがいない。多分、芸術に無知なやつらの集団ではないか。そして、萩生田大臣の言葉は信じられない。僕は彫刻家だから、顔をよく見る。目つきを見る。"この目は信じられないな"、という方だ」とコメント。海外の方からは、開発途上国か、先進国ではない、という言い方をされた。私もそう思う。海外では、金は出すが口は出さない。日本はものすごく官僚主義で閉鎖的で、多様性を欠いている。大村知事も津田監督も苦しんでいると思う。間違った方向に持っていかないようにしないと恥ずかしい」とした。

 また、先月12日には、海外作家11人が「表現の不自由展・その後」の中止を批判する声明を出し、「アーティストと表現の自由を守ることは、あいちトリエンナーレの責任」とし、企画展が再開されるまで自作の展示中止を求めたこともある。

 中垣氏も「なんで僕らに相談がなかったのか、ということは何回も言ったし、津田監督からは"申し訳なかった"と素直な返事があった。緊急だったので、我々のところまで相談が来なかったということで納得した。ただ、中止ではなく、"一旦中止"と入れておけば良かったのになと思った。夫婦喧嘩でも、"出てけ!"ではなくて"ちょっと出ていってくれる?"みたいな。その結果、今回の補助金打ち切りという問題に発展してしまった。こんなに小さな国の中でそんなにいがみ合うことはない」と話す。

 大村知事は「中垣さんが言われたように、一旦中止というニュアンスでも良かったかもしれない。ただ、電凸、"ガソリン携行缶を持ってお邪魔する"というテロ予告のFAXまで来た。翌週には犯人が逮捕されたが、そういうことにまでなれば事態を収拾しないといけないし、芸術祭を安全・安心にやらないといけないという責任があるので中止にさせて頂いた。このことは憲法上も検閲には当たらず、安全安心を守らないといけないからということで、検証委員会でも整理いただいた。ただ海外アーティストの間では、これが安全安心に名を借りた検閲ではないか、これ以上日本の芸術祭には出展できないという声もどんどん広がっている。我々の芸術祭などでも、芸術・美術の専門家が中身を決めていく、チェックしていくことをもう一度整備し直さないといけないのではないかということをひしひしと感じている」と説明。「条件を整備して、なんとか10月14日までの会期中に再開を目指したい。不自由展の関係者、作家の皆さん、学芸員、キュレーターの皆さんで相談、協議を始めている。協議が整えばということになる。精力的に協議をしている」と訴えた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

▶動画:大村知事を招いての議論の模様(期間限定)

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