- 2019年09月29日 08:54
【原発事故と避難の権利】俺たちが「住民の心情を害す」?汚染は「国土に対する不当な評価」? 国が「群馬訴訟」の準備書面で〝自主避難〟を強烈に否定、福島県内外から怒りの声
2/2



【「避難は当然の権利」「国こそ不当な評価」】
会津若松市の片岡輝美さん(子ども脱被ばく裁判の会共同代表)は「国土を汚したのは誰でしょうか。論理のすり替えも甚だしい。国は開き直って本音を言い始めたのです。県民を分断しようとしている、自主避難者を悪者にしようとしている国の本音があからさまになったのだと思います」と話す。
「そもそも避難は当然の権利です。福島県民に公平な施策を取るとは、避難者と住み続ける県民に対して、それぞれに対応する事だと思います」
福島県郡山市から北海道に避難、今年2月の選挙で東川町議会議員になった鈴木哉美さんは「郡山の自宅の庭は2016年に除染した後も0・2~0・3μSv/h、駐車場は最も数値が高い地表で0・59μSv/hあります。一方、避難先の北海道では家屋も土地も0・05μSv/h以下です。我が家の家屋や土地が汚染されていることは事実です。郡山に暮らしている人であれば、この程度の汚染が残っていることは皆知っているはずです。この汚染の現実が『国土に対する不当な評価』なのでしょうか」とのコメントを寄せた。
もちろん、こんな意見もある。
中通りに住む60代男性は「空間線量がそれほど高くなくても自主的に避難している場合は応援出来ませんね。特に線量があまりにも低い場所からの避難はね」と語る。
「当時の私は避難したくても出来なかったので、避難出来た人に冷たいのかもしれません。安心が欲しいのは誰でも同じです。もちろん避難したい人の気持ちは分かります。でも、私のようにローンがあり子どもに詫びながら福島に居続けたのも辛かったのですよ。それに、亡くなった親父から預かった畑などを、いっしょくたに『汚れた土地』などと表現されたら…自分の土地をけなされた気持ちになります。それに、補償は無いのに税金だけは取られるんですよ」
鈴木さんは言う。
「だからこそ今も汚染が続いており、原発事故以前の放射線量に戻ることのない状態の環境に自主避難せず居住し続けることに対しても、避難するのと同等の支援や補償をするべきなのです。それが無い事が、住民の心情を害しているのです」
27日午前に復興庁で開かれた定例会見で、筆者は田中和徳復興大臣に質問した。田中大臣は今月11日の就任以来、(官僚の作文とはいえ)「被災者に寄り添う」と繰り返し口にしている。その言葉とは真逆の主張をどう考えるのか。しかし、今回も田中大臣は質問には直接答えず、官僚の用意した文章を棒読みする事に終始した。
「被災者の皆様に、それぞれのご事情を少しでも承りながら寄り添っていく、現場主義に徹していくという事に私は努めて参りたいし、そうあるべきだと思っております」
「自主避難者の方々に対しましても、しっかりと対応して参りました。収入要件の緩和によって公営住宅に入居しやすいようにとか、あるいは相談支援をしっかりと行っていく。また、母子避難者の方々の高速道路の無料措置なども対応しているとか。福島県の皆さんがご努力される事に対しても、しっかりと一つ一つ承りながら、われわれも努力をさせていただいて来ておるところでございます」
「避難の協同センター」代表世話人の松本徳子さん(福島県郡山市から神奈川県に避難継続中)は「こう来たか、と思いました。私達、区域外避難者は初めから何一つ権利は認められていなかったのですね」と語る。
「原発事故から8年半が過ぎた今、福島の中通りでは前を向いて復興に向かって進んでいる人々がいます。その事を思うと、国の言葉は私の心の奥底に突き刺さります」
松本さんは「もう、慣れましたよ」とも。それだけ〝自主避難者〟は「不当な評価」を受け続けて来たのだ。
(了)
- 鈴木博喜 (「民の声新聞」発行人)
- フリーライター



