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【原発事故と避難の権利】俺たちが「住民の心情を害す」?汚染は「国土に対する不当な評価」? 国が「群馬訴訟」の準備書面で〝自主避難〟を強烈に否定、福島県内外から怒りの声

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原発事故後、政府の避難指示が出されなかった区域から避難した人々(いわゆる〝自主避難者〟)に対する国の主張を巡って、福島県内外から怒りの声が続出している。

避難者集団訴訟で国が提出した準備書面で、〝自主避難者〟が避難を継続している事について「(避難しなかった)住民の心情を害する」、「(相当性を認めると)国土に対する不当な評価となる」などの強い表現で否定しているためだ。

そもそも公に避難の権利を認められず、国家公務員宿舎からの追い出し訴訟まで起こされようとしている〝自主避難者〟たち。「国こそ不当に評価している」と怒るのは当然だ。

【弁護団「本当に陳述するのか?」】

 問題になっているのは、群馬県内に避難した人々が起こした集団訴訟(いわゆる「群馬訴訟」)の控訴審で、被告国が今月11日付で東京高裁に提出した第8準備書面。

 この中で国は、〝自主避難者〟について次のように厳しい表現で否定している。

 「自主的避難等対象区域からの避難者について(中略)平成24年1月以降について避難継続の相当性を肯定し、損害の発生を認めることは、自主的避難等対象区域での居住を継続した大多数の住民の存在という事実に照らして不当(中略)低線量被ばくは放射線による健康被害が懸念されるレベルのものではないにもかかわらず、平成24年1月以降の時期において居住に適さない危険な区域であるというに等しく、自主的避難等対象区域に居住する住民の心情を害し、ひいては我が国の国土に対する不当な評価となるものであって、容認できない」

 低線量被曝の健康リスクについては知見が確立していないにも関わらず、被曝リスクも避難継続の相当性も全否定。この直前では「子供や妊婦であるなどの個別事情によって、避難継続の相当性が認められる余地があるとしても、平成23年12月末までというべき」、「避難者ごとの事情に応じて上記期限後の帰還につき避難継続の相当性が認められる余地があることまで、直ちに否定するものではない」などと綴っているが、2012年1月以降も(もちろん現在においても)、避難指示が出されなかった区域からの避難を継続する事に相当性は無いと強い表現で断じている。

 原告の丹治杉江さんによると、今月17日に東京高裁で行われた口頭弁論期日では、原告側代理人弁護士が「これ本当に陳述するのですか?」と確認する場面があり、国の代理人は「はい」と答えて傍聴席が騒然となった。原告側は次回11月5日の第8回口頭弁論期日で反対陳述を行う予定という。

 なお、群馬訴訟一審で、2017年3月17日に言い渡された前橋地裁判決は「同様の放射線量の被額が想定される状況下においても、その優先する価値によっては、避難を選択する者もいれば、避難しないことを選択する者もおり、これらが、通常人ないし一般人の見地に立った社会通念から見て、いずれも合理的ということがあり得る」、「周囲の住民が避難している割合の高低をもって、避難の合理性の有無を判断すべきではなく、個別の原告が置かれた状況を具体的に検討することが相当である」と指摘している。

群馬訴訟の控訴審で国が提出した準備書面の一部。2012年1月以降も避難を継続する事に相当性は無いと強く断じている。これは田中和徳復興大臣が就任直後から言い続けている「被災者に寄り添う」との方針にも反するが、田中大臣は会見で「自主避難者の方々に対しましても、しっかりと対応して参りました」と述べるにとどまった

【「分断総仕上げか」「セカンドレイプだ」】

 問題の準備書面は丹治さんが強い怒りを込めて拡散し、すぐに全国の避難者や福島県内に暮らす人々からも怒りの声があがった。

 「(避難せず)福島県内に住んでいる人々の率直な気持ちを否定するつもりは全くありません。これを国が公の場で堂々と展開することが許せないのです」

 そう話すのは、横浜地裁での判決を受けて控訴審の準備を進めている「福島原発かながわ訴訟」原告団長の村田弘さんだ。

 「怒りを通し越して全身がしびれます。放射線に対する恐怖にふたをして日々過ごしている人たちへの侮辱であり、国の責任で起きた事故でふるさとを追われ、人生を破壊され、辛うじて生きている何万もの避難者に対する…。もはや言葉が出て来ません。

 人間だけではありません。動物や植物、森、林、川…。声を出せない自然が、100年単位で『殺されている』事へ認識が及ばないのでしょうか。国の『正当性』を主張するための『材料』に区域外避難者を使うのは卑劣です。避難者と在住者の間にくさびを打ち込むことで、これまで進めて来た『分断』最後の仕上げなのでしょうか。

 この8年半、私たちは数々の暴言で傷口に塩を塗り付けられて来ました。しかし、今回のものは単なる暴言ではありません。裁判という公の場で国の名で示された公式文書です。そこで『国土』を語るのなら、大飯原発3、4号機の運転差し止めを命じた福井地裁判決(「豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失」)を再読せよ、と言いたいです」

 いわき市から福島県外に避難継続中の女性も「自分の庭に毒を撒かれて、危険性があるから避難したのに、その行為が近所の人の心を傷つけ、不当に評価しているなんて、盗人猛々しいと思います。出来ることなら私も子どもを連れて避難したかったけど出来なかったと、つい最近も言われました」と怒る。

 「そもそも原発事故さえなければ、新築した家でいわきで何の苦労もせずに幸せに暮らせたはずなのに、国策の反省もせずに、健康被害もうやむやにして、安全アピールして、避難者を抹殺しようとする暴挙を許す訳にはいきません。私たちは、セカンドレイプされていると思います。表現が正しいかは分かりませんが。私はいわきが大好きなのに、危険な場所と言わなきゃいけない、この事実こそ一番辛い事なんです」

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