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主張/19年版「防衛白書」/軍拡・強硬の危険と矛盾あらわ

 河野太郎防衛相が27日の閣議で、2019年版「防衛白書」を報告しました。昨年末に安倍晋三政権が新たに策定した「防衛計画の大綱」(新大綱)や「中期防衛力整備計画」が打ち出した大軍拡と日米同盟の強化などについて詳述し、「戦争する国」づくりを加速させる姿勢を際立たせています。一方で、深刻な関係悪化が軍事分野にも及んでいる韓国を非難する異例の記述もあり、安倍政治の矛盾も浮き彫りにしています。

韓国に対し異例の批判

 白書は、新大綱に基づき「わが国防衛の三つの柱」として▽わが国自身の防衛体制▽日米同盟▽2国間・多国間の安全保障協力―を挙げます。「わが国自身の防衛体制を抜本的に強化」するとともに、「日米同盟の抑止力・対処力の一層の強化」を図り、「米国とも連携しつつ、各国との安全保障協力をこれまで以上に強化していく」とし、軍事同盟と軍事力頼みの異常な前のめり姿勢を示しています。

 これは、中国やロシアに対する軍事的優位を維持するため、軍事力の増強を進め、同盟国にも責任分担の拡大を強く求めるトランプ米政権に追従し、東アジアの軍事緊張を高める危険な動きです。

 一方、各国との安全保障協力に関し、安倍政権は、韓国との関係で行き詰まりに直面しています。

 白書は、北朝鮮の核・ミサイル問題などに対応する上で日韓関係の重要性を指摘しつつ、「韓国側の否定的な対応などが、日韓の防衛協力・交流に影響を及ぼしている」と名指しで批判しています。とりわけ、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)については、北朝鮮のミサイル発射で日韓の連携が重要と述べた上で、韓国が協定の終了を決定したことは「失望を禁じ得ず、極めて遺憾」との岩屋毅防衛相(当時)のコメントをわざわざ紹介しています。

 日韓関係の悪化が深刻化した直接の原因は、安倍政権が「徴用工」問題という政治的対立をめぐり、政経分離の原則に反する貿易規制拡大の措置を取ったためです。さらに根本的な要因としては、安倍政権が「植民地支配への反省」という立場を投げ捨てる態度を取り続けていることがあります。歴史を偽造し、排外主義をあおる強硬一辺倒の態度が、自らが推し進める安全保障政策の足元を掘り崩しているのは明白です。

 日韓のGSOMIAは、米国主導の「ミサイル防衛」体制に日韓両国を組み込み、中国や北朝鮮を念頭に軍事的圧力を強めるために結ばれました。これは、軍事に軍事で対抗する悪循環を招くものです。今必要なのは、対話による解決への方向転換です。

民意の無視も変わらず

 白書は、沖縄県名護市辺野古の米軍新基地をめぐり、埋め立て「反対」が7割を超えた県民投票の結果を「真摯(しんし)に受け止め」るとしています。しかし、辺野古新基地が「唯一の解決策」だと繰り返す思考停止ぶりは変わりません。

 配備候補地の秋田県や山口県で地元住民らが強く反対しているミサイル迎撃システム「イージス・アショア」でも、説明資料の誤りなど防衛省の「極めて不適切な対応」に「反省」は示すものの、導入方針を明記しています。

 これらの問題を放置しておいて、白書が目的にする「国民の理解」が得られるはずはありません。

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