- 2019年09月28日 09:04
基準範囲内でも安心できないケースも?意外と知らない健康診断の「落とし穴」 専門医に聞きました
2/2「基準値を上回った=服薬治療」とはならないケースも多い
―― 知人のケースなのですが、健診で「要治療」とされたため病院を受診したのに、散々待たされてやっと診察室に入ったと思ったら担当医から「あぁ、食事と運動を頑張ってくださいね!」と一言であっさり診察終了となり、「二度と受診するものか!」と心に誓ったという話を聞かされたことがあります。
そうなのですね。お薬は確かに効果の高いものですが、お金もかかりますし、副作用のリスクもゼロではありません。ですので、高血圧や高血糖など生活習慣病に関連する値がジワジワと基準値から外れてくる場合、まずは食事療法や運動療法など生活を見直して経過を見てから服薬開始を検討するのが一般的です。
食事療法や運動療法も立派な治療です。「せっかく受診したのに検査もせずお薬も出なかった。損した。」と感じてしまうお気持ちもわかりますが、医療者としてはベストの選択をしようとしている結果としてご理解ください。「健康診断で検査項目が基準値を上回ったらといって、必ずしもすぐに服薬治療が始まるわけではない」と覚えておいていただけると幸いです。
そして当たり前に聞こえるかもしれませんが、食事療法や運動療法などの生活習慣改善を行わなければ、徐々に数値が悪化していき、結局は服薬が必要になる場合もある、ということもご理解ください。
―― 最後に、健康診断の結果表をフル活用するポイントについて教えてください。
現在、システムによる自動判定を行っている健診機関が多いかと思います。大量の健康診断情報を処理しなければならない健診機関にとって、効率的にブレのない判定を行うことは大変重要です。
ただ、ここまでお話ししてきたような「個人差」や「数年単位の変化」などの情報を踏まえて判断できているシステムは、残念ながら現状ではほとんどない、というのが実感です。
「じゃあ、どうすりゃいいの?」と思われるかもしれませんが、そんなときこそ私たち専門家にご相談ください。「まずは生活習慣の改善で様子を見て良いのか」「今すぐにでも受診して精密検査や服薬治療が必要なのか」「そもそもどの科を受診すれば良いのか」など総合的なアドバイスについては、お勤めの方であれば職場に、産業医や保健師などが選任されていると思いますので、遠慮なく質問してみてください。
なお、社員数50人未満などで産業医が選任されていない企業については、各自治体に設置されている産業保健支援センター地域窓口にて無料で相談を受け付けています。
※産業保健センター地域窓口に関する情報はこちら
(注)
フランスや韓国では、一般健康診断は毎年ではないものの実施されている。また有害物質等による職業病の予防を目的としている特殊健康診断については、諸外国でも法的効力を持って実施されている。
【取材協力】
産業医広報推進部
働く人の健康を守るための学問である産業医学を専門とする5人の専門家チーム

小橋正樹さん(産業衛生専門医)
大手建設業で統括産業医の他、IT、保険、製造、イベント業など約10社の嘱託産業医を兼務し、産業保健領域の体制づくりに貢献している。
https://twitter.com/masaki_kobashi
※Yahoo!ニュース個人から転載



