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あいちトリエンナーレ補助金交付せず 不自由展は再開目指す

国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」(津田大介芸術監督)の企画展「表現の不自由展・その後」が中止された問題で、芸術祭実行委員会会長の大村愛知県知事は、一昨日25日、脅迫などのリスク回避策を講じるなどしたうえで、10月14日までの会期中に展示再開を目指す考えを示しました。

検証委員会の中間報告では、津田氏について「混乱が生じることを予見しながら展示を強行した」などと厳しく批判しています。

再開については「条件が整い次第、すみやかに再開すべきである」としました。再開の条件については「脅迫や電凸(電話による攻撃)などのリスク回避策を十分に講じること」「展示方法や解説プログラムの改善・追加」「写真撮影とSNSによる拡散を防ぐルールを徹底する」を挙げています。

津田氏は「勇み足もあったと思う。厳粛に受け止めたい」としています。その表現に賛成か反対かは別にして、このまま再開できないと、抗議をすれば意見に合わない展示を中止にできる前例をつくることになり、「表現の自由」を侵害する問題になります。

展示方法については、作者が何を訴え、考えてほしいのかをしっかり説明する必要があり、展示する人と来場者がともに納得できる方法を、短い時間の間に考えてもらいたいと思います。政治家が、自分の主張と合わないからと、表現の自由を規制することは、あってはなりません。

ところが、昨日26日、「あいちトリエンナーレ」について、萩生田文科相は、採択を決めていた補助金約7800万円の全額を交付しないと発表しました。

展示内容ではなく、会場の運営を危うくする事態が予想できたのに申告しなかった「手続きの不備」が理由だとしていますが、文化庁でも前例を確認できていず、異例だと報じられています。

トリエンナーレの総事業費は約12億円で、県が少なくとも6億円、名古屋市が2億円を負担し、国は文化資源活用推進事業の補助金として7800万円を交付する予定でした。

不自由展の費用は、その一部ですが、県からは、全体として申請されたとして、文化庁は全額不交付としたそうです。

文化人、憲法学者、市民団体などから「権力の介入」という声が上がり、官邸内では展示にいらだつ声があがっていた、ということです。

今回の政府の対応は、憲法の「表現の自由」に抵触し、後から補助金交付を却下するやり方が通れば、主催者は政権の顔色を伺ってやらざるを得なくなる、といわれていて、その通りだと思います。

手続きの不備という形式をとっていますが、実質的には表現の内容に踏み込んだ決定という見方が妥当だと思います。これでは委縮することになります。

大村知事が、「採決決定が覆る合理的な理由はない。承服できない」として、不交付決定の取り消しを求めて国を提訴する考えを明らかにしています。司法の判断も含めて、表現の自由が侵されないようになることを願っています。

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