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狂ったように遊びまくりなニートたち

会社を辞めて自営業者になったときに、30代のとある男性はこう言いました。「ほんとうに、大丈夫?会社を紹介しようか。」そんなときです。東京北区にある田端「まれびとハウス」にお邪魔しました。そしてそこにいた20代のメンバーにこう言われました。「これで、MGさんも晴れてニートですね。おめでとうございまーす!」アッケラカンとしたさっぱりとした声が天井に響く。

この頃から「ニート」という言葉を至るところで、聞くようになりました。きっと、私の頭の中のスイッチに「ニート」というボタンに反応する仕組みが埋め込まれてしまったのでしょう。やけに、もう、やけに、目がつくんですよ!!

「日本一のニート」「不動産ニート」「貿易ニート」「ツイート職人ニート」「セブニート」「アクティブニート」「東大バイオニート」「半ニート」「ニートおじさん」


なんで、みなさん、そんなに「ニート」という言葉がお好きなんでしょうか?私の記憶では、「NEET」とは、"Not in Education, Employment, or Training" の略で、イギリス発祥の言葉ですよね?教育もなく、雇用もされておらず、職業訓練も受けてない人々のことを指すのですよね?もともとの、語源は!!!!!


が、私が、見聞きした日本の「ニート」のみなさんは、この定義にはあてはまりませんし、教育も受けていますし、立派に、稼いでいるんです。たとえ、それが月に5-10万だったとしてもです。なかには、地上の不動産や、複数のブログのアフィリエイト収入などで、不労収入を得られている方もいらっしゃいます。「日本一のニート」の方なんて、とてもユニークなサイトを複数つくる才能をおもちで、そのサイトのアフィリエイトで年間100万ほどの収入を得ているというお話でした。さらに、ギークハウスプロジェクトなどというオープンソース型の「自然増殖型」シェアハウスのプロジェクトの発起人でもあるとか。そういえば、セブニートさんという方なんて、フィリピンのセブで、ネット経由による「大道芸人」的なパフォーマンスを行って、チップのようなものも得ているようです。大変な発明ですね!みなさん、それぞれに、自らの才能や適正をうまくいかし、それを少しばかり換金、等価交換などを行う方法を編みだされている方たちばかりです。そんなみなさんを、「NEET」と同じ発音の「ニート」と呼ぶのはおかしいんではないか、と提唱されている方がいらっしゃいました~!!このブログでも何回も取り上げている情報社会学者の、公文俊平先生です。


公文氏は、情報社会の中心となる人々を「ニート」というネガティブな呼び方ではなく、「シート」というポジティブな呼び方で形容しようと提案しています。「シート」はSocially Employed, Educated, and Trainedの略です。つまりこれまでの社会で高い評価を受けるような学歴や職歴には一切こだわらず、仲間と切磋琢磨しスキルを身につけた人々のことを「シート」と呼ぼうという提案です。そしてこれからの情報社会はこうした「シート」が核になって前進していくというのです。

TechWaveより引用


この「シート」という言葉は結局普及しておりません(笑)。なぜか。みなさん「ニート」とという言葉がお好きだからで~す。なぜ、ここまで「ニート」という言葉が氾濫するのか。不思議ですよね。これに対する1つの面白い見方を指摘するのが、U25チャネルの中の人であるI氏だ。「ニートは自虐用語じゃないんですよね。ニートを自称する人は「既存のモノサシでは私は計れない」と高らかに宣言しつつ、それをニートとしか呼べないモノサシそのものを皮肉っているんだ。」

I氏ツイートより引用


なんという斬新な見方でしょう。さすが、元ニートw というのは冗談ですが......。


そうなんですよね!

日本一のニートさんが、「ネットで遊びまくり!」とか言ったり、周りから「ニートおじさん」と揶揄されることもある?酒井さんが、世界中を旅しながら「Skype相談」をやっているのって、ネットワーク化が、<ハイパー>に進んだ昨今に、可能になった、新種の「職業」みたいなもんなんですよね。でも、彼ら、彼女らは、「仕事」とか「職業」とか言いたくないんです。なんでって。狂ったように、遊んでいるだけだから。ツイート職人ニートが毎日10時間もひたすら、ツイートできるのも、仕事なんかじゃないんですよ。頼まれてもないのに、やっちゃってる。これを、ツイートマーケターとして、企業が雇うとしたら、人件費として、何円出さないといけないことかっ!!でも、ツイート職人は、やりたいから、やってる。やらざるをえないから、やってるんですよ。たぶん、みんなそうなんでしょう。ただ、昨今では、狂ったように、「ダルい!」とか「やっほー」とか「ニャー」とか言って、遊んでいたら、あれれ、なんか生きていけてるぞ?あれ、換金もだんだんしやすくなってきてないかぁ~!!うっひょー。みたいな、領域も徐々に生まれてきたってことなんでしょうね。


換金は年収100万くらいでいいから、遊びまくりたい!世界中を旅しまくりたい!こういう人は、どんどん増えるような気がするんです。もう、日本は、途上国じゃないし、西欧に見習えで、西欧で成功したモデルを後追いしなくてもいい段階にきてるんです。むしろ、新しいゲーム自体を発明できるくらいの、人間の方が求められています。「こんな、ゲームやーめた。もう面白くないわ!年収100万でもいいから、世界中を旅できるゲーム発明や!と思って遊んでいたら、10年後には、あれれ~年収100万でいいと思ってたのに1000万なってる~。なんで~?そんな金いらんし、友人のNPOにドカーンと寄付しとこ~」みたいな、人も出現してきそうです。答えがあるのであれば、「勤勉」「努力」で問題なくても、答えがないのであれば、自分がたまたま熱中していたものを、やってなにが、悪いのでしょうか?それこそが、ハイパーネットワーク化した社会に生きる、新種の「勤勉」「努力」になっていくのではないでしょうか。さらに、それで、最低限稼げる方法を編み出すことができるのであれば~!なおさら、いい。


ここで、村上龍の「希望の国のエクソダス」の一節を紹介しましょう。


リンク先を見る


「そう言えば、二、三日前に、趣味的なマイナーショップが全国的に増えているという新聞記事を読んだことがあった。失業率が七パーセントを超える時代では当然なのかも知れない。企業が従業員を保護してくれる、という考え方は完全に昔のものになった。月に十万しか利益がなくても、自分が好きなものを制作したり輸入したりカタログを作ったりして仲間ができるほうが楽しい、というようなひとが増えたわけだ。彼は磁器が好きみたいなんですよ、と中村君は言った。「ドイツかオーストリアか忘れたけど、そこの磁器が好きで、今は少しずつ集めているらしいんだけど、とにかくお金を貯めてドイツだかオーストリアだかに行きたいって、そればかり言ってるんですけどね。ぼくらには興味がないみたいで、まぁ、それはぼくらにとっても好都合なんですけど」企業に保護を求めるのをやめ自分の好みや趣味を活かしたマイナーショップを持つような人々は、干渉を嫌い、自分と仲間以外のことには無関心なのだそうだ。狭いサークルの中で排他的になっているようにも見えるが、彼らの中には外国に独自のネットワークを持ったり世界的に有名になったりする者もいた。手作りの家具や弦楽器やオルゴール、クラシックな時計、あるいは模型や額縁や玩具などで、外国の賞を受賞する若い日本人の職人も目立った。そういった連中は肉親や友人などを含む昔ながらの共同体に固執することがなく、他人の考えには興味がないと公言する者もいた。そういう風潮を嘆く人も多かったが、若い人々の考え方の変化を誰も止めることができなかった。個人的な好み以外には一切興味を持たないという一部の若い人たちの考え方が、正しいのかどうか、おれにはわからない。だが大企業や官庁が就職先としてのインセンティブを独占した時代はとっくに終っていた。」【希望の国のエクソダス】p161-162 引用



「趣味」に生きる。「オタク」。マシでよく取材しているなぁと感じました。でも、1つ言えるとしたら、不況だから、日本で言うところの、ニートが増えたというのは間違いではないでしょうか?<ハイパー>な個人のネットワーク化が、熱中するなにかがあって、それが少しばかり人のためになって、お金や他の別の物をちょっとはもらえる、領域にたまたま巡り会った人が、そこそこ食えるようになってきたんです。不況は「リストラ」にあったとか、「年収下がってきた」とか、熱中するものがみつかった人には、後押しになっただけ。変化の本質は、個人の細かい、今まで見過ごされていたようなちょっとした「熱中」や「才能」や「時間」が、発見されやすくなり、1人食っていくくらい、大当たりすればネットワーク効果で爆発的な利益をうむようになった、というだけのはなし。今後も、人々のちょっとした「熱中」や「才能」や「時間」を換金したりする方法はどんどん発明されていくでしょう。

(そこらへんのことはここにもちょい書いた)


それを、「不況」だからという視点で見ると、変化の本質を見失うと思っています。たしかに、ニート、オタク、趣味に生きる人は増えた。そして今後も増える。でもそれは、社会システムの変化があるのだということを念頭において、みていく必要があるでしょうね。

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