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進次郎大臣育休取得への期待が大きすぎて見過ごされている論点


小泉進次郎大臣が育休を取るか取らないかが話題になっているが、新しい価値観を広めるというのな ら、そもそも「いまは国務大臣を引き受けない選択」があるはずなのに、その選択肢がない前提で議論が始まっていることがこの社会が抱える構造的問題の根深さを物語っているように思う。

育休取得が目的ではなくて、夫婦で子育てすることが大事なんだから、出世欲を脇に置いて「いまは家族にとって大事な時期なので、今回はお断りする」と堂々と言える男性が増えるほうがいいじゃん。出産が決まっているこのタイミングでは、進次郎さんはそっちのロールモデルを目指すべきだったでしょ。

進次郎さん自身が「このチャンスは逃したくない」と思っていて、妻が「私は大丈夫だから、そのチャンスをものにして」と背中を押してくれているのなら、まあ他人がとやかくいうことではないが、「日本って古いね」と言ってそれを変えたいと願うのなら、もっと手前の選択もあったことを論点にしないと。

タイミングが逆なら、「仕事の責任の大きさや、いま仕事上大切な時期だということは重々承知ですが、家族の大切な時期には変えられないので、育休を取らせてもらいます」と堂々と言えるのがカッコいいと思うし、まわりも全力でバックアップすべきだと思うけど、今回はそういう順番じゃなかったんだから。

安倍首相との間で「妻が出産予定なのでそのあと1カ月間の育休取得を前提にしてくれるなら引き受ける」という話になっていたというのならそれはすごくいい話だと思うけど。就任してから育休取るとか取らないとか言っているってことは、引き受けたときには育休のことなんて考えてなかったってことだし。

それでも育休は取ったほうがいいとは思うが、この問題の論点を「大臣としての育休取得の是非」にしちゃうのはミスリード。もしこれからの男性のロールモデル的な役割を彼に求めるのであれば、もっと前の段階で、彼にはベターな選択があったことに着目しないと、男性の仕事優先の意識は変わらないよ。

育児するなら出世するなとか、彼の判断が間違ってるとか言ってるんじゃない。大臣になることなんてあとからだってできるんだから、こんなときくらい出世より家族を優先する判断ができる男性が増えないと、結局男性の出世に影響しない範囲でしか女性は働けないという構造は変わらないだろうということ。

旧態依然の価値観を変えるというのなら、彼が「発信」すべきなのは、「過酷な仕事と家庭の両立は正直難しい。いまは家庭を優先させてもらいます」と等身大の父親・夫像を具現することだったのではないかと僕は思う。ミッションインポシブルに挑むスーパーイクメン像をアピールするのではなく。

こういう調査結果もあるしね。「仕事での競争意識が高く、女性観が差別的な男性のほうが家事をする頻度が高いという結果になった」。「育休」が「できる男」のアピールに利用されているうちは変わらない。進次郎大臣の育休に多大な「効果」を期待するのは筋が悪いと僕は思う。

●家事・育児をする男性としない男性、何が違うのか? 意外な結果を研究会が解き明かした。

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