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東電はまだ「原発事故の原因」を自覚していない

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■「停電の長期化 自由化の影響を検証せよ」と産経

「停電の長期化 自由化の影響を検証せよ」という見出しを立てたのは、産経新聞(9月13日付)の社説(主張)である。

その産経社説は終盤で「気になるのは、政府が進める電力自由化の影響だ」と書き、こう指摘する。

「平成28年4月に電力小売りが全面自由化された後、全国で大規模な停電が相次いだ。昨夏には台風などで関西・中部圏の数百万戸が一時停電した。昨年9月には北海道で全域停電(ブラックアウト)も発生した。新規参入増による競争激化が、電力の安定供給の障害になっている可能性がある」

競争の激化が、電力の安定供給に障害を引き起こして大規模停電を起こす。実に良い指摘だ。

事故はその運営母体の組織に問題が生じたときに起こる。最初は事故と呼べないような小さなものにすぎないが、これが見えないところで何度も繰り返された後、特異な条件(原因)が引き金を引いて表側に顔を出す。これが事故である。

航空事故や鉄道事故などの調査では「ハインリッヒの法則」として世界的に有名だ。この法則は労働災害の研究をベースにしたものだが、未然に事故を防ぐ術として応用されている。

■大惨事の前には「大組織の不安定さ」がある

産経社説はさらに書く。

「この自由化の一環で来年4月には電力会社から送配電部門を分社化する『発送電分離』が始まる。東電はこれに先駆けて分社化に踏み切ったが、自由化に伴う経営体制の見直しが復旧の遅れにつながっていないかも検証すべきだ」

これも良い指摘である。思い起こせば、520人という死者を出した日本航空のジャンボ機墜落事故は、34年前の1985年8月12日に発生したが、確かこの年は当時の中曽根康弘首相によってナショナル・フラッグ日航の民営化が決まって行く年でもあった。当時、経営陣と労働組合が激しく対立するなど日航社内は大きく揺れ動いていた。

この事故の直接の事故原因は7年前に起きた尻もち事故の修理ミスだった。だが、その遠因には、日航という大組織の不安定さやゆがみがあった。まさに柳田氏の「危険な陥穽」である。

(ジャーナリスト 沙鴎 一歩)

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