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大関に返り咲き「貴景勝」血ヘドを吐いた地獄の筋トレ

写真・ヤナガワゴーッ!

「『貴景勝は逆境に強いのでは』とよく言われますが、逆境に強い人なんて本当はいない。結局やることをやった結果なんですよ」

 こう断言するのは、9月場所で大関返り咲きを決めた貴景勝(23)の母校・埼玉栄高校相撲部の山田道紀監督(53)だ。

 右膝の怪我で、7月場所と夏巡業を全休。満身創痍の貴景勝が、再起のために選んだのが、母校での “秘密特訓” だった。

「彼は場所前、右膝の怪我の影響で、まわしを巻いておこなう実戦的な稽古はできなかった。だからうちの寮に住み込んで、筋力トレーニングを中心に、それこそ血ヘドを吐くまで自分を追い込んだ。どの力士よりも努力した結果が、今回出たんだと思います」

 埼玉栄高の筋トレは、プロの力士になったOBたちでも音を上げるほど過酷なことで有名だ。稽古場の入口にはさまざまなバーベルやダンベルが置かれ、ほかにも250kgのタイヤがいくつも積み重ねられるなど、器具も充実している。

 まだ23歳と若い貴景勝が、それこそぶっ倒れるほど追い込まれた。その練習量は想像を絶する。

 一方で、貴景勝が母校に “出稽古” に行くことは異例。これについて山田監督は、「千賀ノ浦親方には感謝しかない」と続ける。

「ベストは部屋で稽古することですが、ぶつかり稽古ができないからうちに来た。もちろん親方の許可を取って、筋を通してから来ました。預かるうえで、プレッシャーはあった。

 でも、あの子をスカウトしたときに、お父さんから『一生のつき合いでいてくれ』と言ってもらった。だから、いまでも僕らの関係は変わらないんです」

 その “猛稽古” の期間は、約2カ月にも及んだという。

「まわしをつけての稽古は、四股を踏んだり、高校生に胸を貸す程度。午後から週2回トレーナーに来てもらって、膝のリハビリ。

 筋トレは、ほかのトレーナーに週5回来てもらって3、4時間。炎天下のなか、それこそ本当に飯が食えなくなるくらいやりました。おかげで、貴景勝のパワーは怪我する前の1.5倍以上になったし、膝の筋力も8割方戻ってきています」

 寝食をともにした2カ月。疲れを癒やす効果があったのが、山田監督の手料理だ。

「寿司やステーキといった特別な食事を用意したわけではなく、いつもどおり高校生と同じものを毎日食べて、一緒に寝て、それだけ。強くなれば、いろんなご馳走を食べさせてくれる人がたくさんいるでしょう。でも彼は、ここを求めて来てくれた。それが嬉しいんです。

 大関復帰への重圧? それはあったと思うけど、彼はそういうことは口にしません。復帰してもホッとしているだけで、喜びはないでしょう。なぜなら、彼はこれから10年、相撲を取りつづけなければいけないんですから」

 この男にとって、大関は通過点にすぎない――。千秋楽の怪我は心配されるが、綱取りへの挑戦が再び始まる。

(週刊FLASH 2019年10月8日号)

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