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東証株価指数の安値に思う3

日本の株式市場が凋落した責任の一端は投資家にもある。企業を甘やかしすぎた。この観点からの議論は1990年代の後半からある。コーポレートガバナンスの議論ということになる。

コーポレートガバナンスの方法として、ボイス(声を出すこと)とエグジット(売却するもしくは関わらないこと)がある。

1990年代後半から始まったコーポレートガバナンスの議論は、このうちの「ボイス」すなわち株主総会における議決権行使を主とするものだった。それまでの上場企業同士を中心とする株式の相互保有、いわゆる株式持ち合いは、企業に対して物を言わなかったため、企業経営を弛緩させ、バブルとその崩壊の遠因となり、株式投資収益率を悪化させたとの認識に基づく議論だった。これはこれで正論であり、その行動そのものが駄目だとは誰も否定できない。

村上ファンドは、このコーポレートガバナンスの流れの中にあった。また、年金が、その資産の運用委託先を介して積極的に議決権を行使しようとしてきたことと、その議決権行使に関してアドバイスする(総会での議案に対する賛否の模範解答を示す)業者が日本に上陸してきたのも、やはりこの流れに乗っている。

僕自身、当時の業務において議決権行使を巡って村上氏と議論したし、株式持ち合いを計測し、またその後の研究もコーポレートガバナンスの流れに左右されてきたことは否めない。

しかし、考えないといけないのは、日本における議決権行使が投資家として最優先事項だったのかどうかである。日本の上場企業の中には、箸にも棒にもかからずホコリをかぶった企業が多い。証券取引所は、そんな企業を陳列台から撤去しようとない。この状況にあって、投資家として最初に熟慮しないといけないのは、「その企業の株式を買うべきか、買っていたとして保有を続けるべきか」である。「エグジット」の観点が最重要と言える。ボイスが役立つのは、かつてはピカピカだったのに、その輝きが少し曇ってきた企業である。

現実は、年金を中心にインデックス運用が活発化し、そのベンチマーク(運用の基準)として東証株価指数(TOPIX)が用いられてきた。ピカピカの企業はもちろん、ホコリをかぶった企業も、しなびた企業も、東証の店頭に並らべられているとの理由だけで投資対象としてきたのである。これらの企業を十把一からげに買った後で、「でも、ガバナンスをやらないといけないよね」というので、議決権行使を活発化させたわけだ。

この行動は手順前後である。ホコリをかぶった企業やしなびた企業を買って声をあららげたところで、その企業を村上ファンドばりに買収で脅さないかぎり、馬の耳に念仏、効果はない(ウマさんには悪いが、ひょっとして無神教徒かも)。その企業から、「買ったやつがアホや」と見くびられるのが落ちだろう。正しい手順は、そんな企業の株式はさっさと売却するか、持っていなかったのなら無視することである。

以上の意味で、日本の投資家は、株式市場の凋落の責任一端を免れえない。しかも現在、日本の株価の長期低落傾向に愛想を尽かし、市場全体から逃避しつつあるのは、どうしたことか。元気のある日本企業までさっさと見捨てる気だろうか。手順前後を続けながらも、次には極端へと走る。投資家としての能力の欠如を明示しているとしか考えられない。

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