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本を1冊ずつ読む人がアイデアを出せないワケ

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フェイスブックは公開ネタ帳として使え

私にとってのフェイスブックは交流ツールではなく、まず、仕事相手との連絡ツールであり、それから、アイデアのマーケティングツールである。思いついたことを書いてみて、その反応を見る。そして反応が良ければ、近い話題をまとめて提供してもみる。

するとコメント欄に新しいアイデアのタネが集まることもあり、そうこうしているうちに出版社から声がかかり、1冊の本として出版と相成ることもある。

もちろんならないこともあるが、しかし、百発百中とはいかないことは承知の上。自分の中に蓄積するだけでは絶対に起こらない化学反応が起きることがあるのである。

だから、他人が興味を持たないようなこと、非効率だとバカにするようなことでもあえてして、意味がないと思われそうなアウトプットもし、その結果、ちゃっかり実利をいただけるのだ。

このようにフェイスブックを使っていない人は、とてつもない機会損失をしている。

雑学は生き残るための武器になる

つまるところ、思考の寄り道とはオリジナルの発想の源泉であり、雑学を身につけるプロセスでもある。

この雑学こそが、何か一つの道を極めるわけではない、寄り道派が生き残るための武器になる。

『東大王』というクイズ番組があるが、あの番組に出演している東大生は、東大に入るための受験勉強という道を極めただけでなく、雑学についても網羅しようとしていて、本当に頭が良いとはこういう人たちだなと思う。

なお、東大に入るだけなら誰でもできる。システマティックに受験勉強をこなしていれば入れるので、これは、メジャーリーグで活躍したりノーベル賞を受賞したりするのに比べると、はるかにたやすい。そして東大生になったとして、それだけでは努力に見合ったリターンは得られない。東大王たちはそれに気付いているのだろう。

受験勉強だけをしてきた東大生と東大王は、持っている雑学の量が違うのだが、その結果、視野の広さも異なる。

私なら、タダの東大生と話すより、東大王と話したい。いろいろな話を聞けそうだからだ。ほとんどの人がそう思うだろう。

ここから東大生という要素を取り除いても同じことだ。

雑学があると多くの人と会話でき、さらに雑学が増える

タダの人と雑学がある人とでは、雑学のある人と話す方が楽しいし、刺激になるし、勉強にもなる。


成毛眞『一流になりたければ2駅前で降りなさい』(徳間書店)

また、タダの阪神タイガースファンと私との間では、おそらく会話が成立しないが、雑学もある阪神タイガースファンとの間では、その雑学という共通項で話ができる。

雑学があるからより多くの人と会話ができ、たくさんの人と話すから、さらに雑学が身につくのだ。

では、一人で雑学を身につける場合にはどうしたらいいか。

その方法の一つが、ここまで書いてきたような思考の寄り道だ。ランダムな本の組み合わせや、過去の興味と今の興味のすり合わせは擬似的な対話である。

だから、ただ検索したり本を読んだりするのでは得られないものが、そこに見出せるのだ。

先に挙げた行為は、一見ただの暇つぶしで無駄な行為に思える。しかし、その積み重ねが雑学を吸収しやすい体質をつくる。一度、そのサイクルが回りはじめれば、雑学は加速度的に身についていく。それが、何か一つを極めることを選ばない人にとっての生存戦略だ。

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成毛 眞(なるけ・まこと)
書評サイト HONZ代表<
1955年、北海道生まれ。中央大商学部卒。マイクロソフト社長を経て投資コンサルティング会社インスパイアを創業。書評家としても活躍。著書に『黄金のアウトプット術 インプットした情報を「お金」に変える』『定年まで待つな!』『amazon』など。
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(書評サイト HONZ代表 成毛 眞)

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