記事

「似たもの同士カップル」がなぜ生まれるのか

1/2

※本稿は、山口慎太郎『「家族の幸せ」の経済学 データ分析でわかった結婚、出産、子育ての真実』(光文社新書)の一部を再編集したものです。

似たもの同士の結婚は世界共通

あなたの周りのカップルはどんな組み合わせが多いですか? 高学歴のカップル、育ちの良さそうな男女のカップル、美男美女のカップル、はたまた背の高い人同士のカップルなどいろいろな組み合わせがあるかもしれませんが、何らかの意味で似たもの同士のカップルをよく見かけるのではないでしょうか。

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/GeorgeRudy

これまでの社会科学の研究において、似たもの同士の結婚は世界中で共通する現象であると知られています。

日本においても、学歴という点から見れば、似たもの同士の結婚が中心であることがわかっています。図表1は、男女の結婚において、どのような学歴の組み合わせで結婚しているかを示していて、円の大きさは、カップルの数を表しています。

この図を見ると、対角線上に大きな円が現れていることがわかります。これは高卒同士、大卒同士といった同じ学歴のカップルがたくさんいることを示しています。夫婦とも短大・高専卒のカップルの割合がやや少ないのは、男性で短大・高専卒の人が少ないためです。また、夫が大卒、妻が短大卒という組み合わせも多いのですが、全体としては、やはり同じ学歴同士の結婚が中心です。

海外でも同じ学歴同士の結婚が多い

こうした同じ学歴を持つ人同士の結婚が中心になっているのは日本に限りません。アメリカ、イギリス、ドイツ、デンマーク、ノルウェーといった国々でも同様の傾向が報告されています。

学歴に限らず、さまざまな観点から見ても、似たもの同士の結婚はありふれているため、自然なものとして受け止められがちです。しかし、なぜ似たもの同士での結婚が多くなりがちなのでしょうか。

なぜ似たもの同士で結婚するのか

似たもの同士での結婚が多くなりがちな理由には、大きく分けて二つの理由が考えられています。

一つめは、出会いの機会が似たもの同士に限られているというものです。マッチングサイトの役割が大きくなってきているとはいえ、主な出会いの場はやはりネット上ではなくオフラインです。特に、学校や職場、友人などを介して知り合う人が多いため、自分と似たような育ち方をして、似たような仕事についている人と出会いがちです。

本人には、自分と似たような人と結婚したいというこだわりがなくても、自分と異なるタイプの人と出会う機会は限られていますから、結果的に、自分と似たタイプの人と結婚しがちなのです。

二つめの理由は、出会いの機会は十分にあるけれど、人々が自分の好みに従ってパートナーを選んだ結果、似たもの同士で結婚しているというものです。

この説明は、詳しく言うとさらに二つに分けられます。似たもの同士では、自然と惹かれ合う傾向があるというのがその一つです。この考え方のもとでは、万人が認めるようなモテるタイプが存在するわけではありません。世の中にはいろいろなタイプの人がいて、好みも人それぞれであるけれど、自分と共通点がある人を好むと考えます。たとえば、同じ学歴の人は、学歴が異なる人よりも価値観が似通っていますし、共通の話題があることも多いため、いい関係に発展しやすいということです。

もう一つは、恋愛において魅力的だと考えられている人同士から順番にカップルになっていく結果、似たもの同士のカップルが成立していくというものです。

魅力的な男女から順にカップルになる

この考え方のもとでは、万人が認めるようなモテるタイプが存在し、異性から見て誰が魅力的なのかははっきりしていると考えます。魅力的だと思われている女性(男性)は、多くの人からアプローチを受けるため、その中で最も魅力的な男性(女性)とカップルになることができます。こうして魅力的な男女から順番にカップルが成立していく結果、成立したカップルの魅力の度合いは男女で似通ってくるのです。

いずれの場合も、出会う機会は十分ある上で、人々の恋愛・結婚における好みが果たす役割を指摘しているという点で共通しています。

マッチングサイトがデータ分析を一変させた

似たもの同士での結婚が多く見られる理由には、「似たもの同士が出会う機会が多いから」というものと、「自分と違うタイプと出会う機会は十分あるけれど、好みに従ってパートナーを選んだから」というものの二つがあると述べましたが、どちらがどれだけ重要なのでしょうか。

残念ながら、実社会のデータから、この疑問に直接答えるような分析を行うのはとても難しいのです。これは、結婚に至る前に、どのような出会いがあって、どのような選択をした結果、最終的に結婚に至ったのかを記録するデータがほとんど存在しないためです。

しかし近年、こうした研究上の壁が、マッチングサイトの利用データを分析することで打ち破られました。マッチングサイトには、出会いについての情報が豊富に記録されています。利用者のプロフィールに始まり、実際にどのユーザーにメッセージを送ったのか、送ったメッセージの内容に至るまで、サイト運営者のサーバーに記録が残っています。

アメリカの研究では、利用者のプライバシーに配慮した上で、マッチングサイト上での利用者の行動を分析し、人々が自分の将来のパートナーに何を望むのか、どのようなアプローチをするのか、最終的にオフラインでのデートに至る理由はなぜなのかを詳しく分析しています。

出会う機会の問題を解決

分析では、マッチングサイト上でやり取りされたメッセージの中の言葉をAIで分析し、誰と誰がオフラインでのデートに至ったかを確認しています。具体的には、男女お互いが連絡先を交換した場合、マッチに至ったと判断しています。

このマッチングサイトでは、プロフィールを見たうちのおよそ10%にメッセージを送り、さらにそのメッセージを送ったうちのわずか5%しかデートに至っていないことがわかりました。やはりデートに至るのは一つの大きな成果と見なしてよいでしょう。

デートの結果、がっかりしてそれ以来会わなくなるケースもあるでしょうし、交際が進展して結婚に至るケースもあるでしょうが、オフラインの行動はデータ上、知ることができません。

なお、デートに至ったカップルのプロフィールを分析した結果、年齢、容姿、身長、体重、収入、学歴のすべてにおいて、似たもの同士でマッチしていることがわかりました。さらに面白いことに、男性は女性に対して容姿を、女性は男性に対して経済力を重視する傾向もわかりました。

マッチングサイトでの「似たもの同士」は選択の結果

これは人々の好みの結果なのでしょうか。それともマッチングサイト上においても、出会いの機会が不十分で、その結果似たもの同士が出会うことになっているのでしょうか。

その答えを見つけるために、この研究ではコンピュータ上でシミュレーションを行いました。データ分析によって明らかになったサイト利用者の好みに基づいて、仮に、出会いの機会が十分ある場合に実現するであろうカップルの組み合わせを導き出したのです。そして、そのシミュレーションの結果と、実際にサイト上で見られたカップルの組み合わせの傾向はほぼ一致していることが明らかになりました。

この結果から言えるのは、マッチングサイト上では、事実上、誰もが誰とでも自由に出会え、出会いの機会が乏しいという問題が存在していないということです。マッチングサイトで生まれる似たもの同士のカップルは、彼ら/彼女ら自身の好みと選択の結果なのです。

出会いの機会を提供するのがマッチングサイトのそもそもの目的であるとはいえ、実際に十分な出会いの機会を提供できているというのはちょっとした驚きです。

あわせて読みたい

「恋愛」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    NHK大河が低迷 N国の追及を警戒?

    渡邉裕二

  2. 2

    収入ギリギリの住宅を買うリスク

    長谷川高

  3. 3

    国会前の官僚残業 最悪な展開に

    室橋 祐貴

  4. 4

    日本が財政破綻へ? カギは少子化

    永江一石

  5. 5

    即位の礼 要人もどよめいた奇跡

    音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選挙区)

  6. 6

    竹中平蔵氏 借金1000兆円は煽り

    PRESIDENT Online

  7. 7

    すいません禁止 飲食店が話題に

    AbemaTIMES

  8. 8

    即位の礼で改めて考える天皇制

    ヒロ

  9. 9

    キムタク新作 視聴率12.4%低調か

    NEWSポストセブン

  10. 10

    教員いじめ 校長は刑事告発せよ

    上田令子(東京都議会議員江戸川区選出)

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。