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野口聡一さんが語る3度目の宇宙挑戦「“今の自分”を見直す」


「幼いころから僕の『宇宙飛行士』という仕事を理解して育ってきた3人の娘たちは、日ごろから『お父さん、また宇宙に行きたいんでしょ?』と言ってくれていて。3度目が決定したときも『本当によかったねと全員が喜んでくれました』

JAXA(宇宙航空研究開発機構)東京事務所の一室で、やわらかな笑顔を浮かべて話すのは、宇宙飛行士の野口聡一さん(54)。’05年にアメリカの「スペースシャトル」。’09年にロシアの「ソユーズ」と2度、宇宙船に乗り、地上から約400キロ離れたISS(国際宇宙ステーション)に滞在して任務を行ってきた。

そして’20年に予定されている「3度目」では、日本人として初めてアメリカの民間機に乗り、ISSに向かう。

「フライト・エンジニアとして、日本の宇宙実験棟『きぼう』を含む各施設の保全や科学実験など行う予定です。東京オリンピック聖火リレーのスペース・アンバサダーも務めるため、日程が重なれば、宇宙から中継で声援をお届けできるかもしれません」

日本人最年長で来年のミッションに挑む野口さん。前回の’09年から約10年間で体の変化も感じているという。

「宇宙で45歳の誕生日を迎えた前回は伸び盛りでしたが、54歳になったいま、筋力や動体反射などは劣ってきたかもしれません」

それでも宇宙飛行士は「つねにチャレンジの日々」だと語る。

「この職業の特徴は、ベテランでもずっと試され続けること。たとえば、ロボットアームの操縦や船外活動の訓練でも、新人と同じテストをさせられます。『若いころは上手だった』ではいけない。つねに『今が全盛』でなければいけないんです」

体が衰えていようと、若手と同じ「オーディション」を通過しなければいけないとは、なんとも厳しい世界。

しかし、野口さんは、「それがベテランの挑戦」だと力を込めて語る。

「挑戦することが減るということは、挑戦しなくてもいい人生になっているからだと思うんです。それは安泰な人生ではあるけれど、最高に充実したものであるとは言い切れないでしょう」

そして、その「50代の挑戦」は「なにも新しいことを始めなければいけないわけではない」そうだ。

「今までできたことを『今日できるのか』と確認することもまた、挑戦だと思うんです。『自分は今、なにができるのか、まだ走れるのか、宇宙船を操縦できるのか……』と、“現在進行形の自分”を確かめる。自分の能力や置かれた環境をある時期に見直して、また構築することは大事だと思う」

こうして、今も宇宙飛行のトップランナーでいる野口さん。一方で、挑戦し続けるために、日々の生活で心がけていることは意外にも、私たちにも共通することだという。

「まずは、バランスのいい食事。『バラエティ』を意識して、できるだけ多くの品目をとるようにしています。それに宇宙には持っていけない食品や食材もあるので、なおさら、地球にいるときはいろんなものを食べています。あと、僕はお肉が大好きで、意識しないとお肉ばかりを食べてしまう。なので、外食では極力、野菜を多く食べることにしています。みんなとステーキハウスに行っても、僕はサラダばっかり食べていたりする(笑)」

次に教えてくれたのは「運動面」での心がけだ。

「地球にいるときも、宇宙にいるときも、有酸素運動や筋力トレーニングをします。とくに、無重力である宇宙では、つねに寝たきりと同じ状態で、筋肉など、体はどんどん衰えてしまうので、運動は欠かせません。でも、僕は本質的には怠け者で(笑)。苦手なものは早く終わらせようと、宇宙では、朝起きたらすぐにジムに行きます。すると、目覚めがよくなって代謝量も上がるんです。低血圧にも効果的かもしれません」

最後に3度目となる宇宙滞在の目標を語ってくれた。

「体力的には、20代にはかなわないかもしれませんが、宇宙に行く力はまだ十分あると思っています。それに、精神力はむしろ、今のほうがあるのではと感じているんです。過去2回の経験を生かして気負わず宇宙に行き、任務を安全・確実に実行すること。そして、滞在期間中は健康で過ごし、元気に帰還することが、いまの目的です」

来年、宇宙から聖火ランナーへ向けて届く野口さんの元気な声援が楽しみだ。

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