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日産自動車、台風15号被災の千葉県でいち早くEV車投入し給電活動

木更津市内で給電中のリーフ(写真提供:日産自動車)

日産自動車は、今月9日未明の台風15号被害で停電した千葉県木更津市、君津市に同社のEV自動車「リーフ」をいち早く投入し、保育園や福祉施設などで給電活動を実施した。18日に開催された「第3回SB-Jフォーラム」で同社担当者が明らかにした。ライフライン寸断の深刻な事態を受け、独自に動いたという。同社は三重県や札幌市、熊本市などと災害時のEV活用について連携協定を締結しているが、今回被災した自治体とは協定などを締結していない。なぜ迅速な対応ができたのか。そして災害時のEV自動車活用に今後どのような課題があるのだろうか。(サステナブル・ブランドジャパン編集局=沖本啓一)

いち早く動いた日産自動車 渉外部

木更津市内の高齢者施設の冷蔵庫に給電(写真提供:日産自動車)

台風15号が千葉県に上陸した9日、同県と神奈川県を中心に95万戸が停電した。翌10日昼時点で千葉県内の56万戸以上が復旧せず、東京電力は11日、停電が長期化する見通しを発表。この発表を待たず、いち早く現地での電力供給のために動いたのが日産自動車だ。EV自動車を「走る蓄電池」として活用した。

「10日に千葉県の停電が長期化する兆しを見て、すぐに派遣可能なリーフを手配しました。考えるよりも先に身体が動いていました」

EV自動車・リーフでの給電活動を主導した日産自動 日本事業広報渉外部の大神希保担当部長はそう話す。社内で給電用ケーブルや、個人のスマホ用充電器までかき集め、同時に木更津市役所に連絡をとった。EV自動車での給電が可能なことを伝え、福祉施設などに派遣することを提案。11日朝、同市から具体的な施設名の提示があったとき、リーフはちょうど千葉県に到着していた。

さらに12日、より深刻な停電被害が報じられた君津市と市原市を重点地域として活動を拡大。このときは市役所の代表番号に電話をかけ、協力を打診した。同社が独自に活動した2日間で、14台のリーフと70台の給電機が被災地で稼働。保育園や老人ホームでの空調設備や冷蔵庫、給水所の夜間の電灯など20拠点の電気を賄った。

「できることを、やる」

SB-Jフォーラムに登壇した日産自動車 日本事業広報渉外部の大神希保担当部長

日産は熊本市と持続可能なまちづくりに関する包括連携協定を締結しているほか、三重県や練馬区、北海道のコンビニ事業者セコマなどと、9件の「災害連携協定」も締結している。しかし、今回リーフを派遣した千葉県や木更津市、君津市、市原市とは協定を締結しているわけではない。

「連携協定の枠組みを生かすことはとても重要です。しかしいざ災害が起こったのであれば、流動的にできることをやる、ということが絶対に必要になります」と大神氏は話す。「本来自治体との窓口となる営業部署や、必要な物資を提供してくれた社内の協力、提案を受け入れ施設を案内してくれた自治体の協力があってのことでした」と大神氏は振り返る。関わる人の思い、行動で組織が動く一方で「このような災害時の動きを、体制として確立することも必要」と教訓も得た。

迅速な動きには、EVを活用し地域課題に向き合う電動化アクション「ブルー・スイッチ」に日産がかねてより取り組んできたという背景もある。各自治体や企業と災害連携協定を結んでいたのもブルー・スイッチの一環。同社社内の災害への意識は非常に高い状態にあった。

災害時のEV自動車活用の周知を

EV自動車の「エコ」「CO2削減」というメリットは周知されている。しかし災害時に走る蓄電池、バックアップ電源として活用できるということは「まだ浸透が浅いと感じています」(大神氏)と話す。この活用方法の認知が広がれば、自治体の要請など各所の動きもよりスムーズになる。

今回は台風被害による停電対応のため横浜から千葉へのEV自動車派遣が可能だったが、自走による派遣にも課題はある。地震災害であれば道路が走行不可能な状態になるケースは十分考えられる。「外部から派遣するのではなく、地域内で災害時にEV車を連携して活用する仕組みをつくることが必要です」と大神氏は今後の課題を見据える。

東京電力は16日、日産やトヨタなどに要請してEV自動車の大量投入を開始した。日産は要請を受け、リーフ40台を稼働。派遣場所や活動内容の統制がより的確に取れるようになった。

千葉県内では20日正午現在、約2万400戸が台風の影響による停電から復旧していない。

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