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岡田准一「1日に本1冊、映画3本が自分を変えた」

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※本稿は、霜田明寛『ジャニーズは努力が9割』(新潮新書)の第1部「努力の16人――5 岡田准一」の一部を再編集したものです。

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/akinbostanci

■「人間は“頑張る”ことに耐えられる」

思考の重なりが、人生を変えていく。V6・岡田准一の“考え続ける人生”からはそんな真理が見えてきます。

「小2ぐらいのときからずっと、自分はどう生きるかとか、どういう男になるかっていうことを考えてきて(※1)」と、早くから自分の人生に真剣に向き合ってきた岡田が、仕事を始めたのは14歳の時。

「普通は22~23歳で経験することを14歳から経験し始めて、『生きるって何だろう』『仕事をするってどういうことだろう』と悩んでいたんです(※2)」

その思考は決してポジティブなものばかりではなく、「劣っている」「まだ足りない」「自分は天才じゃない」といった類のものも。自分を冷静に見つめた思考が、彼を読書や運動といった、文武両道の行動に促します。

「人間は“頑張る”ことに耐えられる生きものだ(※3)」と信じ、「頑張るとか、耐えるって人間の特権だと思う(※4)」と話す、「努力が9割」という言葉を象徴するような岡田の人生を見ていきましょう。

■10年もがいて、やっと落ち着いた

キャリア10周年、24歳のときに岡田准一はこう語っています。

「3、4年働いて、ちょっと仕事がわかってきて、自分のできると思ってることと評価が違ったり、空回りっていうのもすごく早いうちに経験して。16、17ぐらいだとやっぱり実力がないし、余計にこう、あがいてしまって。そういうことを既に10代の頃に経験したんですよね。だから、いまはそういうことがあってよかったって思えるほどラクですしね(※1)」

こう聞くと異世界の話に聞こえてしまうかもしれませんが、色々な人生の通過点が、普通の人よりも早く訪れているというだけで、特別なことではないのかもしれません。8歳から人生を考え、6年後の14歳でチャンスがやってきて、その後10年もがいて、やっと落ち着いたという岡田。大学を卒業して就職する人のイメージで置き換えれば、21歳で就職について考えだし、27歳でチャンスがやってきて、37歳くらいでやっと落ち着く……と年数はそのまま、時間軸だけずらして考えるとしっくりくる感じもします。

むしろ特筆すべきは、「すごい世界の一員になったことに慢心せずに、周囲を基準とすることで、努力が促された」ということかもしれません。

■14歳で、いきなりデビューしてしまう

14歳でジャニーズ事務所に入所、その直後にV6としてデビュー。当時、24歳でジャニーズ最年長デビュー記録を更新した坂本昌行や長野博といった年長組や、当時のジャニーズJr.で人気を二分していた森田剛や三宅健と同じグループに入り、いきなりのデビューです。三宅いわく「ドライヤーぐらいしか荷物がなくて」「友達が寄せ書きしてくれたラグビーボールを小脇に抱えて」大阪から、東京の合宿所にやってきたような状態です(※5)。

ジュニア期間がほぼない中でのデビューは、他人から見れば大チャンスではありますが、突然のデビューに、当時はついていけないことや怒られたことも多くあったようで、そのためか、岡田准一の人生には、「いきなりデビューしてしまった」という事実が重くのしかかっています。

■「家でボーッとしてる時間なんて、俺には必要ねえ」

岡田准一は、ただ人生の起点が早かったから、早く自己を確立できた、というわけではありません。とにかくその過程での日常の過ごし方がストイックなのです。そして、そんな日常の過ごし方を変えさせたもの。それは周囲と差があるという自覚によるものだと語ります。

「芸能界に入り、『天才』と呼ばれる才能ある方々を間近で見てきました。自分は地味だから、若いうちから勉強しないと、と心に決めた(※6)」として勉強を始めます。

岡田は悩んだ時期を振り返り、「時間がもったいなくて、家でボーッとしてる時間なんて、俺には必要ねえって思ってたんです。(中略)本を読むか、映画見るかとか、勉強しなきゃ(※7)」とも語っています。

その例がインプットの量です。10代の頃「家帰ったら映画3本観て、本を1冊読んでみたいなノルマを決めて生活してた(※8)」と語ります。もちろん10代といっても、ただの中高生ではなく、多くの仕事に追われる中でのこの量です。

そうして出逢って心に響いた言葉や、映画の感想やカット割りをノートに書き留める、という作業も並行して続けました(※9)。

■帰宅前に映画を3本借りて、朝まで見る

本は、デール・カーネギー(※10)をはじめ、考古学に心理学……フロイトやカント(※9)にドストエフスキーにニーチェ(※2)、精神世界やスピリチュアル系の本も読んで、家に遊びに来た母親に「こんなの読んでるの?」と心配されるほど(※9)。読書習慣だけでもすごいことですが、帰宅前に映画を3本借りて、朝まで見るというのもかなり大変な行為です。

「ノルマだから、ストイックに観ましたね(※8)」「寝てる時間があったら身になることをしようと。3本目なんて結局覚えていないから意味はないんですけど、筋肉トレーニングみたいなものです。毎日見なきゃって。やり始めたら続けなきゃと。強迫観念を自分で作ったようなものです(※11)」という言葉からは、ノルマを決めることで自らを追い込み、それを続けることで、自らの型を作り上げていった姿がうかがえます。

とはいえ、その日々は「下積み」というよりも、現在の岡田を「下支え」しているイメージ。その象徴が「学んでる時が幸せ(※7)」と語る岡田の言葉です。辛い下積み時代ではなく、評価される時代の前の、なりたい自分になるための蓄積の時期。それが将来の自分のためになるという確信があるからこそ、学びを幸せと感じることができる。学びという成果が出る前の努力の過程を幸せと感じられることこそ、大事なことだったのかもしれません。

■30歳で『古事記』にのめり込む

岡田はそうした学びの日々を「ひたすら空洞を埋めるために勉強をした。10年目くらいで身になってきて、同時に周囲から評価や信頼を得られるようになった気がする(※9)」と振り返ります。

その「10年目くらい」にあたる2005年から岡田が担当するのが、ラジオ番組『GROWINGREED』です。「人間は成長する葦である。『考える葦』は人と出会い、学び、発見することで『行動する葦』へと成長していく」という岡田にピッタリの番組コンセプト。五木寛之や林真理子、姜尚中といった作家から、投資家や建築家、東大教授に芸術家……と多ジャンルの専門家がゲストとして登場し、その数は500人を越えています。聞き手として彼らと対峙する岡田に信頼を寄せ、何度も登場する人もいるほどです。

岡田は「僕自身には才能なんてないけれど、唯一あるとしたら才能ある人々と出会える能力だと思っている(※12)」と語っていますが、その唯一自認する出会う能力ですら、自身の努力が引き寄せたものに思えます。ちなみに読書の習慣は大人になっても途絶えず、30歳の時に「今、読んでいる本は?」と聞かれて『古事記』と答えています(※13)。

■3種類の武術を習得

こうして岡田は、周囲との差を自覚することで、読書や映画といったインプットをするようになり“人生について考える時間”を多くし、成長をしてきました。

その周囲との差についての自覚は、演者側だけではなく、プロであるスタッフにも及びます。しかも、ある程度キャリアを積んだあとにも、現場や分野が変わる度に「追いつかなきゃ」精神は変わらず発動し続けているのです。

「様になるようにカラダを動かす技術も身につけないと、スタッフの方と対等に仕事ができない(※9)」

作家・金城一紀と組んで企画書を通し、映画化までは7年をかけて実現した『SP』(ドラマ版は2007年に放映。その後2部作で映画化)の時にはフィリピンの武術カリを学び、主演でありながらアクションを作るスタッフとしても参加しました(※14)。

まずは自身で世界中の格闘技や武術を調べて、個人レッスンを開始。足がパンパンになるまで、鏡の前でひたすら棒を振るなどした後に、個人的に弟子入りまで果たします。

カリに加え、ブルース・リーに由来する格闘技ジークンドーと修斗の3種のインストラクターの資格を取得、他にも柔術や居合など5種のトレーニングを経験するまでに。風呂に入る前には上半身裸になって棒を振るのが日課の生活で、身体のために冬でもなるべく暖房をつけないようにするという徹底っぷりです(※9)。

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