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千葉の大停電と森林経営管理法

今回の千葉の停電は、電線に引っかかった樹木を処理するのが大変なわけだが、その理由には倒木処理の技術的大変さとともに、電力会社の立ち会いがいることや所有者の了解を取り付けることの困難さの問題がある。

しかし、電力会社の立ち会いはともかく、昨年成立した森林経営管理法があるではないか? これで所有者の了解はかなりクリアできる。

森林経営管理法の中には、「災害等防止措置命令」もあって、危険と判断された森林は所有者の同意がなくても、市町村が伐採などの命令を出し業者に委託できるのだ。もともと、この法律は「経営する気がない」森林所有者の山を、自治体が所有者の管理権を取り上げて他者に委託できる条文がある。地元自治体が「勧告」し、さらに知事が「裁定」して、それを決定できる。これを「見なし同意」と呼ぶが、所有権をないがしろにするという点で非常に危険度も高い。その気になれば、他人の山を勝手に伐ったり道を入れたりできるのだから。

しかし、もう一つ、緊急事態こそ使える条文もあるのだ。それが「災害等防止措置命令」だ。こちらは知事の裁定さえ抜きで市町村の首長が決められる。このままでは災害を引き起こしかねない森林の伐採や斜面の保全工事を行えるのだ。もちろん専門家の意見を聞くことなどの縛りはあるが、基本的に独断専行が可能だ。これを使えば、道路際で電柱や電線に絡みかけている樹木を伐採する「伝家の宝刀」になるのではないか。今のような緊急事態には対処しやすくなるだろう。

もちろん、危険性はより高い。他者の森林を防災の名の元に伐る乱用に陥らないように慎重になるべきだ。しかし、今のような緊急事態にはフレキシブルに使えないだろうか。

……おそらく森林経営管理法の内容を十分に理解している自治体は非常に少ない。こうした点を伝えるのもプラスではないだろうか。



千葉で見かけた電柱の設置し直し工事。

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