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「松坂世代」最終章の逆転劇

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そして、今シーズンに至っては、39歳にして火の球ストレートが完全復活、奪三振率も一段と上昇し、シーズン途中からはとうとう7年ぶりにクローザーに返り咲き
他の同期の選手たちが”ベテランの味”で何とかしのいでいる、という印象を与えている中、人類の歴史に逆らうかのような別次元の活躍を見せている。

振り返れば、彼の20代前半までは、

・高校2年生で高知商で甲子園に出場を果たしたものの、最後の夏に県代表を勝ち取ったのは明徳義塾(最後は「松坂の引き立て役」になってしまったが・・・)。
・ドラフト1位でタイガースに入団したのに、話題になるのは元同級生の広末涼子のほう。
・しばらくは一軍の登板機会にも恵まれず、松坂投手が華やかに白星を積み重ねる中、初勝利は入団4年目
・ようやく先発ローテに入っても、球は早いが単調、と揶揄され、シーズン通しての定着がなかなかかなわない。

といった感じで、プロ入り後6シーズン登板イニング数は150イニング程度。松坂投手の1年目のイニング数にすら届かない。
そして、この間、松坂投手は、新人時代から3年連続最多勝、故障で離脱したシーズンもありながら通算で77勝を挙げていたから、同じ「松坂世代」というには、あまりに差が付きすぎていた。

それが、中継ぎに定着して「JFK」に、そして、「K」も「J」も故障で苦しむ中、押しも押されもせぬリリーフエースに成長を遂げたのだから、人生どこから運命が開けるか分からない。

加えて、藤川選手の場合、タイガースの守護神の座を勝ち取りながらもメジャー志向を隠さず(この辺は元レッドソックスの上原投手とも似たところはある)、球団に度々慰留された末にようやく2012年のオフにメジャー入り、骨をうずめるつもりで渡米したものの、早々に故障して満足のいくシーズンを過ごせず、2015年のシーズン途中でメジャーの選手枠から外されて、日本に復帰したと思ったら所属球団はなんと「四国アイランドリーグ高知!」というドラマもあった。

2015年の電撃日本復帰の時も、その翌年タイガースに戻って迷走しかかっていた時も、30代半ば、という年齢も相まって、さすがの藤川ももう終わりか・・・と思ったのは、自分だけではなかったはず。

それでも、「遅咲き」の火の球速球王は不死鳥のように蘇り、引退間際の「看板」選手を横目に、まだまだセーブ&ホールド記録を積み重ねようとしている。

かつては故障に苦しんだこともある選手だけに、藤川投手とて、来シーズンどういう運命をたどるかは全く分からない。

仮に、彼の直球がますます勢いを増し、さらに記録を塗り替えることになったとしても、この世代の呼び名が、というより、この世代を一括りにする風潮自体が、「漫画」みたいな甲子園での松坂大輔選手の一人舞台から始まっている以上、「松坂世代」が「藤川世代」と呼ばれるようになることは永遠にないだろう。

だが、一定の才能の持ち主が努力を惜しまなければ人生必ずどこかで花開く、そして、どんなにまぶしくても追いつけない背中はない、ということを、これだけ身をもって証明してくれている選手はいないような気もするわけで、自分は、「最後の一人」になるまで「背番号22」に輝いていてほしいと思っている。

そして、藤川選手なのか、それとも他の誰かなのかは分からないけれど、「最後の一人」がプロ野球現役選手としてのカテゴリーから外れた時に、もう一度、矢崎良一氏に、あの名ノンフィクションの”続編”を書いていただきたいな、というのが、自分のささやかな願いである。


松坂世代 (単行本)

*1:注目集まる“松坂世代”の去就 日本ハム実松引退で最大94人→5人に(デイリースポーツ) - Yahoo!ニュース

*2:梨田監督退任後の緊急リリーフからの昇格とはいえ、生え抜きで育成コーチから昇進を遂げての人事だったから、それだけ指導力が見込まれていた、ということだったのだろう。

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