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大野智「頑張った分だけ人は自由自在になれる」

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※本稿は、霜田明寛『ジャニーズは努力が9割』(新潮新書)の第1部「努力の16人――10 大野智」の一部を再編集したものです。


※写真はイメージです - 写真=iStock.com/manopjk

■アイドルは夢じゃなかった

――アイドルになることが夢だったのですか?

「いや、全然。ジャニーズって歌って踊って、何だか大変そうだと思ってたから(笑)(※1)

2010年の時点でこんな受け答えをしている大野智。小学3年生の時から絵を描くのが好きで、本当になりたかった職業はイラストレーター。自分の意志で入ってきた人もそうでない人もいるジャニーズの中でも、特に大野は「なんでこんなところに……」の感覚を強くもっていた人です。

しかし、ジャニーズアイドルとしての成功は言わずもがな、自分のやりたいことを実現してきた人でもあります。

自分のやりたいことと、別の仕事についてしまった時どうするのか?

流されるまま仕事についてしまった場合、そのまま流されるべきなのか?

流されがちだった状態から、与えられた仕事と自分のやりたいことの両方で成果を出した大野の人生にヒントを見出します。まずは簡単にその人生を振り返ってみましょう。

■高校は入学3日で中退

1994年、中学校2年生の時に、母親がジャニーズ事務所に履歴書を送り、いやいやジャニーズ入り。しかし、それから5年間は「踊りを極める」という目標を自ら設定し(※1)、努力を重ねます。

高校は入学3日目に校門の前で引き返すという形でやめています(※2)。そのことをジャニー喜多川に告げたところ、「じゃあ、京都行く? 京都の舞台だったらメインで踊れるよ(※1)」と誘われ、京都行きを決意。『KYO TO KYO』という舞台に出演します(※1)

この舞台は、約半年の公演期間中、京都で暮らさなければいけないのはもちろんのこと、1日5回公演というハードスケジュール。1000人入る劇場で、お客さんが50人しかいないようなこともあったといいます。つらすぎて、フライングで吊るされながら泣いていた日もあったという大野(※2)

それでも「生まれて初めて無我夢中になれた(※1)」というほど踊りには熱中でき、2年連続で京都での舞台を終えます。その後、少年隊の舞台に出演した後、事務所を辞めようと、ジャニーさんに直訴します。ですが、ジャニーさんに「レコーディングを手伝ってくれ」と呼ばれ、楽譜を見たら“嵐”“大野ソロ”と書かれていた……。というのが嵐のメンバーになるまでの流れです(※1)

■嵐に就職するまで、人生流されてきた

そんな大野も、デビューをすれば、さすがに腹をくくるかと思いきや……。

「最初の何カ月かはどうやったら逃げられるんだろうってことばかり考えていた。どうやったら抜けられるかなって(笑)(※1)

生放送に遅刻して怒られた時に初めて、「『ああ、もうJr.の頃のようにはいかないんだ。就職しちゃったんだ』って気持ち(※1)」になって、「ちゃんとやらなきゃ(※1)」と感じたのだといいます。

ところどころできちんと努力はしているものの、大野にとって“嵐という就職先”が訪れるまでは、割と流されてきた人生だったのです。ジュニアに応募したのは母親ですし、嵐に選んだのもジャニー喜多川です。

この“就職するまでは、人生流されてきた”という感覚は、多くの人に当てはまるものかもしれません。自分が本来やりたかったことを実現できる職業に、最初から就ける人など、本当にひと握り。それは動かしようのない事実で、大野もそのひとりだったのです。

■寝ずにフィギュア制作

しかし本当に怖いのは、そのまま流されていくうちに、本来やりたかったことを忘れてしまうこと。学生時代にはきちんと描けていた夢を、仕事をはじめて数年経ったらすっかり意識しなくなっていた、なんてことはありがちです。

その点、大野は、自分のやりたかったことを忘れませんでした。

嵐としてデビューし、活動していくという大きな流れには逆らわない一方で、流されていない時間の使い方もしていたのです。忙しい日々をおくる中、プライベートの時間に絵を書いたり、フィギュアを作ったりという創作活動を続けていきました。もちろん、嵐の仕事もきちんとやりながら。特に誰かに公開する予定もなく、勝手に、です。

嵐としてデビューする前、京都の舞台の楽屋でも絵を描き続け、デビューをして数年を経た後、2006年の年明けからはフィギュア制作もはじめます。舞台期間中も、休演日はもちろん、大阪公演のホテルの中でも、1日2回公演のあとでも作っていたというのですから、その熱意とかけた時間はかなりのもの。

ちなみに大野は映画が苦手らしく、撮影中は「1日1回は自分のやりたいことやらないと(笑)。撮影が夜中に終わろうが、そこから朝まで作って、そのまま寝ないで現場行ったほうがスッキリする。作らないとダメだったんだよなぁ(※3)」と語っています。

■人間って、やればできる

仕事のリフレッシュとしてはハードすぎる作業時間。大野は、嵐としての仕事が忙しくても、創作活動をやめなかったのです。しかも、誰かに強要された締め切りがあるわけでもない状況で、大野は「2006年9月までにフィギュア100個を作る」と自ら期日を決めて創作をしています。できなかったら、「お酒を断つ」「まゆ毛を剃る」と自分で自分に罰ゲームを設定し、友だちにも宣言。というと冗談めいて聞こえてしまいますが、「その日までに出来なかったら、やっぱ自分に嘘つくことになる(※3)」という発言からは、ストイックさがうかがえます。

誰かに設定されなくても、しかも仕事ではないにもかかわらず、自分で期日を決めるのは、舞台の影響が大きいようです。その理由をこう語ります。

「舞台は稽古期間が短くても、本番は決まってて、お客さんが入る……これはもう確実にあって、逃げ出すことは出来ないでしょ? 『ホントに出来るのかよ』って思うんだけど(笑)。でも初日は確実にやってくるし、出来ないと思ってても、結局本番では出来てる。そういう経験を今までしてきたから。『あぁ……人間って、やれば出来るじゃん!』って(笑)。だから、絵を描いてるのは趣味だけど、期日を決めたらいいんだって(※3)

仕事で、きちんと何かを達成したという成功体験が、趣味のアートをする時にも活かされて「出来るはず」と思わせる効果を生むのでしょう。

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