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- 2019年09月18日 13:54
「市販薬の乱用・依存」と「便利でお得な自己責任」
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市販薬(OTC医薬品)の乱用・依存に関する報道を時おり目にします。『覚せい剤や麻薬といった薬物と違って警察に検挙される心配がない。違法な薬物ほどの多幸感を得ることはできないだろうが、いくらかトリップできたり、快感を得ることができるらしい…』こういった認識から、「手軽な合法(脱法?)ドラッグ」として乱用する人もいれば、『頭痛や風邪っぽさの緩和のため市販薬を服用しているうち、頻繁に使用するようになった。何年も(あるいはそれ以上の期間)そういった状況が続いていたが、医師(薬剤師)から「その薬には依存性のある成分が含まれていますよ」と聞き、驚いた』という人もおられます。運悪く、そうした医薬品による副作用被害に遭ってしまう、過剰な服用をやめた後も腎機能低下などが回復しないケースもあります。こうした問題は、私が薬剤師になった20数年前には、すでに指摘されていました。要因となり得る医薬品成分も、その当時とあまり変わりません。古くて新しい問題だと感じています。実際のところ、私が担当している患者さん・私の薬局で市販薬を購入される方の中には、そういった方はおられません。理由は、〇「売れ筋かどうか」ではなく、「スタンダードな医療水準に適うかどうか」を重視して市販薬のラインナップを選定しているため、そもそも依存・乱用の恐れがあるものが少ない〇やむを得ず、依存の恐れがある成分が配合される市販薬を販売した場合でも、その後は継続して販売せず他の医薬品を使用するよう勧めるといったシンプルなものです。しかし、何より大きな理由は◎安くて品揃えが豊富なドラッグストア・スーパーが地域に多く存在し、私の薬局で市販薬を購入する方は「かかりつけ」の患者さんに限られるからでしょう。私の薬局では、多くの方がすでに顔見知りの関係であり、病状や意向などを伺いつつ、どういった薬をどのように使用するかを一緒に決めていきます。現代の日本の医薬品業界を考えると、非常に「牧歌的な風景」だと感じます。