- 2019年09月16日 09:40
リーグV目前の巨人を悩ます「菅野の現状と今後」 - 新田日明 (スポーツライター)
1/2巨人が5年ぶりのリーグVへ着々と歩を進めている。15日は本拠地・東京ドームで阪神タイガースを相手にアレックス・ゲレーロ外野手の2ランが終盤に爆発し、鮮やかな逆転勝ち。リーグ優勝へのマジックナンバーを「5」に減らし、歓喜の美酒に浸る日が刻一刻と近づきつつある。16日から残り10試合。ラストスパートをかけて、とにかく早くVを決めたいところだろう。

(YU22/gettyimages)
だが、その一方でチームにとって非常に気がかりな難題が生じている。エースの菅野智之投手が〝ダッチロール〟を繰り返していることだ。この日の阪神戦で先発マウンドに立ったものの、4回6安打4失点で途中降板。腰痛による登録抹消からの復帰登板だったが、試合を作れず自ら交代を願い出たという。
責任感の強い菅野が珍しく首脳陣に交代を直訴したというのだから、コンディションに異常が生じていることは明らかだ。16日中に再び登録抹消となる可能性もあり、コンディションが万全な状態にならなければ今季公式戦での一軍登板は回避することになるかもしれない。
ルーキーイヤー以来となる防御率3点台
今季の菅野は誰が見ても本調子とは程遠い。腰痛による戦線離脱も、ここまで2度繰り返している。11勝を飾っているとはいえ、22試合に登板して防御率3・89の成績は「無双投手」と呼ばれる菅野にしてみれば明らかに物足りない。
このままならばルーキーイヤーの2013年以来となる防御率3点台は確実で同年の3・12よりも上回り、自己ワーストとなりそうな気配である。昨季、史上5人目となる2年連続の沢村賞受賞を果たしたのが、まるで蜃気楼のようだ。
無意識のうちに腰をかばっているせいなのだろうか。多くの有識者が指摘する通り、今季の菅野は上体だけで投げているシーンが時折見受けられる。ボールに球威がなく、いわゆる〝置きに行く投球〟で痛打されることも珍しくない。コンディションを完全回復させないまま騙しだましでマウンドに立っているような印象も受ける。
残りのレギュラーシーズン登板は回避させるべきか?
現在のコンディションのことを考えれば即座に登録抹消し、回復に努めることが先決であろう。しかしながらチーム側はこの菅野の起用に関して、とても難しい判断を強いられている。
マジックを5とし、2位・横浜DeNAベイスターズには4・5ゲーム差をつけている。DeNAとの直接対決を3試合残しているとはいえ、残り試合数も2つ多い巨人の圧倒的優位は揺るがない。だからこそ菅野はここで登録抹消し、残りのレギュラーシーズン登板は回避させてCS(クライマックスシリーズ)に備えさせるべき――。これが巷から数多く聞こえてくる〝正論〟だ。
だが、チームスタッフの1人はこう漏らし、現場の混乱ぶりを象徴させている。
「登録抹消してからプレッシャーがかかるCSの大勝負でいきなり復帰登板させるのはいかがなものか。いくら経験豊富な菅野とはいえ、それはバクチ的要素が強いと言わざるを得ない。何より本音を言えば、今の菅野はマウンドに立ってみないと分からない状態。それならば、リーグ優勝を決めた後の公式戦で投げて〝良い感触〟をつかんでから、短期決戦となるCSでの先発マウンドに臨んだほうがいいような気もする。ただ、これももちろん本人のコンディションが悪いままなら難しい話ではあるし、何よりもチームのリーグ優勝が公式戦終了のギリギリまでもつれて消化試合の数が減れば元も子もないが…」
今のチームは先発陣が決して盤石ではなく、苦しい状況だ。こうした台所事情を考えれば、巨人側が「たとえ本調子でなく騙しだましであっても、菅野がメンバーに入っているだけで相手に嫌なイメージを与えられる」と判断したくなってしまうのも無理はない。
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