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働き方と年金:「敬老の日」に考える

9月16日は敬老の日だが、長生きできる世の中になったことを嬉しく思う。65歳以上は3588万人で、全人口の28.4%。高齢化率は世界一である。70歳以上は2715万人である。

就業者数に占める高齢者(65歳以上)比率は12.9%となっている。

 働けるまで働き、所得税を払い、社会を支える側でいられることを可能にする。そして、病気などでそれが叶わない高齢者には社会保障の命綱を提供する。そういう社会を築きたいと思う。

 今や「人生100年」時代であり、半世紀で平均寿命が倍になるという変化が生じたのである。

 しかしながら、この急速な変化に様々な制度が追いついていない。50年前には、60歳で定年退職すると、10年以内に死亡するのが平均像であった。ところが、今や20年以上も長生きする。年金財政にしわ寄せが来るのは当然で、賦課方式なので若い世代の負担が重くなる。とくに、少子化が進行すると、その傾向が顕著になる。

 長寿化は急速に進んだが、問題は健康で長生きできるかどうかということである。死去する前の約10年は、治療や介護が必要な身となるということであり、当然のことながら医療費・介護費もかさむ。2040年には社会保障費が190兆円に膨張すると予測されている。健康寿命を伸ばすためには、規則的な食事、適度の運動、趣味や仕事が大事で、生活習慣病の予防に心がけるべきである。

 このように、「人生100年時代」には、年金、医療、介護など、「人生50年時代」を前提に作られた制度では対応できなくなっており、社会保障制度全体の再構築が必要だ。問題の第一は働き方であり、第二は年金制度である。

 農林水産業を含む自営業者は、今でも健康である限り死ぬまで働き続けるのが普通である。会社などに雇用されていても、72~75歳まで健康であるのなら、せめて70歳までは働きたいと思うのは当然だし、それを可能にする仕組みが必要である。

 定年退職後働いて一定以上の収入があると、年金が減額される(在職老齢年金)が、これが高齢者の働くインセンティヴを殺いでいるとされ、最近では見直しの議論も出始めている。

 年金受給開始年齢については、今は、原則65歳であり、60歳から70歳の間で選択可能である。開始年齢については、財政制度等審議会で68歳に引き上げることが検討されている。

 これまで4人の現役で1人の高齢者を支えてきたが、やがては2人で1人を支えなければならないようになる。年金制度は、積み立て方式ではなく、賦課方式で運用されてきたが、両方式とも利点と問題点があり、現行方式を変更せねばならない格段の理由はない。少子化に歯止めをかければ解決する問題だからである。

 1960年代の高度経済成長は過去のものであり、今日では20年以上のデフレが続いており、日本は、低経済成長下で高度福祉社会を構築するという難しい課題に直面している。「敬老の日」こそ、そういう問題について皆で議論したいものである。

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