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人口減少時代の田舎散歩

学会の講演のために佐賀に行ってきました。新幹線で上鳥栖駅へ、そこで乗り換えて佐賀駅に。緑が多くて落ち着いた雰囲気で、久しぶりの佐賀でしたがとてもよいところですね。

せっかく西に来たので、その足で岡山経由で島根県の宍道へ。実家で一泊して、早朝にあたりを散歩しました。

なんだかんだ、日本は緑の多い国ですね。佐賀も島根もとても自然が美しい。

ぼくは神戸市に住んでいます。神戸といえば都会のイメージで、それはまあそのとおりなのですが、以前住んでいたニューヨーク市などとは異なり、神戸は都市と自然の距離が非情に短いのです。ちょっと移動すると山の中(笑)。うちの家にもタヌキはでるわ、イノシシはでるわ、季節の野鳥もやってきて、なかなかに楽しい環境なのです。ちょっと油断するとすぐにスズメバチが巣を作るのが、玉に瑕ですが。都会なのに自然が豊かなのが神戸の良いところだと思います。

ぼくが子供のとき、、、、1980年代、、、は、日本は狭いのに人口が増え過ぎだ。人口密度が高い。自然破壊が進みすぎ。空気は汚く、水も汚い。山も海もどんどん破壊されていく、というある種の悲観論が日本に蔓延していたのを覚えています。

ところが、現在は人口が減っているとみんなが文句を言っている。あのときの「人が多すぎる」は一体どこへ行ったのか。

そういえば、先日オオサンショウウオを見たのです。京都の奥さんの実家にいたとき、散歩していたら川を泳いでいた(笑)。ぼくはオオサンショウウオとかは水族館にいるもので、「天然の天然記念物」にお目にかかるとは思っていなかったので、大いに驚いたのでした。

ゆっくりとではあるが、日本の自然は少しずつ戻ってきているのではないか。空き地や空き家がだんだん増えつつある昨今、そのように感じるのでした。オリンピック騒ぎで批判されている「汚い」東京湾も、ぼくが子供のと気に比べればずっと綺麗になったと思いますよ。昔は東京は本当に汚くて、行くと空気の汚さで目が痛くなりましたから。ちょうど、今の北京みたいに。覚えてますか。

人口が減り、日本の風景が蘇り、自然が回復する。これは、必ずしも悪いことではないんじゃないか。

ときに、以前住んでいた千葉県鴨川市は台風の被害で今も大変なようです。

ぼくが子供のときは停電とかよく起きていましたが、21世紀の日本で停電が問題になるなんて想像もしていませんでした。カンボジアとかに行くとしょっちゅう停電していましたし、シエラレオネとかではそもそも電線がなくて、各所で自家発電でした。日本はどこに行ってもちゃんと電気が通っているわけで、世界的に見れば非常にリッチな国なのです。

それでも、巨大な台風がやってくれば、電柱は倒れ、大規模な停電は発生する。復旧にも思いの外時間がかかる。どんなものでも所与のものと考えてはいけないのだな、と痛感しました。

そういえば、電柱も「景観を壊す」と散々批判されているわけですが、いざ倒れてみると、その偉大さを感じざるをえないのでした。電気がなければ、現代の日本人はとうてい生きていけないのです。

まだ日本はそれなりにリッチなので、壊れたインフラは直せばいいのです。しかし、これから人口がどんどん減っていったときに、電柱や電線や上下水道といったインフラを「広い」日本中に張り巡らし、それをメンテナンスしていくコストは相対的にどんどん上がっていきます。人口が減れば、人口一人あたりのインフラコストが上がるのは当たり前ですから。

医療についても同様です。日本専門医寄稿は専門医養成制度と地域医療の維持をくっつけるという愚行をやらかしています。もちろん、それはそれとして地域医療の維持は大事なのですが、今後人口が減っていったときに「今と同じように」地域医療をメンテするのはコストがかかりすぎます。よって、集約化や効率化が必須となります。

それは一種の撤退戦で、人口が減り、地方が縮小したり消滅する中で、いかに電気、水道、医療といったものを上手に撤退させていくかは今後大きなテーマになっていくでしょう。なにしろ、将来日本がリッチな国のままでいられる可能性は高くないのですから。そして、国民は「国の借金を増やすな」「消費税も上げるな」「医療・福祉や災害対策はちゃんとやれ」と無理ゲーを要望しているのですから。

いずれにしても、人口が減って日本の美しい自然が蘇るのは必ずしも悪い話ではありません。なんでも人間目線だけでことを論じるのはときにはよくないのです。そういう肯定的な側面も見ながら、かといって「電力なんて要らない」なんて非現実的な自然に還ろうなファンタジーにも逃げずに、リアルでハードな撤退戦をどのように展開していったらいいか。美しい宍道の小道を散歩しながらちょこっと考えたことでした。

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