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頭皮ごと残された髪の毛、人型の染み……“事故物件住みます芸人”が見た「孤独死部屋」のリアル 福島県いわき市「生と死の祭典」で松原タニシは何を語ったか? - 松原 タニシ

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「今週末、福島県のいわき市で行われる『生と死の祭典』に出演するんです」。8月の終わり、“事故物件住みます芸人”の松原タニシ氏からそんな話を聞いた。イベントの正式名称は「igoku fes(いごくフェス)2019」。半信半疑でホームページを覗いてみると、たしかに「今年もやります、生と死の祭典!」とのキャッチコピーが。しかも主催は「いわき市地域包括ケア推進課」とある。いわき市主催の「生と死の祭典」とは、一体どんなイベントなのか……。全容がつかめないまま、フェス2日目にいわき市を訪れると、そこには老若男女500人ほどが詰めかけた満員の会場で、怪談を披露する松原氏がいた。

【写真】事故物件の写真を全て見る(全10枚)

取材・構成=文春オンライン編集部

◆◆◆

 こんにちは。事故物件住みます芸人の松原タニシです。僕は2012年から7年間で7軒の事故物件に住んできました。だいたい1年に1回引っ越しするんですね。事故物件っていうのは人が亡くなった物件のことで、孤独死、病死、殺人、自殺……こうしたことが起きると、その部屋や家は事故物件と呼ばれます。


松原タニシ氏 ©文藝春秋

 僕が最初に住んだのは大阪の事故物件で、家賃4万5000円の10畳ワンルームでした。そこで生活しながらずっとカメラを回して、幽霊が映ったらギャラがもらえるという仕事です。僕はもともと霊感がまったくなくて、幽霊は怖い、お化け屋敷も行けない、そんな人間でした。ただ、10年間芸人として全く売れなくて。M-1グランプリとかR-1グランプリに出ても、全然ファイナルステージに残れなくて、どうしようかなと思っていたときに、この事故物件の仕事が舞い込んだんです。

「お前、カラオケボックスにおるやろ?」

 で、この部屋で一人暮らしを始めたわけなんですけど、初日の晩、早速不思議なことが起きました。知り合いから電話がかかってきて、いつも通り出ると、「お前、カラオケボックスにおるやろ?」って言われたんです。「いや、一人で部屋におるよ」って答えたんですけど、「そんなはずない、電話の向こうから女の子の歌声がいっぱい聞こえる」と。

 実は、ここはもともと女の人の幽霊がいっぱい目撃されていて、更には忌まわしい殺人事件も起きたというマンションでした。この部屋自体は直接事件が起きた現場ではなかったんですが、お化けが出すぎたり、事件が起きすぎたりして、建物全体が事故物件扱いされている、そんなマンションだったんです。

 電話の相手から「女の歌声がする」と言われて、なんだか気持ち悪いなと思って住み始めた1週間後、僕はマンションの入口で車に轢かれました。柔道部だったんで、咄嗟に受け身をとって無事でしたが、後でゾッとすることがわかります。この事故物件に住むときに、後輩芸人2人に引っ越しを手伝ってもらったんですが、彼らもまた、ほぼ同時期に別々の場所で交通事故に遭っていたんです。

2軒目は息子が母親を殺した部屋

 この次、2軒目に住んだのがUR住宅、いわゆる団地の事故物件でした。これも大阪の方なんですけど、このときは入居同意書というのを書かなきゃいけませんでした。「私は、上記住宅が特別募集住宅(殺人)であることを承知し、以下の入居予定者全員の同意を得られたことを認めます」と。

 ここに僕の本名と、もうひとり、一緒に住むことになった後輩芸人の名前を書いて提出しました。2DKで家賃2万6000円、息子が母親をボコボコに殴って、最後は風呂に沈めて殺した部屋でした。

 実際に住んでみると、部屋の畳が一枚だけ、なんだかおかしいんです。なんか微妙に浮いているし、そこだけ新しくて、なんなんだろうと。思い切って畳を引っ剥がしてみると、その下には黒くて丸い染みのようなものがいくつもありました。なんだかわかりますか。血の跡。血痕です。おそらく、息子が母親を殴った、その現場で流れた血の跡が、畳の下に残っていたんです。他にも、風呂場の鏡がペンキで塗りつぶされたりしていて、本当に変な部屋でした。

玄関のドアノブで女性が首つり自殺……

 そして3軒目に住んだのが、ロフト付きの6畳1K。家賃3万5000円の部屋でした。ここは何が起きた部屋なのか不動産屋が事前にちゃんと教えてくれまして、「玄関で首吊り自殺、30代~40代の女性、恋人と喧嘩して突発的に、遺書有り、ドアノブで座るように自殺」ということでした。

 ある日、この部屋で後輩芸人が一晩、ロフトに泊まっていったんです。すると、彼が「この部屋は玄関じゃなくて、ロフトの方がおかしいんじゃないですか」と言い出しました。ロフトの柵が凹んでいたり、留め金で補強した跡がある。これって一回柵が折れてるんじゃないですか、と。

 そう言われて、僕も確かに怪しいなと思って、インターネットで事故物件を検索できる「大島てる」というサイトで調べ直してみたんです。すると、「3年から5年前、7階ロフト部分で首吊り自殺」と出てきました。

 つまりこれ、どういうことかと言うと、3年から5年前、ロフトで首を吊って誰かが亡くなった事故物件に、次に住んだ女性もまた、ドアノブで首を吊って亡くなった、ということなんですね。この部屋では、続けて2人も亡くなっているんです。そこに3人目の住民としてやってきたのが、僕だったというわけです。結局、ロフトに泊まった後輩はその後1ヶ月間、ひどい頭痛に悩まされまして、頭痛薬がないとまともに生活できない身体になってしまいました。

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