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おぎやはぎ「ブスのヌード企画」を炎上させるメンタルブス

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藤本貴之[東洋大学 教授・博士(学術)/メディア学者]

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ネット放送「AbemaTV」で9月9日に配信された『おぎやはぎの「ブス」テレビ』での企画「ブスリサーチ! ブスはいくらで脱いじゃうのか?」が批判され、炎上しているという。番組内容はタイトルそのままで、「ブス(という設定の出演者)に雑誌のヌード撮影をオファーしたらいくらで脱ぐのか」を調査するというドッキリも交えた検証企画である。


番組はスタジオに10名ほどの「ブス」として設定された素人(あるいは素人に限りなく近い芸能人)がひな壇に並び、ゲストのタレント(美人)たちを交えてトークする、というものだ。

9日の配信では、ゲストの元AKB48小林香菜が「10回以上整形している」「整形に120万円かけた」等と隠すことなく語り、整形前の写真を紹介しつつ、あっけらかんとトークする構成になっており、「ブス」「整形」などが暗い話題、恥ずかしい話題にはなっていない。もちろん「特定の対象」をバカにしたり、貶めることで笑いを取るような番組づくりにもなってはいない。タイトリングに過激さは感じるが、ネットコンテンツならでは「釣りタイトル」の範囲には収まっている。

実際に番組を見ればわかることだが、ひな壇の「ブス設定」の出演者自体、必ずしも「ブス」と言い切れるような人は出ていないように感じる。テレビの出演者として「本人の同意がったとしても笑いに変えられないようなブス」はいないと思う。感性もよるとは思うが、個人的には美人とは言えないものの愛嬌のある、キャラクターの立っているユニークな人たちを「ブス」という設定で登場させている、という印象だ。ブス/ブサイクキャラで人気のあるタレントやお笑い芸人は多いが、そういった流れと同様だ。

今日のメディアでは、「ブス」などの外見に優劣をつけた話題をエンターテインメントとして利用することはタブーになっているものの、一方で芸能界では外見的なインパクトが個性として「大きな武器」になるケースも多い。だからこそ、番組に「美人ゲスト」として登場した小林香菜が自身の整形について惜しげもなく語るのだ。整形を笑いと話題にすることも、彼女のブランディングやキャラ作りの一つになっているはずだ。

テレビ業界のコンプライアンス意識の高まりによって、テレビ番組が健全化していった一方で、それを事前に回避しようとする自主規制が、今日のテレビ番組づくり全体を「つまらなくする」という逆説的な状態を生み出している。「過激なコンテンツ=面白いコンテンツ」「挑戦的な企画=魅力的な企画」はことごとく低クオリティなネット動画に奪われてしまっている。しかし、これはインターネットの成長によるメディアの多様化であり、テレビによる独裁状態だったメディアが、その役割を多様化させていると考えれば、視聴者にしてみれば選択肢の拡大であり、かならずしも悪いことや残念なことではない。

【参考】<パクリ企業の謎>世界一有名な無名デザイナー三宅順也って誰?

そもそもネットメディアの番組は、テレビをつければ自動的に映し出されるといったものではない。見ている人は、自分の意志でURLを入力したり番組名を検索し、自分の意志で再生ボタンを押し、視聴している。「見たくないのに目に入る」ということはあり得ない。

そして、視聴者もそういったテレビとネットのあり方と現状を理解した上で、メディアを使い分けている。もちろん、本当に人を侮辱したような内容や明らかな差別的なコンテンツ、あるいは度を過ぎた過激化や犯罪性を帯びるようなものであればネットコンテンツとしても規制されるべきであろうが、今回の番組の内容自体がそれに当てはまるとは思えない。作る方も見る方も、今回の企画が「ネットコンテンツである」ということを相互理解できているはずだ。

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