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はたして現状の原発処理水は希釈して放出可能なのか検証

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原田環境相が原発処理水「海洋放出しかない」と発言して波紋を呼んでいます。

日経新聞記事から。

原田環境相、原発処理水「海洋放出しかない」
政治 環境エネ・素材 社会
2019/9/10 15:19

原田義昭環境相は10日の記者会見で、東京電力福島第1原子力発電所の放射性物質トリチウムを含んだ処理水について「所管を外れるが、思い切って放出して希釈するしか方法がないと思っている」と述べた。汚染水処理後に残る処理水について政府は処分方針を正式に決めておらず、現職の閣僚の発言は異例で、波紋を広げる可能性がある。

11日の内閣改造を前に、就任後の所感の中で述べた。福島第1原発を視察した際に、貯蔵タンクに余裕がない状況を見たことなどを根拠とした。原田環境相は「極めて重要な話であり、しっかり説明し対策を取らなければならない」とも述べた。

福島第1原発の処理水の保管用タンクは既に900基を超え、2022年夏ごろに満杯になる見通し。薄めて海に放出することが、最も現実的な手段とみられているが、風評被害を懸念する漁業関係者らの反発は根強い。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO49622460Q9A910C1CR8000/

放射性物質トリチウムを含んだ処理水について「所管を外れるが、思い切って放出して希釈するしか方法がないと思っている」、この原田義昭環境相の発言はまったく科学的に正しいと考えます。

放射性物質トリチウムを含んだ処理水の海洋放出は、カナダや韓国など世界の原発で今も行われており、まったくそこに環境に対する悪影響は発生していません。

ただしです。

東電のタンクに溜まった処理水は、残念ながらトリチウムを希釈すれば放出可能な綺麗なタンクだけではないことは留意が必要です。

本日は、はたして現状の原発処理水は希釈して放出可能なのか、この本質的問題を科学的に検証しておきます。

・・・

東京電力の公式ページに『多核種除去設備 (ALPS)』の図解入りの説明があります。

多核種除去設備 (ALPS)


http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/f1/genkyo/fp_cc/fp_alps/index.html

説明文より。

既に設置している水処理設備では、放射性物質のセシウム(※1)を主に除去しているが、セシウム以外の除去が困難であった。多核種除去設備(ALPS)ではセシウムを含む62種の放射性物質(トリチウム(※2)を除く)の除去が可能となっている。2013年6月現在、本格稼働を目指して試験(※3)を行っている。

 ※1.セシウム・・・アルカリ金属の一種。放射性セシウムは事故後、放射線ヨウ素とともに主に検出されている放射性物質のひとつで、ガンマ線を放出する。

 ※2.トリチウム・・・ベータ線を放出する放射性物質。主に水の形態で存在することから、ろ過などでは除去することができない。

 ※3.A系は2013年3月30日より開始(6月16日に停止)、B系は2013年6月13日より開始、C系は2013年9月27日より開始。

ここでポイントになるのは、汚染水処理の切り札ともいえるセシウムを含む62種の放射性物質(トリチウム(※2)を除く)の除去が可能なこの『多核種除去設備 (ALPS)』が、事故から2年3ヶ月たった「2013年6月現在、本格稼働を目指して試験(※3)を行っている」つまり正式稼動をしていなかったことです。

当時の当ブログは、多核種除去設備(ALPS)が廃棄物保管容器の強度不足で稼動に至っていないことを指摘しています。

 一方、62の放射性物質を除去する多核種除去設備(ALPS)は、1日約500トンの処理能力があり、汚染水浄化の切り札と言われていますが、12年秋に稼働を始める予定だったが、廃棄物保管容器の強度不足が判明し、今も稼働に至っていません。

2013-03-12
もっと注目されるべき福島第一原発の高濃度汚染水〜捨て場のない放射能汚染物質に対し備えがない日本 より
https://kibashiri.hatenablog.com/entry/20130312/1363079403

まずこの事故後、多核種除去設備(ALPS)が正式稼動するまでの2年数ヶ月の間に汚染水を貯めたタンクは、現在に至っても高濃度の放射性物質が含まれていることを東京電力は認めています(東電の公式サイトの説明は後述)。

次に多核種除去設備(ALPS)が正式稼動しても高濃度の放射性物質がうまく処理されず含まれているケースがあることも判明しています。

図解を見て右側の吸着塔で吸着剤カートリッジに多核種を吸着させそれを除去しているのですが、運用に慣れていない東京電力による吸着材の交換が遅れたために、高濃度の放射性物質が残ってしまったのです。

これですがかなりの期間で交換遅れが周期的に発生していたことを東京電力は認めています。

もちろん現在、多核種除去設備(ALPS)は正常に稼動しています、したがってトリチウム以外の核種はほぼ除去されています。

だが上記事由(ALPSの稼動不具合)により、かなりの割合で処理水タンクにトリチウム以外の核種を含んだ高濃度の放射性物質の汚染水が含まれているのです。

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