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「対韓強硬論」支持7割で思い起こされる、東條英機への「国民からの手紙」

日韓問題が、いっそう混迷を深めている。そんななか、『週刊ポスト』の記事が大問題になった。タイトルは、「韓国なんて要らない」だ。

『朝日新聞』をはじめ、さまざまなメディアが、この特集記事に対して批判を掲載。作家たちからの抗議も相次いだ。寄稿をやめるという作家も現れた。

もちろん僕も、このタイトルはとんでもないし、批判や抗議も当然のことと思う。だが、問題の『週刊ポスト』の広告が載った9月2日朝には、それ以上に僕が衝撃を受けた記事があった。『日経新聞』朝刊だ。

そこには世論調査の結果として、「対韓政策支持7割に」「日本の譲歩不要67%」という見出しが踊っていたのだ。さらに内閣支持率も6ポイント上昇、「輸出管理強化」賛成も9ポイント増、とある。

僕は目を疑った。メディアは『週刊ポスト』を批判する。だが、一方の国民は、実に7割が現在の対韓政策を、「支持」しているというのだ。その批判が、むなしく感じられてしまうほどだ。

かつて見た、ある情景を僕は思い出した。東條英機さんの自宅を訪ね、遺族を取材したときのことだ。東條さんの姪御さんが押し入れから、「これを見てください」と、柳行李いっぱいの手紙を出してきたのだ。それは、おびただしい数の国民からの手紙だった。それらはすべて、「東條の腰抜け」「早く米英をやっつけろ」などといった、戦争に慎重姿勢をとる、東條さんへの批判だった。

だから、対米戦争を開戦したとき、国民は熱狂したのだ。敗戦後、東條さんは「戦犯」として処刑された。だが、あの戦争を、ほとんどの国民は支持していた。いや、むしろ、ためらう東條さんを、国民の多くは煽ったのだ。そのとき、改めて人間の感情というものの、底知れない恐ろしさを僕は感じた。

今回の『日経新聞』の世論調査を見たとき、あの柳行李にしまわれていた大量の手紙が、僕の脳裏によみがえったのだ。いま、日本の「空気」は、あの当時を思い起こさせる。戦争を知る者として、何度でもいう。いまの日本は、非常に危ない。二度と戦争をしてはいけないのだ。

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