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なぜ景気の回復が遅いのか?

ヨーロッパではソブリン危機が進行中だ。アメリカでも景気回復の足取りは非常に遅い。よく言われるのは世界中の先進国が低成長に陥る日本化が始まっているという意見である。

まあ、その是非はおいておいて、アメリカではもっと金融緩和が必要だという議論。規制緩和や減税によって経済のサプライサイドを刺激すべきだという議論。もっと財政出動を行って経済を下支えして浮揚させなければいけないという議論など様々な議論が行われている。

国家は破綻する――金融危機の800年 画像を見るの著者であるロゴフとラインハートは金融危機後の経済の停滞は通常の不況期よりも長引くとの議論を展開している。一方でこのような見方もある。シカゴ大学のコクランのブログから。
Slow recoveries after financial crises?

A logical possibility of course is that drawn-out recessions following financial crises (whether the average or just isolated incidents) reflect particularly ham-handed policies followed by governments after financial crises. Financial crises are followed by bailouts, propping up zombie banks, stimulus, heavy regulation, generous unemployment and disability benefits, mortgage interventions, debt crises and high distortionary taxation (European "Austerity" consists largely of taxes that say "don't start a business here") and so on. These policies do have their critics as well as their fans. It is certainly possible that these, rather than "financial crisis" are the cause of slow recovery, and thus that slow recovery is a self-inflicted wound rather than an inevitable fate.

金融危機の後に続く政府による政策が金融危機を長引かせたと考えることも論理的に可 能である。金融危機後には政府はゾンビ銀行を救済し景気刺激のための財政支出を行い、規制を強化する。失業者により手厚い手当てを与え住宅金融に介入しよ り高いゆがんだ税を導入する。これらの政策が金融危機そのものよりもより遅い景気回復につながった可能性はある。

The similar policy mix in the Great Depression is now accused by a strand of scholarship as the prime cause of that depression's extraordinary length, not valiant but sadly insufficient fixes. (For example, see Lee Ohanian ; for some more popular summaries see Jim Powell or Amity Shlaes .)

大恐慌後においてもそのような政策が景気回復を遅らせた第一の原因であるとの研究もある。

Bordo and Haubrich include capsule histories. I don't agree with them entirely, but they're worth reading for one big reason: We recovered quickly from many financial crises in the 19th and early 20th century, when there was no Fed at all, no stimulus spending, no unemployment insurance, none of the usual "fixes" being applied to this crisis. To read most lefty comment these days on the need for "stimulus," you'd predict that one recession in the 1800s would have led to permanent stagnation.

私は完全には同意はしないが、中央銀行もなく財政支出もなく失業保険もなかった19世紀、20世紀初頭の金融危機からの景気回復は現在のものよりもはるかに早かった。現代の左派の主張の視点に立てば1800年代の景気後退は永遠に終わらないとすらいえるだろう。


よく言われるのは大恐慌時の共和党の大統領のフーバーは財政支出に否定的であったということだ。だが、実際にはフーバーはむしろ積極的に市場への関与を行おうとしたとの記録もある。(『アメリカの大恐慌』を讀む(15)過少消費説)

政府による市場へのなりふり構わぬ介入が市場をゆがめ、人間のインセンティブをゆがめることで景気の回復が遅れるというのは理論的には十分にありうる話だ。コクランがブログ内で紹介しているように、アメリカの過去の金融危機後の回復においては通常はより早い景気回復が起こっていたが、例外が大恐慌・1990年代・そして今回だという。いずれも政府の規模が拡大し積極的な市場への介入が主張される時代の話である。

実は今回の景気低迷の長期化は政府による介入が作り出しているのかもしれない。そして、それは1990年代以降迷走を続けながら市場に介入しまくって人間のインセンティブを破壊しまくって日本をダメな国にした日本の政治とそっくりにも映るのである。


wasting time?のブログ↓
ロンドンで怠惰な生活を送りながら日本を思ふ

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