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「多弁マーケ」の副作用

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 また、ZOZOARIGATOは全ブランドが割引になる会員セールがブランド価値の低下につながると、オンワードをはじめとする大手ブランドの離反を引き起こした。

 前澤社長がツイッター休止宣言をした直後、下がり続けていた株価は急騰したが、そこで示されたメッセージは〈チャレンジは続きます。必ず結果を出します〉という、相も変わらず何の具体性もない掛け声だった。これが何らかのアクションを期待していた株主の失望を呼び、再び株価は下げに転じた。当然だろう。反省と対策がそこには微塵もなかったからだ。

 前澤社長には企業が持つべき倫理観と、広告戦略の再考が求められていることは間違いない。

(初出『ZAITEN』2019年4月号)

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 月刊経済情報誌『ZAITEN』での過去の連載を収録し、新たな論考を大幅に加えた書籍『超広告批評 広告がこれからも生き延びるために』池本孝慈著(財界展望新社)が発売になりました(書籍の詳しい紹介はこちら)。
 褒める批評を封印し、あえて問題広告を対象とすることで、現代日本の広告や社会が持つ課題を根源的かつ鋭角的に提起することが出来たと自負しています。

※このエントリは財界展望新社の承諾を得て、発売中の新刊『超広告批評 広告がこれからも生き延びるために』池本孝慈著(財界展望新社)から転載しました。

(9月21日追記)

 その後の会見は前澤氏の独壇場だった。さすが風雲児と思った。社長の退任をこんなエンターテインメントにしてしまえるのは前澤氏だけだ。このエントリーは、スタートトゥデイ、ZOZOへと規模が大きくなるにつれて独自の広告・マーケティングがどのように機能し、その限界が見えてきたのかを考察するもので、見出しにもある〈多弁マーケ〉(ちなみにこの〈多弁マーケ〉という言葉はZAITEN編集部が作った)の副作用、今となってはその限界を示すものだった。会見を生放送で見た印象で、これ以上、このエントリーに関係する発言は見られないだろうという予感は当たっていた。しかし、個人的には非常に興味深いものだった。こう言っても信じてもらえないだろうけど、前澤氏は人間的で好きだ。人間的にどうであろうと、そのことをなるべく考慮せずに批評する。それが僕の広告批評についての矜持でもある。

 時代の記録として、ここにその後の会見を簡単に記しておきたい。huffingtonpostの記事から引用。

涙を浮かべて「21年間、本当に、至らぬ僕についてきてくれて、時には泣き、笑い……」と社員への思いを語る場面も

「ああやばい」と涙で言葉を詰まらせ、「あとで社員に伝えることにします」と苦笑。「21年間本当にありがとうございました」と挨拶を締めくくった

ZOZO社長を退任した理由について「宇宙にどうしても行きたい、ということで、準備や宇宙に行くためトレーニングに時間を割くことが多い関係で、今回、すっきり辞任させていただくことになりました」と明かした

もう一つの活動として、「自宅の6畳一間で事業をはじめ、自分の手で事業を作り上げた感動があって、あの感動をもう一度ということで、もう一度事業を作ってみたい」と新たな事業への意欲を述べた

  前澤氏は〈ヤフー側から続投を求められたが「成長するための経営体制は何かを考えた結果、僕が退く」と退任を決意〉とも語っている。そう自らが納得し決断させた孫正義氏の影響の大きさを再認識させられた。〈Let's Start Today〉という手書き文字にピースシンボルが添えられた孫氏は黒、前澤氏は白の揃いのTシャツを来て肩を組む姿が印象に強く残った。

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