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- 2019年09月13日 09:58
【原発事故と内閣改造】田中大臣で大丈夫?8人目の復興大臣は福島県知事表敬でペーパー棒読み、避難者の住宅問題は小声で「これから…」。小泉環境大臣も歯切れ良いが中身ゼロ
1/2映画では総理大臣が「記憶にございません」と叫ぶが、新しい復興大臣は「知識がございません」だった─。内閣改造で復興大臣に就任した田中和徳氏が12日午後、福島県庁を訪れ、内堀雅雄知事と会談した。
しかし、会見では避難者の住宅問題など具体的な事には一切答えられず、内堀知事との会談でも官僚のペーパーを棒読みする始末。取材者や県職員からは資質を疑問視する声もあがった。小泉進次郎環境大臣も福島県庁を訪れ、ギャラリーが集まるほどだったが、歯切れの良い言葉の割には中身はゼロ。中間貯蔵施設からの放射性廃棄物県外搬出については「約束は守る」とだけ繰り返した。

【〝追い出し訴訟議案〟答えられず】
「そういう事についてはちょっと私も…」10分足らずで終了した田中和徳復興大臣の囲み取材。次の訪問地、宮城県庁に急ぐ大臣に筆者は「福島県が福島県民を訴えるなんて事が良いと思いますか?」と尋ねた。
9月県議会に提出されている〝自主避難者追い出し訴訟議案〟(国家公務人宿舎に入居している避難者5世帯が被告になる)の話だ。田中大臣はまだそこまで官僚からレクチャーを受けていないのだろう。とっさに出たのが冒頭の言葉だった。原発事故被災県が原発事故避難者を相手取って訴訟を起こすという前代未聞の事態に、避難当事者や支援団体は、復興庁が主体的に動いて福島県に訴訟をやめさせるよう求めている。8月29日に政府交渉を行ったばかりだ。しかし、田中大臣は同じような言葉を繰り返すばかりだった。
「いや、これはちょっと私も…」
事務方が「新幹線の時間がありますから」と制する中、筆者は「大臣の所管する話ですよ」、「勉強不足ですよ」と続けた。田中大臣は小さな声で「勉強不足って言われても…」とつぶやきながら会見場を後にした。
会見では、筆者より先に河北新報の記者が、やはり〝追い出し訴訟〟に絡めて「自主避難者の住宅問題について復興庁としてどのように取り組むのか?」と質している。そもそも、その答えが酷かった。
「あのー、お話を聞いておる状況でございますので、まああの今後、いろいろと関係される、担当される役所もありますので話を伺って、私なりに対応して参りたいと思います」
言葉に詰まる田中大臣に官僚が慌てて何を耳打ちした。それでようやく絞り出した答えがそれだった。これでは、家賃2倍請求問題も知らないのだろう。大熊町、双葉町以外の帰還困難区域からの避難者に対する住宅供与が来年3月で打ち切られる事もご存知ないのだろう。はじめから「あなた達は『区域外』だから」と言われて切り捨てられてきた〝自主避難者〟の苦悩や闘いなど知る由も無い。それで、どうやって復興の旗振りをするのか。原発事故被害者の救済にあたるのか。疑問符しか浮かばない。


(下)内堀知事との会談中、必死にメモを取る田中大臣。官僚の作ったペーパーを棒読みする姿に、取材者からため息交じりの苦笑が漏れた=福島県庁
- 鈴木博喜 (「民の声新聞」発行人)
- フリーライター



