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前澤友作社長おつかれさまでした

ZOZO前澤友作社長退任

(株)ZOZOの前澤友作社長が退任を発表した。

(株)ZOZOは衣料品大手インターネット通販サイト「ZOZOTOWN」を運営する有名企業であり、前澤友作社長は創業者である。

現在の衣料品をインターネットで購入するシステムを構築した先駆者としてメディアにもよく取り上げられてきた。

Twitterを活用して現金1億円をお年玉として配るなど、その特殊な広報戦略も注目を集めてきた。

ZOZOとの「月に行くなら賃上げを」

そんな(株)ZOZO、前澤友作社長を僕が知ったのは彼が月旅行を打ち出した時だった。

数百億円の予算をかけて月旅行に行くというニュース報道である。有り余る財に驚いたと同時に、労働者からの搾取が激しかったことも想定できた。

僕は17年ほど生活困窮者支援活動をしている。あまりにも相談に来られる人々が多い。

端的に言えば、現代の生活困窮、貧困は低賃金労働者の多さ、いわゆるワーキングプアが背景にある。

問題は一生懸命働いていても賃金が低くて生活できない層の多さにある。

努力すれば貧困から抜け出せるというのもウソである。

産業構造の問題なので、低賃金を止める圧力がかからなければ、労働者の暮らしは良くならない。

そして、低賃金の労働をその人が辞めても、次の誰かが担わなければ社会や経済は回らない。

誰かが低賃金で仕事を担ってくれているから、利便性の高い生活が可能となってしまっている。

その労働者にきちんとした対価を払うのは当然であり、それが出来ないのであれば、相変わらず日本経済の回復、貧困解消はあり得ないだろう。

子どもの貧困と話題になるのも、働いている親の収入が低く、生活がままならないことを意味している。

社会に子ども食堂や子どもの学習支援が広がる現象は日本の労働問題だという視点が不可欠である。

子どもの貧困を解決したいなら、企業の非正規問題、低賃金問題を解消していかなければならないし、大企業であればあるほど、その責任は大きいと認識している。

だからこそ、過去のYahoo!記事ZOZOTOWNの非正社員比率は67%ー派遣や非正社員に過度に依存する企業体質からの脱却をーをまとめて問題提起を繰り返してきた。

(株)ZOZOに象徴されるように、現代の労働者は約40%が非正規雇用である。彼らの処遇は不安定で十分なものとは到底言えない。

中小企業、零細企業、NPOなどの弱小団体ではなく、一部上場企業でもこのような働き方が蔓延しているのである。

ここに日本の低迷する経済問題がある。余裕のある企業ですら賃金の支払いをしぶるのである。

そのため(株)ZOZO執行役員の田端信太郎氏との象徴的な論争も意図的に巻き起こして社会に働きかけをおこなってきた。

田端氏とは昨年、インターネット番組でも論争をさせていただいた。

番組出演自体が問題提起の場であり、世論喚起の場であった。

正直なところ、内容はどうでもよく、労働問題があることを社会に認知してもらうことが出来るツールとして最善の機会を得させてもらった。

SNSが発達した時代においては、インターネット番組でわざわざ論争する必然性は乏しい。認知を広げ、PRの場になればよいだけである。

一部上場企業の役員がリスクを背負いながら、論争に参加いただいたことには改めて感謝したい。

前澤友作社長の「労働者視点」は引き継がれる大事なもの

これらの運動、論争のなかで、労働組合やユニオンメンバーも後押しをしてくれて、賃上げ機運を高めるような活動に参加してくれた。

労働組合への注目も集まり、各ユニオンには様々な労働相談、賃上げ交渉の依頼などが相次いでいる。

時給を引き上げることはできるし、それによって労働者の生活はよくなるということも社会に訴えさせてもらった。

ときにはネガティブキャンペーンも張らせてもらった。要するに、あらゆる形態で労働組合と連帯し、異議申し立ての声をあげてきた。

社会を変える、生活を向上させるのは実際に働く労働者の声である。

それに対して(株)ZOZOも今年の6月から派遣労働者を含む非正規労働者の賃上げを発表してくれた。

時給1,000円から1,300円への引き上げや賞与の支給などは社会的な注目を集めた。

ZOZO、アルバイト大量採用へ 時給は最大1300円に引き上げ

(株)ZOZOの賃上げ効果は大きく、千葉、茨城、埼玉など近隣の同種産業では、新規採用の際に、時給単価の上昇傾向が見て取れる。

ZOZO賃上げの波及効果は周辺の企業にも影響を与え、全体の賃金を底上げする圧力として作用している。

同じ仕事をするなら少しでも賃金が高い会社へ移動した方がよい、と思うのは当然であり、時給単価を引き上げなければ人材が不足する事態を招いている。周辺企業も(株)ZOZOにならい、賃上げを継続していってほしいと思っている。

このような時給を大幅に引き上げる英断を下した前澤友作社長を評価したいと思うし、後任の社長にも引き続き、待遇改善に寄与してほしい。経営主体がYahoo!に移ろうとも要求は同じだ。

派遣労働者の直接雇用、無期雇用、非正規雇用の正社員化、賃上げなど、できることを積み重ねて、ワーキングプア解消に尽力いただきたい。

前澤友作社長は労働者に向けてTwitterで多くの有意義なメッセージも残している。

そこには日本の経営者に忘れないでもらいたい点がたくさん含まれている。

これは非常に共感するところであり、日本は労働者が軽視されている。

最低賃金も低く、ワーキングプア、子どもの貧困が発生しているいま、経営努力を怠っていると言われても仕方がない状態だ。

働きにくい、処遇が悪い場合に、その改善要求は悪いことではないという点も示唆に富むメッセージだ。

ただし、ひとりで上司や経営者に異議申し立てをすることは現実的に難しい。

だからこそ、労働組合やユニオンが用意されており、そこで団結して仲間と交渉することができる。

これら前澤友作社長が労働者、働く人たちに残していったものの意味を社会全体で共有し、社会をよりよく変えていきたいものだ。

前澤友作社長の労働者への貢献に感謝し、おつかれさまでした、と言いたい。

※Yahoo!ニュースからの転載

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