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断韓炎上「週刊ポスト」にネトウヨ高齢者が群がる

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「嫌韓」よりも「減韓」、「断韓」を−−。9月2日発売の『週刊ポスト』が “炎上” している。10Pにわたる大特集「韓国なんて要らない」に批判が相次ぎ、同誌の連載作家・深沢潮氏(53)が降板を表明する事態に。発売早々、ポスト編集部は謝罪することとなった。

 だが、「今後、(発行元の)小学館の仕事はしない」と、いち早くツイッターで宣言した思想家・内田樹氏(68)の怒りは収まらない。

「この記事によって、何十万人いる在日韓国人たちは、名誉を傷つけられ、恐怖を感じたでしょう。表現の自由を盾に、擁護する向きもありますが、それを許すと、ヘイトスピーチも許してしまうことになる。

 仮に『韓国と国交断絶してもかまわない』という本気の覚悟で記事を作ったなら、それはそれで筋は通っています。しかし、編集部はすぐに謝罪しました。それなら、初めからやるなってことですよ」

 日本による韓国への輸出規制に端を発して、日韓関係は “戦後最悪” になっている。この微妙なタイミングで、なぜあえて挑発するかのような、「断韓」記事を掲載したのか。メディア事情にも詳しい文筆家の古谷経衡氏(36)は、「記事自体はそれほど過激ではなかった」と感想を述べる。

「記事を読みましたが、過激さでいえば、韓国人の精神疾患にふれた記事だけが突出していて、あとはほぼ(右派寄りとされる)、雑誌『WiLL』などに掲載された内容の焼き直しでした。タイトルが刺激的だったのと、メジャーな週刊誌が『断韓』を掲げたことが、衝撃を呼んだのでしょう」

 そして、「ポスト」の内情をこう推察する。

「紙媒体はどこもそうでしょうが、部数の減少を少しでも食い止めようと、読者にウケそうな記事を企画しただけだと思います。

『ポスト』の平均読者層は60歳過ぎということですが、いまはネトウヨ(ネット右翼)も、50代から60代の人が中心になっている。こうした『高齢ネトウヨ』が群がってくるような誌面を作りたかったのだと思います。

 逆に、若者にはネトウヨなどほとんどいません。K-POPや韓国グルメが好きで、『嫌韓』には興味ないでしょう」(古谷氏)

 韓国叩きに血道を上げるネトウヨは高齢者ばかり−−。じつは、この衝撃的な分析は古谷氏だけの見方ではない。

「実際、法廷で出会ったネトウヨの方々のほとんどは、60歳以上でした」

 こう証言するのは、東京弁護士会所属の佐々木亮弁護士(44)。朝鮮学校への補助金支給について、弁護士会が出した声明をめぐり、2017年6月以降、全国の弁護士が大量に懲戒請求される事態となっている。

 ひとりの弁護士に、1000通近い懲戒請求書が送られてくる−−。この異常な事件の被害者の1人が、佐々木弁護士だ。2018年からは、懲戒請求を出した人々に対して、損害賠償を求める訴えを起こし、次々と勝訴判決を得ている。

「会ってみれば、どこにでもいる人たちでした。ただ仕事をやめ、リタイアされた方が多いんです。YouTubeやブログで右翼的な思想に目覚め、彼らが “反日” とみなした弁護士に懲戒請求を出してきた、というのが典型的なパターン。

 元医師や元公務員といった立派な方が、裁判で『金正恩が攻めてくる』などと、真顔で発言するんです」

 朝鮮学校への補助金支給をめぐる、弁護士への懲戒請求問題を取材してきたルポライターの三宅雪子氏(54)も、「高齢ネトウヨ」のごく普通の外見と、主張のギャップに驚く。

「温厚で、礼儀正しい方が多いです。深々とお辞儀して『失礼します』とおっしゃり、『席をどうぞ』と譲ってくれる。こういうごく普通の高齢者が、いきなり懲戒請求という極端な行動を起こすんです」

 彼らをネトウヨに変貌させ、懲戒請求をおこなうように煽ったブログが存在する。運営者は、元タクシー運転手の70歳過ぎの男性とされている。

「ブログに書いてあるのは、『日韓断交だ』など刺激的なことばかりです。それを見て、『この人(ブログ主)は、誰も知らない真実を知っているすごい人なんだ』と思い込むんです」(三宅氏)

 今回の『ポスト』の「断韓」記事は、「高齢ネトウヨ」に自信を持たせたはずだ、と佐々木弁護士は危惧する。

「これまではネット上でしか見ることのなかった、とんでもない文言が、そのまま週刊誌に書いてあるんです。高齢の人たちは、いまも週刊誌を買う世代。自分が読む週刊誌に、自分の考えと同じような右翼的な文言が並べば、『自分たちは間違ってない』という確信を得てしまうでしょうね」

 ごく普通の高齢者が、なぜいとも簡単にネトウヨに変貌してしまうのか。内田氏は、彼らにはもともと差別的な感情があったと考えている。

「ただ、差別感情は表に出してはいけないと、普通は自制するはずです。その抑制が失われてきているのが現状です」

 ジャーナリストの安田浩一氏(54)は、自制がきかなくなった背景に、社会全体が右傾化し、ネトウヨを許容する気分が充満していると指摘する。

「この前帰省した際、テレビを丸1日つけていたら、出てくる表現が、ネットでの罵詈雑言を追い越していることに気がつきました。テレビを見ているだけで、ネトウヨが生まれてしまうのではと思えるほどでした。テレビや社会そのものが、右傾化しているのだと思います」

 古谷氏は、高齢者たちのネットリテラシーが低いからではないかと分析する。

「今の30歳過ぎから40代後半の人がインターネットを始めたころは、通信速度が遅く、画像1枚を読み込むのも大変でした。ネットは不便で不確実なものだったんです。匿名掲示板の『2ちゃんねる』文化にも馴染みが深く、ネットに書いてあることは99%が嘘だとわかっていました。

 ところが、いまのネトウヨの主流である高齢者世代は、こういう経験をしていない。子供や孫が導入した光ファイバーで、まるでテレビのような超高画質の動画をいきなり観ることができる。そこでネトウヨ情報に接すると、『大新聞が伝えない真実』が本当にあると信じ込んでしまうんです」

 ひとまず、「高齢ネトウヨ」は “断韓” を訴える前に、“断ネット” してみてはいかがだろうか。

(週刊FLASH 2019年9月24日号)

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