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令和のデキるオタクとは? - カレー沢薫

趣味と言うのは、仕事以上にセルフマネジメント能力が問われる場である。

時間、金、健康、この三つを上手く管理していかないと、生活すらままならなくなり、結局趣味も続けられなくなってしまう。
特に、いわゆる「推し」がいて、それを追っている人間はこの三つのバランスを取るのに苦慮する。

香川におけるうどんつゆのように、蛇口を捻れば石油が出るという者以外は、大体限られた金と時間の中でファン活動をしているものだ。

1枚でも多く推しのチェキ買うために、時間と健康を犠牲にして夜行バスを使ったり、衣食住を切り詰めるのはもちろん、
家をなくすことにより逆に「課金は家賃まで」という概念を消す、発想の勝利な者さえいる。

このように、バランスと言いながら主に「健康」が犠牲になりがちなのがファン活動というものだった。

しかし最近では、人生100年時代に向け、太く短く生きてそうなバンギャでさえ「80過ぎても最前でヘドバンする」ため、健康への意識が高まっているのだ。
もちろん、二次元の徒たちも「死ぬまでコミケに行く」ことを目標としている・

短命そうなイメージがあるエンタメ業界だが、何十年と活動する芸能人やバンドは少なくないし、二次元だって何回もリメイク、リバイバルがされる時代だ。

もはや「今さえ良ければいい」「推しに命をかける」というのはもう古い。

これからは「推しの為に長生きする時代」である。
推しがまだ活動しているというのに、先に死ぬというのはファンの風上にもおけない。
推しのために我慢や節約は必要だが、それが健康を害すレベルになるのは、自分のためにならないだけでなく、推しにとっても、生死的な意味で「ファンが1人減る」ことになり、結果良くない。

このように、時間、金、健康、すべて無理がないように管理し、長く活動を続けるのが、令和のデキるオタクなのだが、オタがマネジメントすべきものはこれだけではない。

アンガーマネジメントという言葉が良く聞かれるようになり、それに対する講習さえあるように、感情も管理していく世の中だ。

この「感情マネジメント」は、オタクにこそ必要なものなのではないか。

特にアンガー(怒り)をマネジメントするのは基本だ。
展開が気に入らないからと言って、公式に凸したり、解釈違いや逆カプの人間にいちいち攻撃していたら、その界隈にいづらくなってしまう。

それだけではなく「あいつのファンにはとんだ狂犬がいる」という噂がたったら、推し自体にも迷惑をかけてしまう。

怒りだけではなく、オタクとは常に「衝動」との戦いである。
さっきから回し続けているガチャ、本当に欲しいキャラなのか、果たしてそんなにクリアファイルが必要なのか。

推しの手を強く握ることは大事だが、いつまでもそれを離さない自分を「はがす自分」も、心に飼っておかなければならないのだ。

しかし、オタクの衝動のマネジメントというのは常に「抑える」ことではない。
衝動を抑えすぎると、薄めのDB(ドスケベブック)や限定品のような一期一会な一品を買い逃し、金では取り返しがつかない「後悔」をしてしまうことがある。

よって、ブレーキをかけるべき時はかけるが、ここぞという時には「右はアクセル 左もアクセル」という状態に出来るのが、真の衝動管理だ。

地雷を踏んでしまった時の「怒」や、推しがお葉っぱ様で捕まったり、作中で死んだりする「哀」に対しては気をつけているオタクは多いだろう。

だが「喜」や「楽」に対しても実は気をつけておいた方が良い。

吉良喜彰が「深い絶望」だけでなく「激しい喜び」もいらない、と言ったのは喜びという感情も、心に強い「G」をかけるからだ。
Gと言うのは、様々なところで言っているので今更説明不要とは思うが「ゴリラ」のことである。

推しが未成年淫行で捕まった時、我々はゴリラにぶん殴られたような状態になるが「ついに武道館に立つ」と聞いたときも、やはりゴリラにアイアンクローを食らったような状態になるのだ。

もちろんオタクは、喜びのゴリラにならいくらでも殴られたいし、死んでも構わない、むしろ本望と思っている。

重要なのは、ゴリラが去った後である。

もし「推しが武道館に立つ」と言われたら、その日まで死ねないと思うだろうし、実際トレーラーに轢かれても死なないと思う。

だが逆にそれが終わると、トレーラーに轢かれたことを思い出し、死んでしまったりするのだ。

つまり「楽」が楽であるほど、それが終わった時の「ロス」が大きくなり「燃え尽き」を起こしてしまうこともある。
生きる希望を失ってしまうのだから、ある意味一番これが怖い。

吉良喜彰が嫌がったのは「深い絶望」や「激しい喜び」自体ではなくこの「落差」だったのではないか。

よって大きな「喜」や「楽」が来た時は、それが終わった時のケアまで考えた方が良い、祭りも必ず終わるのだ。

具体的には「ゴリラは基本2匹」だ。

「その日まで死ねない」という楽しみを、2つは用意しておき、1つ終わったら、また新しい楽しみを1つ見つけるのである。
こうすれば、理論的には5億年くらい生きられる計算だ。

オタクというのは「一つのことに全力投球」と言うイメージだが、これからは、生きがいは二つぐらい作っておき「リスクの分散化」をはかっていくべきではないだろうか。

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