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【会社は誰のもの?米企業の大転換】

アップル、アマゾン、GM、JPモルガン、ウォルマート・・・などアメリカを代表する約180社のCEOが「企業は株主、顧客、従業員、取引先、地域のもの」と発表しました。

それまでの「企業は株主のもの」という原則から転換したものだとして、大きな反響を呼んでいます。

地球温暖化所得格差の拡大といった大きな課題に直面しつつ、トランプ政権が政府として取り組まないことが背景にあるといった解説が相次いでいます。

The Economistが「あ、そうきましたか」という視点で今回の企業の姿勢を痛烈に批判しているのがおもしろいです。

[画像をブログで見る]

FTはGroup of US corporate leaders ditches shareholder-first mantra(米企業のトップ、株主ファーストの信念を捨てる)の中で、アメリカの大手企業180以上のトップで構成するBusiness Roundtableという経済団体がこれまでの「株主ファースト」のモットーを取り下げたと報じています。

JPモルガン、アマゾン、GMなど年間の収益が合計で7兆ドルに達する企業の団体が新たな決意を示す文章を発表し、株主と並んで顧客と従業員、取引先、それに地域(コミュニティ)の5つのステークホルダーの重要性を認めたということです。

企業は環境を保護し、従業員には尊厳を持って向き合うなどとしていますが、気候変動など大きな問題に直面しながらポピュリズムの台頭で政治が機能しないことから、企業により多くのことが求められていることが背景だと分析。

ノーベル経済学賞を受賞したミルトン・フリードマンの主張でもある株主第一主義アメリカを長く支配してきただけに大きな転換点だと総括しています。

WSJは、「アメリカ株式会社(Corporate America)」は今、自社の株主を豊かにすることだけが企業の存在意義なのか、さらに幅広い目的があるのかを突きつけられていると伝えています。

著名な投資家のWarren Buffettや世界最大規模の資産運用会社BlackRockのLarry Finkらが短期の思考や批判し、若いミレニアル世代同様に企業の社会責任を問うているということで、これがBusiness Roundtableによる300字の書簡181人のCEOが署名した背景だとしています。

The EconomistはWhat companies are for(企業の存在意義)の中で、西側諸国では経済成長が行き詰まり所得格差が拡大し、環境が破壊され、資本主義はうまくいっていないことから、大手企業に経済問題、社会問題の解決を求める声が高まっていると伝えています。

特に若い顧客や従業員に突き上げられて企業は社会問題に取り組むことを求められていて、マイクロソフトがホームレス問題に直面する地元シアトル市で住宅確保のために5億ドルを投じるなど企業活動とは直接関係のない分野に資本を投じているということです。

こうしたことは耳障りはよいとしながらも、「説明責任が不明確になり、ダイナミズムの欠如という2つの落とし穴に陥る(suffers from two pitfalls: a lack of accountability and a lack of dynamism)」とばっさり。

資本主義が成功するには、むしろ説明責任とダイナミズムを活性化させることが必要だと指摘。

アメリカ国民のうち、株式投資をしている家庭は、直接、あるいは基金を通じて全体の50%にとどまっていることから株式投資を促進するような税制を導入することでより多くのアメリカ国民が株主となること。

さらに、市場の競争を働かせることで説明責任を果たすことが重要だとしています。ただし、現実にはIT企業を中心に寡占が進み、180人のCEOも多くが寡占した市場のトップだと批判。

政治が機能していないことは問題だが、解決を大企業のトップに求めるのは間違いで、必要なのは▼イノベーション、▼多くの人が広く株主になること、▼社会に素早く適応できる企業であり、「これこそが啓蒙的な資本主義だ」と締めくくっています。

こちらが実際のレターです。
Tim Cook(Apple)やJeff Bezos(Amazon)など180人のCEOのサインが見られるのが楽しいです^_^

https://opportunity.businessroundtable.org/wp-content/uploads/2019/09/BRT-Statement-on-the-Purpose-of-a-Corporation-with-Signatures.pdf

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