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センター試験でムーミンの出身地が問われる訳

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■コメダ珈琲店が入試を解くヒントに

また、喫茶店はどこの地域に多いと思いますか? これも日常と結び付ければ簡単です。みなさんは「小倉トースト」を聞いたことはありますか? 名古屋のご当地飯で、食パンに小倉あんをのせたおいしい軽食です。

それから、コメダ珈琲店は知っていますか? 名古屋発の喫茶店で、全国にチェーンがあります。コメダ珈琲店のモーニングセットが好きだという方も多いのではないでしょうか。愛知県というのは、このように喫茶店産業が盛んな地域なのです。

また、当たり前のことですが、喫茶店というのはお客さんがいないと成り立ちません。人口が少ない地域よりも、人口の多い地域の方が喫茶店が繁盛する傾向にあります。以上を踏まえて問題を見てみると、愛知県を始め東京や大阪の●が大きいのはウだとわかります。

いかがでしょうか。「都市近郊では近郊農業が盛んである」とか「小売業は人口規模に比例する」とか、そういった知識は教科書にも載っています。しかしそれを日常生活と結び付けたときに答えられるのか? いつも飲んでいる牛乳と、小倉トーストを、知識と結び付けられるのか? この問題では、日常生活と教科書の知識をつなげる思考力を問うものだったと言えるのではないでしょうか。

■教育改革の目的は「思考力を付けるため」

さて、現行のセンター試験でも思考力を問う動きが見られるわけですが、将来的な方向性としても、思考力を養成する動きが見られます。

高校のカリキュラムが、2022年には日本史と世界史が一緒になって「歴史総合」という科目が作られ、「地理」が必修科目になることが決定していますが、この変化も両方とも「思考力」に関係していると考えることができるのです。

従来の日本史や世界史といった科目は、歴史上の事実を覚えることに終始していました。「1853年にはペリーが来航した!」ということを暗記しようと、「1853年!」「1853年!」と何度も口に出したり、語呂合わせで「いやゴーサインでペリー来航!」と覚えようと努力することが多かったと思います。

しかしそれは、何も思考せずにただ丸暗記しようと試みていることに他なりません。これでは、短期的には覚えられても長期的にずっと覚えておくのは難しいですし、何より何も楽しくありませんよね。

■丸暗記では思考力は身に付かない

大切なのは、「なぜ1853年だったのか?」と考えることです。1853年というのが、世界的に見てどういう年だったのか? 何が起こったからペリーが来航することになったのか? そういうことを考えてみるのです。

実は1853年にはイギリスがロシアと戦争をするクリミア戦争が勃発しています。アメリカは、この混乱に乗じて「イギリスが来ないうちに」と日本に来たのです。また、1848年にはアメリカの開拓が進みサンフランシスコまで到着、1849年にはゴールドラッシュで人が流れ込んでいました。実は1853年という年号にはきちんとした意味があるのです。

そういうことを考えずに、「1853年ペリー来航!」とだけ丸暗記するのって、実はすごく大変なことですし、思考力だって付かないのです。1853年に対して「なぜ?」をぶつけてみるということで、1853年という年号も覚えられますし、もっと本質的に歴史のことを学ぶことができます。

そしてそのためには、より広く世界のことを知る必要があります。1853年の日本の歴史だけではなく、世界の歴史や世界の情勢・経済状況や地政学も知っておかなければアメリカの動向や「なぜ1853年だったのか」ということがわからないわけです。だからこそ、歴史総合が作られ、地理が必修化するのではないでしょうか。

■日常生活から学ぼうとする姿勢が大切

ちなみに東大は、年号や出来事の暗記ではなく歴史の「なぜ?」を問う問題を多く出題しています。時代背景や、歴史の大きな流れを鑑みて1つの出来事について記述させる問題や、なぜ歴史上の人物が当時そういう行動を取ったのかを問う問題などが出題されています。

例えばこの問題は、「伊藤博文らの調査団に加わっていたらどう反論するか?」というものです。なかなかユニークですが、教科書には書いていないけれども教科書をよく読んで考えていればわかる、本質的な理解を問う問題ですね。

『現役東大生が教える東大のへんな問題 解き方のコツ』(日本能率協会マネジメントセンター)より

西岡 壱誠『現役東大生の世界一おもしろい教養講座』(実務教育出版)

いかがでしょうか? まとめると、思考力というのは日常生活や出来事に対して「なぜ?」という目線を向け、学んだことや教科書に書いてある知識と結び付けて解を導く能力のことであり、そのためには日常生活から学ぼうとする姿勢が必要だということです。

そして、東大は結び付ける知識のことを「教養」と定義しています。何でもかんでも知識をつければいいということではなく、活用できる知識のことをこそ教養と呼び、それを養成する授業が日夜展開されているというわけです。

みなさんも、教養を付けて思考力を養成するための訓練を積んでみてはいかがでしょうか? ちなみに僕も、日々そのための勉強をして忙しい毎日を送っています。みなさんもぜひ!

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西岡 壱誠(にしおか・いっせい)
東京大学4年生
1996年生まれ。2浪から「暗記術」「読書術」「作文術」を開発し、東京大学経済学部に合格を果たす。全国4つの高校で「リアルドラゴン桜プロジェクト」を実施し、高校生に勉強法を教えている。近著に『現役東大生の世界一おもしろい教養講座』(実務教育出版)など。
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