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売り上げはあきらめた。辞めるかもしれない社員への投資も惜しまない──すべては企業文化を守るため

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成長・拡大するにつれ、企業文化をどのように維持し、新規メンバーに伝えていくか。頭を悩ませている経営者は少なくないと思います。

米フロリダにある、学生スタッフによる清掃サービス会社「スチューデント・メイド」創業者・CEOのクリステン・ハディードさんは企業文化を維持するために、企業規模を10分の1程度にするなど、大幅な人員削減を行いました。

ハディードさんは「規模拡大やフランチャイズで成長するよりも、目の行き届く規模で、従業員に確実に企業文化を伝えて成長を図りたい」と言います。

ハディードさんが実践するフィードバックのやり方についてお伺いした前編に続き、後編ではリーダーシップをとるうえで心がけていることから、新人研修の方法まで、働きがいのある組織をつくる秘訣を聞きました。

※この記事は、Kintopia掲載記事"Vulnerability Made My Company Stronger—Interview with Kristen Hadeed (Part 2)”の抄訳です。

規模を10分の1にして、売り上げを減らしても、企業文化を守りたかった


ハディードさんの会社は学生に人気の企業で、実際に優秀な学生スタッフばかりとのことですが、いまは何人くらいの人が働いているのでしょうか?


現在の従業員数は、50人から100人の範囲で変動しています。以前は500~600人ほどの規模だったのですが、この2年で人員削減を図りました。

クリステン・ハディード。スチューデント・メイドCEO。2008年に従業員が学生のみの清掃サービス会社「スチューデント・メイド」を創業。低賃金、離職率75%で知られる業界ながら、離職率の低さとその成長性から全米で注目を集める。著書に、”Permission to Screw Up”(日本語版のタイトルは、『離職率75%、低賃金の仕事なのに才能ある若者が殺到する奇跡の会社』ダイヤモンド社)がある。Photo by Pete Longworth


ずいぶんと大胆な人員削減をしたんですね。


そうなんです。なぜ、人員削減したかというと、会社の規模によって企業文化が大きく変わってしまうと感じたからなんです。
最終的にはフランチャイズや規模の拡大による成長ではなく、人数をしぼり、自分たちの企業文化をメンバーに確実に伝えて成長を目指すという方法を選びました。


規模を小さくするということは、売り上げにも影響しますよね。


ええ、かなりの売り上げをあきらめました。でも、その価値はあったと思います。
企業文化をしっかりと伝え、従業員に自分たちが今まで築いてきたものを身につけてもらうことは、私たちにとっては利益以上の意味があることなんです。
一生懸命つくりあげた企業文化を犠牲にしてまで拡大成長するより、目の行き渡る規模で企業文化を社員に浸透させて成長を目指すというやり方のほうがしっくりくる感じがしたんですよね。


利益よりも企業文化を優先にするという決断は、経営者にとって簡単なことではないと思います。


規模の縮小=ビジネスがうまくいっていない、と考えられがち ですよね。
でも、企業文化と職場環境を守るための勇敢な決断として必要なときもあるんです 。

弱さを見せられるのは強さ。リーダーとして、ありのままの姿を見せることの大切さに気づいた


ハディードさんは、リーダーシップにおいては「気づかい」と「ありのままでいること」が重要だとおっしゃっていますね。
メンバーへの「気づかい」が大切だということはわかるのですが、なぜ「ありのままでいること」が重要なのでしょう?


前編で少しお話しましたが 、過去に45人の従業員が一度に辞めてしまったことがありました。そのときに「ありのままの姿」をみんなに見せることの大切さに気づいたんです。
45人ものメンバーが辞めてしまった原因のひとつは、私のリーダーとしての経験が浅かったことです。何をすべきかわかっていなかったんですよね。
たとえば、メンバーの名前もまったく知りませんでしたし、みんなに飲み物を出すことや、昼休みをとってもらうことすら考えもしませんでした。


それはたしかに......。学生に人気の企業となったいまの状況からは想像できないほどです。


辞めていった45人に対して、間違っているのは彼らだと思ったことを覚えています。
なぜ彼らは仕事に全力を注ぎ、やり遂げなかったのだろうか、と。被害者意識を持っていたんです。


それから、どうなったんですか?


パニック状態になりました。やらなければならない仕事がたくさんあったからです。
それで、まだ会社に残ってくれているメンバーに、現状を話しました。助けを求めたところ、彼らは素晴らしいアイデアを持っていたのです。


素晴らしいアイデア?


「会議をしましょう」と言ってくれたんです。そして、朝に集まって何が問題だったかを話し合いました。


やっとメンバーと話をするようになったんですね。


会議の前まで、私は自分がどう悪かったのか本当に理解できていませんでした。
だから、みんなにはこう伝えました。「私は何か間違ったことをしたのだと思います。でも、何が問題だったのかをわかっていません。リーダーになるのは初めてで、悪意はなかったんです。本当に申し訳なく思っています。どうか手を貸してください」と。
当時は自覚していなかったのですが、私は自分の弱さを認めたんです。


素直に謝って、問題点を指摘してもらうように頼んだんですね。


はい。そうしたからこそ、辞めた45人のメンバーも戻ってきて私にまた機会を与えてくれたんだと思います。


リーダーの中には、メンバーの目の前で面目を失うことをおそれる人も多いと思います。
自分の弱い部分を見せながら、リーダーシップをとることは可能だと思いますか?


はい。みんな「ありのままの姿を見せること」をネガティブにとらえがちだと思うんです。
「武装しない=弱い」と、考えてしまうかもしれませんが、実際はひとつの勇気のあらわれだと思うのです。
人は勇気のあるリーダーについていきたいと思うのものですよ。


たしかに。自分を偽って大きく見せることは自信のなさのひとつのあらわれですからね。


つねに答えがわかっているような完璧な人間は世界のどこにも存在しないという ことはだれもが知っているはずです。
だから、あたかもなんでもわかっているかのように振る舞う人のことは、だれも信頼しないでしょう。


その通りだと思います。


私は、ガードしないでありのままの姿を見せることは強さであると学びました。
職場でありのままの姿を見せるということは、だれかに助けを求められるということです。「失敗した」と伝え、自分のミスや、答えがわからないということを正直に認めるということです。

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