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1ページの首脳宣言はG7の「原点回帰」-議長国フランスのピック駐日大使が明らかに

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米中対立を巡ってG7の足並みが揃った

 次に工藤は、G7がフランスのランブイエで発足した際も、経済危機に対してG7のリーダーが、多国間でその克服での協調を行ったが、深刻化する米中対立が世界の経済のリスクになっている点では同じ状況に直面している、と指摘したうえで、今回の合意は「世界経済で高まるリスクには曖昧に見えるが」と疑問をぶつけました。

 これに対して、ピック大使は、今回の成果文書で「WTOをオーバーホール(徹底的に改める)していき、さらに効果的にしていく」との文言が盛り込まれたことを説明し、具体的には、トランプ政権下の3回のG7で初めて、紛争解決メカニズムの見直しを文書に盛り込むことに米国の賛同が得られたことが、成果だとしました。

 また塚田氏は、今回の議論にはまだ公表できない議論があるとした上で、「一番大きいのは、米中の通商摩擦が世界経済のリスク要因になっているという点で合意があったことだ。G20では必ずしもその合意ができなかったが、G7では米国も含めて合意した。これは非常に大きい」と語りました。

 ラフルアー氏は「ビジネスの観点から言うと、国際的な貿易システムを強化しようという取り組みは、多くの企業が歓迎している。だが、その中で、一部の人が取り残されたと感じているのは残念だ」と述べ、今回のG7やG20で取り組まれた不平等というテーマの重要性を強調しました。

来年のG7の争点は「中国との向き合い方」

 最後に、今後のG7の在り方や来年、トランプ氏が議長国を務めるG7米国サミットの見通しについての議論が行われ、ラフルアー氏が「来年は最も重要なG7になる」と断言。「米中の間でどういったことが解決されるかが争点になる。中国を巡る様々な問題をどう解決するかが、G7の共通課題だ」と述べました。

 塚田氏は、「今後もG7は、世界の自由秩序の維持に主導的な役割を果たすべきだ」と強調。「21世紀の人類の課題は、中国とどう向き合うかということ。この点を考えるうえで、次回のG7は最も重要なフォーラムになる」としました。塚田氏は「次回も官僚があまり目立たない会議になるだろう」との見通しを示しました。

 ピック大使は、マクロン大統領が8月27日に各国の大使を集めて行った講演の内容を紹介。「各国が米中どちらかにつくのではなく、日本も欧州もそれぞれの立場を確立しなければいけない。多国間主義に基づく世界秩序を維持していくためにも、各国間で利害の均衡を図り、一国が利益を独占することがあってはいけない」と語り、法の支配や多国間協力の価値を守るために、現行のG7の体制が維持されることが必要だとの考えを強調しました。

 司会の工藤は、最後に、言論NPOが、世界10カ国のシンクタンク代表を集めG7に提案するため、毎年開催している「東京会議」に触れ、各国で自由と民主主義、多国間主義の規範が揺らぐ中、その規範を守り発展させるという政府間の努力を、民間としても支えていくことに意欲を示し、議論を締めくくりました。

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