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「文大統領も曺氏も野党も検察も、全てが背水の陣」法相任命強行で、韓国国内の対立構造がより鮮明に?


 不正入学と不適切な奨学金受給、妻の資産隠し、息子の兵役逃れ、親族による不透明な投資ファンド運営などの、玉ねぎの皮をむくように新たな疑惑が飛び出すことから"タマネギ男"と称された側近・曺国(チョ・グク)氏。文在寅大統領は9日、ついに彼を法務省のトップに任命した

 法相任命に対する賛否(8日時点)は51.8%と反対が上回っており、「彼は妥当ではないと思う。疑いが多すぎる。それなのに任命を強行するのは問題がある。この先うるさくなるだろう」と話す韓国国民もいる中での判断について、文大統領は「曺国法務長官の場合は疑惑提起が多く、配偶者が起訴されるなど、任命賛成と反対の激しい対立があった」「ややもすると国民分裂につながる恐れもある状況に対し、大統領として深く悩まざるを得なかった。しかし、私は原則と一貫性を守ることがもっと重要だと思った」と説明している。

 「どの国よりも強大な権力を韓国の検察は独占しているために、検察の不正・腐敗が多数生じている」と主張、検察改革の重要性を強く訴えてきた曺氏。8年前、まだ議員になる前の文大統領らと行った討論会でも、「法相が改革を実行しようとすると、検察が後ろから撃つ場合がある。噂を流して、その人を辞めさせようとするのが検察という組織だ。だから、堅物でとてもクリーンな人が必要だと思う」との考えを示していた。実際、法相就任について「よくやったと思う。改革を完遂させるべきだからだ」と称賛する国民もいる。

 元在韓国特命全権大使で評論家の武藤正敏氏は「韓国の検察は権力が大きすぎ、政治介入をするようになる。文在寅大統領にしてみれば、親分だった廬武鉉元大統領が自殺に追い込まれたという思いもある。だから司法改革・検察改革をやりたいという趣旨はおかしくないし、検察が警察よりも強い構造を変えなければならないのは間違いない。ただ、それを変えるのが曺国氏なのかが問われているということだ。実際には政権を取ると"この機会にいい思いをしよう"と考える人がいっぱいいて、どうしてもそうなってしまうし、文政権も決してクリーンではない。"タマネギ男"と言われるくらいにやりたい放題している人が法務大臣になって検察改革をやるというのは皮肉だ」と話す。

 また、文大統領の判断については「このタイミングでの任命なのは、皆がお盆で帰省し、"あいつは法相をやるべきではない"といった話をする前に任命してしまおうということがあったと思う。また、今まで文大統領はかなり強引な政治をやってきている。例えば閣僚や閣僚クラスの委員、最高裁の判事などの人事は国会の聴聞会で承認を得なければならないが、それができなかった人を既に16人、大統領権限で任命している。財閥なども何をされるか分からないので言うことを聞く。

そういう点では民主主義的ではないし、ここで批判があったからといって法相任命を見送れば、今まで支持してきた人たち、無理やり言うことを聞かせていた人たちが離反するかもしれない。政治・経済・外交と何をやってもうまくいかない中、そういう危機感もあると思う。文政権にとって最悪の事態は、どこかの時点で曺氏が刑事責任を問われるような状況になることだ。どちらにしても痛手を被るなら、いっそリスクを取って任命し、うまくいけば逃げ切れるという可能性に賭けたのではないか」と推測した。


 先週6日に行われた国会での聴聞会では、14時間にも及ぶ長時間の追及にも顔色を変えることなく、淡々とした様子で疑惑を否定していた曺氏。一方で、検察は聴聞会の最中に曺氏の妻を私文書偽造の罪で在宅起訴した。

 武藤氏は「今回の問題は、すでに曺国氏個人いうより、検察対政権、野党対与党という対決構造になってきている。今の検事総長はしっかりした人なので、なかなか言うことを聞かないだろう。曺氏の奥様を在宅起訴したのは時効の1時間前という、まさに韓流ドラマの世界だ。9日には疑惑親族による不透明な投資ファンドの代表ともう1人が逮捕令状を請求されているし、疑惑は次から次へと広がっていくだろう。検察としても、ここまで来たら最後までいかなければ潰されると考えているのではないか。

また、疑惑を全面的に庇っているのが政権与党だ。だから曺国氏としても、大統領に対する傷をできるだけ浅くするためには辞任するのが一番いい。しかしそうなれば逮捕、拘禁されるリスクが高くなる。その意味では検察に対して"もっと切り込め"という国民も多い、野党に対しても"ちゃんと追及しろ"という批判の声もある。聴聞会の前には任命反対が56.2%だったのが51.8%に減っている一方、賛成は40.1%から45.0%に増えている。文在寅支持派が団結したということもあるが、聴聞会であまり新しい事実が出てこず、野党に対する批判も結構強いからだろう」。

 その上で「曺氏の検察人事は国内で反発を生むだろう。ただし、それでもやる可能性はある。そうなれば暴露合戦になるだろうし、野党が曺氏の解任決議案を出して、それが通る可能性もある。だが、文大統領は拒否権も行使でできる。そうやって泥仕合がどんどん続くだろう。今回の問題は文政権の命運を握るかもしれない。文大統領も曺氏も野党も検察も、全てが背水の陣で戦っている。保守と革新の"全面対決"だ」と話していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

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