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津田大介さんが会見で語った「表現の不自由展・その後」の「再開の条件」とは

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芸術監督と実行委員会が別々に会見

 津田さんは会見の中で、8月22日の私たちが開催した緊急シンポジウムでの実行委員メンバーの発言について、これは事実と違うなどと言及した。8月1日から脅迫が始まったのに、検証委員会報告によると警察への届けが受理されるまでに日数がかかりすぎている。小倉利丸さんが8月2日にそれを指摘して疑問を呈したのだが、津田さんは、それをサボタージュがあったかのように言うのは事実と違うと言明した。

 この一件については私もシンポを開催した者として会見で発言せざるをえなかったのだが、要は芸術監督と実行委員会の間でも個々の事柄についてこんなふうにディスコミュニケーションが生じているということだ。だからこの会見は、双方が同席する形でいろいろな事柄が解明されたという意味では大きな成果があったといえる。

 まず第1に、8月2日から3日の中止決定に至るまでにどんなやりとりがあったのかについて、この会見で初めて細かな経緯が明らかになった。具体的な内容は会見の文字起こしや動画で確認してほしいが、2日の深夜に津田さんから一度、中止の意向が伝えられた。しかし実行委員会が突っぱね、いったん白紙に戻されて再びやりとりがなされ、何往復かの後に、最終的に大村知事と津田さんが中止を決定して3日17時からの会見で発表した。中止決定が発表されたことは実行委員会には寝耳に水だが、津田さんにしてみれば幾つかのやりとりを経て、これはもう決断せざるをえないと判断したということのようだ。

 そして第2に、大量の抗議電話や脅迫について細かな分析が進められており、現状で判明したのは、抗議電話などがかなり組織的に行われていたことだという。組織的というのは何かひとつの組織がというのでなく、ネットを通じて指示が出回り、そのある種のマニュアルに沿って攻撃が行われたということだ。組織的な脅迫メールが発信元を隠すためにどんなことをやっていたかなど、細かい分析が行われているという。

 そのほかにも2日の会見で大事なポイントは幾つかあるが、割愛して最後に津田さんが、「表現の不自由展・その後」の再開について言及した部分を紹介しておこう。今後の展開をめぐって大事なポイントだ。

津田 再開の可能性。これは多くの記者の方が聞きたいことだと思います。やはり、再開ができるとしても再開を目指すとしてもまずクリアしなければいけないことがたくさんあると思っております。脅迫のFAXの犯人は捕まりましたけれども、770通の大量の脅迫のメールのほう、こちらの捜査はまだ進展していません。

 また、実際にこれを再開するとなったらば、会場の一層の警備態勢の強化が求められると思います。強化をするときのコストをどのように負担するのかという問題も横たわっています。そして何より一番解決が難しいのは、この苛烈な電話抗議、脅迫、そしてまたおまえの名前は何だと名前を聞いて、聞いた名前をネットに、Twitterに書いてさらすといったこういった攻撃、この対策ということをどのように行えばいいのかということも考えなきゃいけません。

 そしてガバナンスの問題も含めた、この検証委員会の中間報告、これも僕は待つべきだと思います。先ほど岡本さんのほうから知事との協議ができていないというお話だったんですけれども、僕自身は「不自由展」の方々と協議を始めたいと思っています。そして「不自由展」の実行委員会だけではなくて、「不自由展」に参加された作家、実行委員会、そして「あいちトリエンナーレ」に参加している作家、ボイコットしている作家もボイコットしていない作家も含めた作家、そして何より愛知県民その他有識者等も含めたオープンなディスカッションの場を複数設けて、話し合いが必要だと思っています。

 これらを経て次の段階に進めるということ。ただし、やはり会期が残り限られているわけですから、このハードルをクリアするのが難しいということで、実質的に再開ができないのではないかというふうに報道するメディアもあれば、再開に向けて動いているというふうに考えるメディアもあるということ、これなかなか僕の立場では明言することもできませんし、また僕の一存で決めることもできないというところが非常に難しいところです。

 ただ、1つお伝えしたいのは、もともと僕はこの企画を2015年に見て非常に感動したんです。これをきちんとパブリックセクターで説明しながら議論のきっかけとしてやることに大きな意味があると思ってやったことなので、僕自身が75日間この企画を見たかったので、やはり3日で終わったということ、この結果にはまったく納得していません。だから、その意味ではきちんとこのハードルをクリアして会期中への再開を目指したいとは思っています。しかしそれに対して僕が今、明言することはできないという状況です。》

 関心ある方はぜひ動画を全部再生して見るか、起こしたものを全文読んでほしいと思う。

様々な動きが一気に進行しつつある

 日々起きている動きを伝えるために多くの努力がなされている。

 例えばこの間の、「美術手帖」のウェブサイトは、海外作家たちの動きを逐一報告しており、かなり参考になる。

https://bijutsutecho.com/magazine

 8月22日に私たちが主催して500人近い人たちが参加して大きな集会が開かれたことは既にヤフーニュースでも報告した。

https://news.yahoo.co.jp/byline/shinodahiroyuki/20190824-00139607/

「表現の不自由展・その後」中止事件の作家たちが自ら声をあげた意味は大きい

 その内容に大幅加筆して総特集を組んだ月刊『創』10月号が9月6日に発売。ぜひ読んでほしい。

  その号の表紙写真は、8月3日、中止決定直後に展示現場にいたスタッフが少女像に「表現の不自由展・その後」の冊子を持たせた光景だ。あたかも少女像が中止決定に抗議しているように見えるそのシーンを綿井健陽さんが撮影した。

 ひとつの社会的事件をめぐってこんなふうに熱い議論や報道が継続されるケースも珍しいかもしれない。

 それだけこの問題が重要だということだろう。

※Yahoo!ニュースからの転載

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