- 2019年09月10日 11:16
【読書感想】世界の中心でAIをさけぶ
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世界の中心でAIをさけぶ (新潮新書)
作者: 片山恭一
出版社/メーカー: 新潮社
発売日: 2019/07/12
メディア: 新書
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Kindle版もあります。
世界の中心でAIをさけぶ(新潮新書)
作者: 片山恭一
出版社/メーカー: 新潮社
発売日: 2019/07/13
メディア: Kindle版
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内容(「BOOK」データベースより)
世界に新しい宗教が生まれつつある。その名は「シンギュラリティ」。急速に進化する人工知能がやがて人間知を超えたとき、人間存在の意味はどこに見いだせるのか。ビッグデータとアルゴリズム、AIが支配するデジタルテクノロジーの中心地アメリカ西海岸を旅しながら、変わりゆく人々の思考様式、労働と民主主義の価値、国家と企業の未来像を見つめる。ベストセラー作家が深く問う、AI時代の人間の意味論。
最初にこの新書のタイトルを見たとき、僕は「ひどいなこれ、『セカチュー』こと『世界の中心で、愛をさけぶ』を書いた人が見たら、怒るんじゃないか?」と思ったんですよ。
著者名をみて驚きました。
片山恭一……って、『セカチュー』の著者が書いているのです。
『セカチュー』の作風からは、「AI(人工知能)」に詳しいとは想像できず、自身の大ベストセラーからの「一発芸」みたいなものなのだろうか。
ところが、読んでみると、この本は、片山恭一さんが知人たちと「AIが生まれる場所」であるアメリカの西海岸、シリコンバレーを中心に旅をしながら、「人間とは何か」を思索していくエッセイになっているのです。
技術者でも、AI危機論者でもない人間からみた「AI」と人類のこれからについて、けっこう考えさせられる内容です。
現状のままAI(人工知能)が進歩しつづけると、2045年くらいに人間を超えるAIが誕生するという予測があり、これをシンギュラリティ(技術的特異点)というらしい。AIが人間よりも賢くなって爆発的に進化する。AIは人間にとって脅威になる。そこで何が起こるかわからない。なんでも起こりうる……ということで、スティーブン・ホーキングは人間が終焉するかもしれないといったコメントを発しているし、他にも同様の危惧を抱いている科学者は多い。ビル・ゲイツなどもAIの脅威を訴えている。
スタンリー・キューブリック監督の映画『2001年宇宙の旅』(1968年公開)では、宇宙船に搭載されたコンピュータ(HAL9000)が異常をきたし、自分を停止させようとする乗員を排除してしまう。ジェームズ・キャメロン監督の『ターミネーター』(1984年公開)は、近未来の世界で反乱を起こした人工知能(スカイネット)が指揮する機械軍により、人類は絶滅の危機を迎えているという設定になっている。このようなSF映画に描かれてきたことが現実になるということだろうか。
AIはすでにさまざまな分野で使用されているのですが、「愚かな人間を絶滅させようと暴走するAI」というのは、SFの定番の設定なのです。
昔と比べれば、「AI」というのはかなり身近なものになってきたはずなのに、多くの人が、「AIに対する潜在的な恐怖」を抱えているようにもみえます。