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中国スパイ事案 (続き)

 スパイ容疑がかけられている李春光氏の一件で、門外漢の私にですら色々問い合わせがありましたので、その後各方面から意見を伺ったのですが、大した話は出てきませんでした。公安も結局情報漏洩ではなく、外国人登録証明書の不正更新で書類送検したそうですし。
 また中国外交部にしては珍しく、早速記者とのやり取りを公式見解としてウェブ上に公開しています(以下引用)。

A: Li Chunguang is a scholar who has long been engaged in Japan studies. He was later seconded from the Chinese Academy of Social Sciences to the economic section of the Chinese Embassy in Japan. He has returned to China after the end of his term. The so-called press report of Li Chunguang engaging in espionage activities is totally groundless. With regard to other aspects of the information, competent Chinese authorities will verify them.

 中国外交部によりますと、「李氏がいわゆるスパイ行為を行っていたのは全く根拠のないデマだ」ということでありますが、彼がスパイではないとは言っていません。恐らくこのような記者とのやり取りを即座に公開したことからも判るように、中国側はこの件で探りを入れられても痛くも痒くもないようです。

 となるとやはり李氏に関してそこそこ確証性が高いのは、①総参謀本部情報部に所属していた日本通で、日本には外交官として赴任していた(すなわちスパイであった)、②立場を利用して日本での人脈作りと蓄財に勤しんでいた、③報道によるともうすぐ中国に帰国するところであった、といったあたりになろうかと思います。スパイ防止法のない日本ではスパイというだけでは拘束できませんので、公安としては帰国される前に外国人登録証明書の不正で立件せざるを得なかったのでしょう。

 李氏の一件は、農水省の情報漏洩問題にも飛び火しています。マスコミが報道していますように「農水省の機密漏洩」はかなり誇張されていますが、農水省の情報が「インテリジェンス」にあたるのかと言えば、情報が対中政策など外交政策に関わるものであり、その漏洩によって日本の国益に損害を与えることになるならインテリジェンスだと言えます。ただし漏れたものは国家機密に該当するような特別管理秘密の類ではなかったと推測します。

 いずれにしても政治家が国家の秘密を漏洩しても法律上問題ないというのが悲しいところです。極端な話、秘密が国家公務員→第三者、と漏れた場合、西山事件(『運命の人』)のように国家公務員には法的な罰則が課せられますが、同じ秘密でも国家公務員→政治家→第三者、という形で漏れた場合、なぜか制度上誰も罰せられることはないわけです。しかし法的に問題ないといってももちろん道義的には問題があるとは思いますが。

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