記事

受験のためのTOEIC

大学入学共通テスト、突然の撤退 TOEICの誤算とは(朝日新聞)

 2020年度から始まる大学入学共通テストで活用される英語の民間試験から、TOEICが離脱することになった。なぜ、実施まで9カ月を切ったタイミングで決断をしたのか。(増谷文生、編集委員・氏岡真弓)

 「受験するために勉強していた高校生たちには、大変申し訳ない」。国内でTOEICを実施する国際ビジネスコミュニケーション協会(東京)の山下雄士常務理事は、離脱が本意ではなかったと説明する。

 米国の団体「ETS」が作るTOEICは、ビジネス向け英語の試験として各国で実施されている。特に日本で人気で、社会人や大学生を中心に年間約250万人が受ける。山下氏によると、受験で使う大学が増え、高校生も約6万人が受けることを踏まえ、大学入学共通テストでの活用に向け申請を決めた。

 昨今は校名や学部名以外のあらゆるところから教養を捨て去り、ひたすら英語ばかりを押しつける就活特化大学が隆盛を極めているわけですが、受験の時点ではどうなのでしょうか。私が学生であった頃はまだ、英語は数ある選択肢の中の一つであり、何が何でも英語第一ではありませんでしたけれど、英語が受験科目の王様であることは違いありませんでした。ただ、大学入試のための「受験英語」は幾分か低く見られるものでもあった気がします。

 受験英語とは即ち、受験のための英語であり、ヨソで通用しない英語であると、そういう見方が強かったわけです。だから英語の試験で高得点を取れたとしても、実際に英語ができるとは限らない、もっと役に立つ英語教育が必要だと言われて来ました。そこで会話重視云々が何処でも持ち上げられていたのですが――各種の資料を見るに日本人の英語力は会話面で弱いというより、会話だけではなく文法面でも今ひとつだったりしまして、少なからず的外れの批判であった印象も残ります。

 これに比べて「特に日本で人気」のTOEICはどうなのでしょう。「受験英語」と違ってTOEICの点数は、何処までアテになるのか、そこは気になります。とりあえず大学入試に先だって就職活動においては、古くから活用されてきたのがTOEICです。受験英語で大学に合格し、今度はTOEICで就職ともなれば、どうにも「就活英語」みたいなものがあるようにも思えてきます。

 英語の実力があればTOEICで高得点が取れるけれど、TOEICで高得点が取れるからと言って英語ができるとは限らない――そう語る識者もいます。要は受験テクニックよろしく、TOEICで点を取るためにもコツがあり、そっちの技術ばかりに巧みな人も決して少なくないのでしょう。TOEICに的を絞った試験対策で、ある種の成果を上げている人もいるわけです。

 だから「受験するために勉強していた高校生たちには、大変申し訳ない」と、TOEICの偉い人のコメントが出てくるのではないでしょうか。純粋に英語力があれば、どの試験を選んでも高得点が得られるはずです。しかし、そうでない人もいます。TOEICの傾向を分析し、TOEICで高得点を取る技術を純真に磨いてきた人もいるわけです。これをTOEICの中の人も理解しているからこそ、上述のコメントが出てくるのでは、と。

 まぁ、建前はともかく本音では、大学側も「就活英語」で構わないのかも知れません。今時の大学にとっては就職実績が何より大切です。そうした面では、就活英語に巧みで大学の「成果」を上げてくれる受験生は、当然のこととして歓迎すべきものなのでしょう。受験生サイドもさることながら、大学サイドとしても今回のTOEICの離脱は、結構な痛手なのかも知れませんね。

あわせて読みたい

「TOEIC」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    日本へ謝罪求め続ける韓国に疑問

    諌山裕

  2. 2

    JESSE被告「コカインなめた」

    阿曽山大噴火

  3. 3

    森ゆうこ氏の「圧力」に応じない

    音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選挙区)

  4. 4

    222万部減 新聞はもう要らないか

    PRESIDENT Online

  5. 5

    佐野史郎 病室では寝たきり状態

    女性自身

  6. 6

    日韓対立 両国は主張の棚上げを

    舛添要一

  7. 7

    桜を見る会予算を国民向けに使え

    柚木道義

  8. 8

    大嘗祭反対集会? 朝日記事に疑問

    和田政宗

  9. 9

    「山本太郎都知事」はあり得るか

    PRESIDENT Online

  10. 10

    朝日のがん治療本PR見直しを称賛

    中村ゆきつぐ

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。