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ブレグジット

久々に(といっても半年ぶりですが)、ロンドンで資料調査に明け暮れております。こちらでは連日、ブレグジットをめぐる報道で溢れておりまして、嫌でも関心を持ってしまいます。その反面、日韓関係のニュースは耳に入ってきませんので、こちらにいますとやはり極東情勢は遠い国の出来事です。先日も電車の中で「Reject Brexit」と書かれたプラカードを持った若者たちを見かけましたので、少し声を掛けましたが、彼らは真剣そのものでした。

世論調査によりますと、離脱と残留の比率は未だにほぼ5:5で拮抗しているのですが、私の知り合いはほとんどが残留派で、離脱派の方に会ったことがありません。この間、それをある人に話すと、「基本的にロンドンに住むほとんどの人は残留派ですが、地方にいくと離脱派が多いです。多分あなたの知り合いは皆、国際派で、知識があって、分別のある方ばかりなのでしょう」と言われていまい、少し考えた次第です。

離脱をめぐってはよくイギリスの世論が二分されているといわれますが、厳密には三分割されているように思います。ざっくり言いますと、①富裕層の離脱派:離脱して多少損害あっても構わない。とにかく感情的に大陸と一緒は嫌!、②貧困層の離脱派:今、EUに上納金を取られ続けている上、移民がどんどんやってきて仕事がない。EUを離脱すれば景気がよくなると聞いた、③残りの残留派:残留した方が色々と良さそう。。。といったあたりでしょうか。2016年の国民投票から3年が経ち、離脱のリスクが多く指摘されてきたにも関わらず、①、②の人々は意見を変えないわけです。①の人々は確信犯ですが、②の人々には情報が届いていないような気もしますが、アメリカにおけるトランプ支持派に近いものがあります。

今、イギリスの政治で行われていることは、とにかく10月末に設定されている離脱の期限を先延ばしし、その間に解散総選挙を行って国民の真意を問う、といったものですが、イギリスの議会は日本と違って議会の2/3の賛成がないとできません。ですので、まずは保守党内、さらには野党労働党の協力がないと選挙にたどり着けないのですが、既に保守党内からは連日のように議員の離反が報道されており、一枚岩ではなくなっています。労働党も今一つはっきりしません。

もちろん総選挙に勝てそうなら労働党も賛成するのですが、コービン労働党首は隠れ離脱派(と言われており)かつ昔ながらの左派ですので、どうも選挙には勝てそうにありません。そうなると選挙をしてもジョンソン首相率いる保守党が勝つことになりそうですが、保守党も議会の過半数を取るほどの勢いがないのが現状です。結局、解散・総選挙しても、状況は恐らく今と変わらないように思います。完全に袋小路に陥っているといっても良いでしょう。ですのでジョンソン首相は条件なしの離脱、つまりは「No Deal」によって離脱を強行しようとしているのだと思いますが、それは経済的に英国民に多大な負担を強いる決断でもあると思います。

我々もブレグジットを他山の石としないといけないのですが、個人的には、①国民投票は色々と危険、②国内の貧富の差が拡大するとポピュリストが優勢になる、③人は自分に不都合な情報を敢えて見ない、といったところでしょうか。とにかく今後もイギリスの選択から目を離せません。

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