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香港での民衆運動を教訓に日本でも実践されるべき憲法12条の重要性

 香港での若者を中心とした激しい民衆運動が注目されています。100万を超える人々の集会やデモによって、香港政府トップの林鄭月娥行政長官が「逃亡犯条例」改正案の完全撤回を正式に表明しました。

 「あまりに遅すぎる」という批判がありますし、私もそう思います。しかし、遅きに失したとはいえ撤回自体は大きな成果であり、香港での大規模な抗議活動の勝利であることは間違いありません。

 この大規模な民衆運動とそれが獲得した条令撤回という勝利を目にして、改めて日本国憲法第12条の重用性を思い起こしました。そこには、こう書かれています。

 「この憲法が保障する国民の自由及び権利は、不断の努力によって保持されなければならない」と。

 香港市民は自らに保障されていたはずの「自由及び権利」が奪われようとしたとき、敢然と起ち上って抵抗しました。これこそが憲法12条の要請する「不断の努力」にほかなりません。

 私たちは、香港市民の闘いに感心し支持を表明するだけでなく、その闘いに学ぶ必要があります。この日本で、憲法12条の要請に応じて「自由及び権利」を「保持」するための「不断の努力」を行うことこそ、本当の連帯になるのではないでしょうか。

 この条例撤回後も、香港市民の運動は終息していません。香港の民主化運動で「民主の女神」と呼ばれ今回の抗議デモをめぐって一時逮捕(その後保釈)された元学生リーダーの周庭さんは「条例の撤回は喜べません。遅すぎました。 この3ヶ月間、8人が自殺。 3人が警察の暴力によって失明。 2人がナイフを持つ親北京派に攻撃され、重傷。 1000人以上逮捕。 100人以上起訴。 怪我した人は数えきれないです。 私たちは、5つの要求を求めています。これからも戦い続けます」と述べています。

 少なくとも中立的な調査委員会を立ち上げてこの間の対応について検証し、行政長官は辞任するべきでしょう。市民の側が求めている5つの要求について、話し合う場を設けなければなりません。

 市民の側も暴力的な行動を自制すべきですし、行政府側も力による制圧を行うべきではありません。交渉の場における話し合いでの解決に向けて、相互の歩み寄りが期待されます。

 ここで注目されるのが、中国政府の対応です。香港に隣接する中国広東省深圳で地元当局が武装警官隊などによる大規模な対テロ訓練を行って威嚇しているようですが、武力による介入は断じて許されません。

 今回の香港市民による抗議活動の根本的な原因は、「1国2制度」が有名無実化し「1.5制度」に切り縮められる危険が生じたところにあります。容疑者を中国政府に引き渡せるようにすれば香港での反政府活動が制約され、自由が損なわれるからです。

 条令撤回が遅れた背景に中国政府による圧力があったと見られています。香港市民の要求に対しても行政長官が譲歩しないよう圧力をかけているようですが、自由な対応に任せるべきです。

 今回の対立や混乱を収拾するプロセスを通じて、「1.5制度」ではないかという香港市民の懸念を払拭する必要があります。「1国2制度」の実質を回復することなしに、香港をつなぎとめることは難しいからです。

 香港市民の求めている自由と民主主義は、中国本土においても必要なものです。香港の混乱への対応と収拾を通じて中国社会における言論の自由や政治的民主主義が回復されれば、中国本土にとっても「災い転じて福となす」ことができるのではないでしょうか。 

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