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結婚制度に疑問、アセクシャル…様々な理由から増える「選択的シングルマザー」を認め、支援する社会に



 総務省の統計によると、結婚をせずにシングルマザーになった女性の数はこの15年間で約3倍に増加しているという。そんな中、"夫やパートナーと一緒に"ではなく、あえて1人だけで母になることを選んだ女性、「選択的シングルマザー」の存在が注目を集めるようになっている。



 5日放送のAbemaTV『AbemaPrime』では、そんな新しい生き方を選んだ女性たちを取材した。

結婚制度に疑問、アセクシャル、パートナーとうまくいかず…様々な理由が



 かな子さん(仮名・43)が選択的シングルマザーになった理由は、結婚制度そのものに疑問を抱いているからだ。「20代後半に入ると、みんなが急に結婚に照準を合わせて走り出した気がする。男性が嫌いなわけではないが、その"就職活動的"な運動に、どうしても参加したくない自分がいた。日々働いて稼ぎ、子どもにまっすぐ向き合い、全力で守り育てる意思があるなら、どっちだってよくないか」と訴える。

 現在2歳になる娘を育てる漫画家の華京院レイさん(34)は、人を好きになれない、恋愛をしないという「アセクシャル」だと考えている。「今まで恋愛をしたことがないし、男性を好きになろうと思っても好きになれなかった。じゃあ女性を好きになれるかというと、それも違った」。しかし、仲が良かった父が倒れて寝たきりなり、会話をすることもままならなくなってしまったことを機に、家族を作ることを強く意識するようになったという。



 それから10年、無理に結婚をすることをせず、海外の精子バンクを利用、30歳の時に女の子を出産した。人種、年齢、血液型、学歴、病歴などがリスト化されていて、そこから選んで購入した。値段は1回3~6万円。当然、妊娠するかどうかは定かではない。

 「お子さんへの感情は?」との問に、華京院さんは「いたって普通だと思う。もちろん子育てなので大変な時もたくさんあるけれど普通に愛して、普通に楽しく遊んでいる。幸せだ」と話した。



 9か月の子どもを育てるキッズライン役員のやまざきひとみさん(34)は、パートナーとの間で妊娠が発覚したが、結婚を選択せず、シングルマザーになることを決意した。

 「妊娠が発覚した頃、パートナーとの関係がうまくいっていなかったので、お別れをしましょうという決断をして、妊娠はしたので出産はしたという、シンプルな決断を2つした結果だ。確かに母親も最初ビックリしていたし、"1人になるかも"と言った時にはネガティブな反応もあった。でも、最終的に周りが受け入れてくれた。今後も結婚したくないということではないが、私の中では結婚と出産は結びついていない。ただ、1人目が生まれたあと、2人目も欲しいなと思うようになったのが、今はそのフォーメーションにないので、どうしようかなという気持ちはある。可能性として精子提供はあるかなと思う」。

シングルマザーは働くということと常にセット。さらなる子育て支援を



 彼女たちのような生き方に対しては「少子化の今、国が容認して支援すれば子どもが増えるのでは」「家事も育児もしない夫がいるより、1人で子育てした方が楽」「離婚シングルも同じ状況なのに、なんで選択したらダメなの?」という共感の声もある一方、「子どもに負担を強いるのは親のエゴだ」「親は子どもを選べるけど、子どもは親を選べない」「否定しないけど、違和感しか感じない」という拒否感も根強い。

 やまざきさんは「日本ではまだまだ出産や子育ては結婚を前提にするものだという固定観念が強いと改めて感じたし、一人親、もっと言えば未婚の一人親は弱者、マイノリティだと定義したがる風潮があると思う。3組に1組が離婚し、そのうちの半分には子どもがいるといわれる一方、若い世代にとっては共働き前提の社会になっていく中で、パートナーシップの形は多様化していくはずだ」と指摘する。

 「確かに私は経済的にも精神的にも自立をしていたというのはあると思う。ただ、そういう女性は意外と多いのではないかと思っている。私が役員を務めるキッズラインでアンケートを取ったことがあるが、シングルマザーは腹を括っているので、シングルになってから収入が上がり、出世して家まで買ったという方もいらっしゃった。経済的な自立ができている人であれば、選択的シングルマザーになることがそこまで難しくない世の中になってきている気がする。

ただ、シングルマザーは働くということと常にセットになる。しかし10月から施行される幼保無償化も、3歳以上のお子さんが対象だ。私の場合は生後60日くらいから復帰して働いたが、3歳未満の子を置いて働くことを、国はあまり歓迎していないのではないかと感じる。また、2人目について養子縁組も考えたことがあるが、養子縁組は夫婦でなければできない。やはり子どもを生むことに結婚を前提にしない社会にしないと、少子化には歯止めがかからない。いわゆる伝統的な家庭で生まれた子どもが幸せというよりは、生まれてきた子供を社会全体で大切にしていこうという方が大事だと思う」。

「シングルになった時には支えると国や自治体が言ってくれれば子どもは増えるのではないか」



 ジャーナリストの佐々木俊尚氏は「今の日本社会はシングルマザーに冷た過ぎる。シングルマザー・シングルファザー世帯の貧困率の平均がOECD諸国では2割くらいなのに対し、日本は54%に上っている。要するに、半数以上が貧困だということだ。社会的な包摂がされていなかったり、非正規雇用に一度なると元に戻れなくなったり。好きなように子どもを生んだり、逆に生まなかったりする選択ができることを目指すべきだし、シングルになった時には支えると国や自治体が言ってくれれば子どもは増えるのではないか。また、貧困シングルマザー向けのシェアハウスなど、共同体や仲間内で支えていく仕組みも必要だ。そもそも昔の農村はそうだった」と指摘。



 慶應義塾特任准教授の若新雄純氏は「自民党の憲法改正案が、家族をベースにという要素を入れようとしているとい話だが、家庭と家族というものをもっとうまく考えればいいと思う。今までは家庭と家族は一体だった。しかし、家庭を作るのは難しそうでも経済的に支援するというのはあるだろうし、家族という概念はもうちょっと柔軟にできるような気がする」との考えを示した。



 フリーアナウンサーの柴田阿弥は「多様性が少しずつ認められてきて、結婚しない生き方についても受け入れられているようにも思うが、結婚してないと子どもを産んじゃいけない、という見方も変わっていけばいいと思う。シングルマザーだからといって世の中の視線が変わるのは子育ての環境としても良くないし、少子化が進む中、むしろそういう選択肢を認めていくことこそが対策の一つにもなると思う」と話していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

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