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「虚偽捜査報告書作成・隠避」の「自白」に等しい検察幹部発言

陸山会事件をめぐる虚偽捜査報告書作成問題について、虚偽公文書作成罪で告発されている田代検事について、不起訴の見通しを報じる新聞報道が相次いでいる。その中でも特に注目されるのが、5月27日付朝日朝刊の「強制起訴への影響配慮」と題する記事だ。

不起訴の環境作りを目論む検察幹部の発言をそのまま垂れ流した記事のように思えるが、逆に、その意図に反して、この事件の重大性、明白性を自ら認めたに等しい内容だといえる。

問題は、この記事で、昨年1月上旬に東京地検がこの問題を把握した際の対応についての当時の検察幹部の「指定弁護士の職務に影響を及ぼすため公表しなかった。隠したわけではない。」とのの発言だ。この「指定弁護士の職務」への影響というのはどういう意味なのであろうか。

記事に書かれているように、その時点での聴取に対して田代検事が「逮捕中の取り調べであったやり取りと記憶が混同した」と答えたことから「故意の虚偽記載はない」と判断したのであれば、単なる過失で虚偽文書を作成してしまい、それがたまたま検察審査会に送付されたというだけだ。少なくとも、検察審査会の議決を誘導しようとする意図はなかったことになる。そうであれば、「指定弁護士の職務への影響」はなかったはずだ。

影響があると判断したのは、田代検事の弁解は到底信用できないもので、公表した場合には、この虚捜査報告書の作成が、検審議決誘導のための重大な犯罪行為であることが否定できなくなり、小沢氏への起訴議決は無効ではないかとの主張が出てくるからであろう。そのような「指定弁護士の職務への影響」を懸念して公表しなかったということだと思われる。つまり、この朝日の記事での「指定弁護士の職務への影響」というのは、検察幹部が、田代検事の弁解が到底信用できないこと、検審議決誘導の事実が否定できないことを、事実上自白しているに等しい。そうなると、大坪・佐賀氏への一審での検察論告と判決と同じ論理を適用すれば、この時の検察幹部については、犯人隠避が成立するということにならざるを得ない。

こういう重大な内容の記事を、『田代検事は「嫌疑不十分」、当時の特捜幹部は「嫌疑なし」で不起訴』という見通しで締めくくる記者の神経が私には理解不能だ。

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