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女性外交官に聞く"世界で働くため必要なこと"

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男性の育休取得は当然。保育園には必ず入れる

現在、ノルウェーの首相は女性(アーナ・ソールベルグ氏)、在日ノルウェー大使も女性です。ノルウェーは「働く女性にとってベストな国」で世界3位(日本は28位。2017年調べ)。「ジェンダーギャップ指数」でも世界2位(日本は110位。18年WEF調べ)となり、男女平等では世界でも有数な国の1つかもしれません。


在日ノルウェー大使館 一等書記官 トーネ・ヘレーネ・オールヴィークさん

確かに、女性が働くのは当たり前で産休や育休後は必ず復帰しますし、男性の育休取得も当然視されています。保育園も多少の待ち期間があったとしても、必ず席が確保されることになっています。

一般的には有給休暇は年25日あり、3週間まで連続で取ることができます。だいたいみんな休暇は消化します。ただし、長い休暇を取る際は、同僚と業務をカバーしあったり、繁忙期を避けたりという配慮はもちろん必要です。子どもがいる家庭では、学校は夏に6~7週間休みになるので、夫婦交代で休みを取ったり、子どもをサマースクールに入れたり、祖父母に頼んだりと、それぞれ計画的に乗り切ります。

長時間残業は意味がない。成果主義で結果を重視

ノルウェーでは残業する人はあまりいませんが、それは徹底した成果主義だからでしょう。長く会社にいることに価値はなく、成果を出すことが重要だと考えられています。勤務時間もフレックス制が一般的ですし、在宅勤務が認められている会社が多く、子どもがいる人はオフィスに行くのを最低限にして、お迎え後の夕方や夜に家で残りの仕事をする人も多いです。ノルウェーの女性にとっては、自分のキャリアを続けることは当たり前。しかし、レベルの高い仕事に就きたいならやはりそれなりのコミットメントが必要なのは、どこの国も同じだと思います。



私も子どもが生まれてからは、いろいろ犠牲にしなくてはいけないことに気づかされました。例えば、友達との時間や自分がゆっくりしたり運動したりする時間はなかなか取れません。だからこそメリハリを大事にしています。息子といる時間はスマホをなるべく見ないで、子どもとの時間を楽しむ。朝は保育園の登園の道を一緒に、会話を楽しみながら行くようにしています。

出産は日本でしたが病院のサポートも温かく、とても良い経験でした。東京は、各所にオムツ替えの施設があったり、公共交通が整っていたりと、今のところ子育てがしやすいと感じています。

私の20代は、ノルウェーよりもアジアで過ごした時間のほうが多いです。その経験は仕事を違った視点で見ることを教えてくれました。

台湾で生まれ、中国に7年。アジアにいると落ち着く

生まれたのは台湾です。父の仕事で1歳まで滞在し、その後7歳から2年半くらいを再び台湾で暮らしたので、私の中にアジアが根付いた時期でした。今や私はアジアにいるほうが、自分の故郷にいるような気がして落ち着きます。

ノルウェーを始め北欧の国では、アジアの歴史や政治などを深く学ぶ機会は、普段はありません。大学に入ったとき、中国学を専攻すると言うと、周囲からは「なんでそんなところに興味を持つの?」と驚かれました。結果的には、中国は世界から注目される国になり、私が駐在していた7年間でも大きく変化を遂げる様子を体感することができました。

日本に来て、2年が過ぎました。日本語は読めますが、会話はまだ苦手なので、詳しく知りたいことをうまく聞けないことが多く、もどかしいです。仕事でさまざまな土地に行ったり、人にお会いしたりすると、どんどん質問したいことが生まれてくるのです。

日本は、本当に多彩な魅力にあふれる国だと思います。そしてなかでも私は東京が大好き。日々新しい魅力を発見しています。今後はもっと多くの場所を訪れたいですね。

▼ノルウェーは、こんな国
●面積:38.6万㎢●人口:約529万人●首都:オスロ●政体:立憲君主制●女性の就労率:77.5%(男性:83.9%)
※ノルウェー中央統計局(2016年)。20~66歳の就労率統計。

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キャロリン・グラスマン(Carolyn Glassman)
在日米国大使館 広報・文化交流担当公使
在日米国大使館 広報・文化交流担当公使 イリノイ大学でコミュニケーション学博士課程のうち、2年間の研究を修了。その後ノースウエスタン大学で映画学の修士号、ジョージタウン大学で国際関係学の学士号を取得。1995年国務省に入省し、ハンガリー、韓国、日本、ワシントンD.C. 、フィリピンなどに勤務。2018年より現職。日本駐在は2回目。
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トーネ・ヘレーネ・オールヴィーク(Tone Helene Aarvik)
在日ノルウェー大使館 一等書記官
2005年オスロ大学中国学・人文地理学修士課程修了。駐中国ノルウェー大使館でのインターンシップを経て、08年より同大使館二等書記官、11年より一等書記官。13~16年ノルウェー外務省東アジア・オセアニア課アドバイザーを務めた後、16年より駐日ノルウェー大使館に勤務。
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(在日米国大使館 広報・文化交流担当公使 キャロリン・グラスマン、在日ノルウェー大使館 一等書記官 トーネ・ヘレーネ・オールヴィーク 構成=岩辺みどり 撮影=干川 修)

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